「季節の変わり目」の不調はこれで乗り切る! 「漢方・薬膳的」冬から春のおすすめ食材
立春が過ぎ、暦の上ではもう春だ。まだまだ寒い日は続いているが、春を感じることも少しずつ多くなるだろう。
こんな季節の変わり目に気を付けたいのが体調。特に2月後半から3月にかけてのこれからの時期は「三寒四温」という言葉の通り、気温が上がり下がりする日々が続く。風邪をひいてしまったり、環境の変化についていけずにメンタル面もダウンしがちになったりと、自分の心身の調子に気を付けたいところだ。
そんな季節の変わり目は、内臓の疲れが溜まりやすい時期だといえる。では、冬から春に移り変わっていくこの時期をどう乗り切っていけばいいのだろうか。
体を整えるための漢方・薬膳の知識を分かりやすく学べる入門書『よくわかる漢方・薬膳』(柳沢侑子著、ユーキャン刊)から、中医学に基づくケアの方法、そして冬と春におすすめの食材を合わせて紹介しよう。
■季節の変わり目は無理をせずに「脾」を労わる
本書によれば、気温の変化が激しい時期は、特に胃腸や消化器官と関係が深い「脾(ひ)」が疲れやすくなるという。
この「脾」が弱ると、風邪をひきやすくなったり、だるさを感じたり、お腹の調子を崩したり、元気が出ないといった症状が起こる。そのため、基本的には「脾」に負担をかけないように過ごしていくことが大切だ。
たとえば、胃腸にダメージを与える冷たいものや味の濃いもの、甘いものを控える。一方、おすすめはうるち米やかぼちゃ、じゃがいもなど、ホクホクしていて噛めばじんわり甘みを感じる食材だ。
また、日々の生活習慣としては、早く寝て睡眠をしっかり取ること、予定を詰め込むなど無理をしないなど、体を休ませることに意識を傾けよう。
■薬膳的・冬から春にかけて体を整えるおすすめ食材とは
人間の体は、体内に取り入れた食材をもとに作られる。そのため、元気に生活をする上で、日々の食事でどんな食材を使うかはとても大切なこと。
薬膳の世界には、その季節ごとにおすすめの食材がある。基本的に旬の食材の多くは、その季節に起こりがちなトラブルに対して効果的に働くという。本書にはそんな食材がまとめられた「生薬・食材ミニ事典」が収録されている。
ここでは冬と春を元気に過ごすための食材を本書からいくつかピックアップしてご紹介しよう。
<冬>
冬はじっくり体を養う季節だ。おすすめの食材には、冷えや胃腸の働きの改善する働きを持つ食材が多く並んでいる。
【えび】
全身の陽気の源である「腎陽」を補う働きがあるという。ただし、中医学では食べると皮膚の症状を発生・悪化させる「発物」として分類されており、皮膚トラブルのある人は食べ過ぎに注意しよう。
【牡蠣】
まさに冬が旬の「海のミルク」。栄養価が高く、タウリンやミネラルを多く含む。中医学では体に潤いを与えて「血(けつ)」(血液や栄養分)を補う食材とされている。また、気分の落ち込みや不安感、ストレスや過労などの疲労も和らげるという。
【かぶ】
葉から根まで食べられるかぶは、中医学では「五臓(ごぞう)」を補い、消化を助けて胃腸の働きを整える作用があるとされているという。暴飲暴食をしてしまい胃腸を休めさせたいときにもおすすめ。
【にんじん】
寒い季節が主な旬のにんじんは、中医学では「血」を補い、自律神経系と関係が深い「肝(かん)」の働きを高めてくれる食材とされている。胃腸の働きを整え、消化を助ける働きもある。
<春>
冬が終われば、次は春がやってくる。春は冬の間に溜め込んだいらないものを出す季節で、「肝」の働きを助けてくれる食材がよいとされる。
【あさり】
体を潤し、のどの乾燥や口の渇きを解消して、体にこもった熱を冷ましてくれるのがこの食材だ。旬は春と秋で、「肝」の働きを助けてくれる。みそ汁やスープに入れて食べるのがおすすめ。
【セロリ】
春は「肝」が暴走し、「気」が高ぶりやすい季節。そこで「肝」の働きを抑えて、気持ちを落ち着かせてくれるのがこのセロリだ。春の薬膳ではセロリといかの組み合わせが「肝」ケアの定番なのだとか。
【菜の花】
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な栄養価の高い菜の花は、中医学では炎症を鎮める、血流を良くするなどの働きがあるとされているという。「肝」の働きを助け、のぼせやイライラなどの不調対策にも効果的。
【グレープフルーツ】
胃腸の不快な症状を緩和し、二日酔いにもおすすめだという。寒性で熱を取る効果も高く、イライラしたときにも良い食材だ。ただし、冷え性の人は控えめにしよう。
◇
『よくわかる漢方・薬膳』では、中医学についての基礎や体の不調に対処するための知識だけでなく、妊活や産後の養生、エイジングケアなど女性向けの情報も紹介されている。
マンガと図解で分かりやすく漢方・薬膳の世界をのぞくことができるので、普段なかなか本を読む時間がなかったり、文字を追うことにしんどさを感じている人もすぐに読むことができるはずだ。
毎日を元気で過ごすための手助けとなるような一冊である。
(新刊JP編集部)
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