「不確実な時代」を生き抜くために必要な視点とは
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現代は「不確実で先の見えない時代」だと言われる。世の中ではっきりとは見えない抽象的な部分が広がっているのに、私たちの視野は狭まっており、それらのギャップがさまざまな問題を起こしている。
■現代で必要とされる「抽象の目」とは
『見えないものを見る「抽象の目」-「具体の谷」からの脱出』(細谷功著、中央公論新社刊)では、ベストセラー『地頭力を鍛える』の著者であり、ビジネスコンサルタント、著述家の細谷功氏が、思考力を鍛えるために用いる「具体と抽象」のテーマに当てはめながら「見えないもの」を見えるようにするための考え方を紹介する。
VUCAと言われる不確実で先の見えない時代に突入したというのは、たとえば、21世紀に入ってからのデジタル化の進展やスマートフォンの普及、GAFAMと呼ばれるプラットフォームの台頭によって、仕事でも日常生活でもデジタルを中心としたものへと大きく変化し、20世紀までとはビジネスにおける戦略や戦術もルールが変わったことが挙げられる。このような時代を考える上で、重要なキーワードが「見えないもの」ということになる。
見えない世界が広がっていく一方、その一端を担っているデジタル技術そのものが、私たちの視野を狭めている側面もある。身近なものだと、カーナビや地図アプリは、私たちの道案内に関する行動パターンを根本的に変えつつある。
ひと昔前は「地図を広げて現在地から目的地までの行程を確認する」という行為が必要だったが、現在は目的地の入力だけで「次はどこで曲がるか」という近視眼的な行為で用が済むようになった。楽になった反面、「大きな全体像を見て全体のバランスを考える」といったものの見方が退化しつつある。
このようなデジタル技術による「世界の拡大」と「視野の狭小化」という相反する変化に対処するするために「具体と抽象」という視点を本書では用いていく。具体と抽象という視点で世の中を眺めると、この世界がどのようにして回っているかが見えてくる。そうすれば、「次にどうなるか?」が読めるようになり、仕事や日常生活を違う視点で見ることができるようになるという。
デジタルを中心とした「見えないもの」に支配されている今、これからの時代を生き残るには、「見えないもの」をいかに見えるようにするかが重要となる。本書から、見えなくなっていた視野を広げることで、予測不能な時代を生き抜くための力を身につけることができるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)
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