レールを走る鯛!?加太さかな線めでたいでんしゃ。和歌山市加太へ
皆さん、こんにちは! 女子鉄アナウンサーの久野知美です。列車が大好きで、列車関連のテレビ番組に出演しているほか、列車の自動アナウンスなども担当しています!
さて、今回は私の出身地でもある大阪を経由して、とある「かわいい列車」に癒やされる列車旅に出てきました! 少しでも地元に戻れると、空気感からあっという間にいろんな思い出にタイムスリップできるので、西への旅は大好物。どんな景色、人、ものとの出逢いがあるでしょう? 楽しみです!
東京駅
縁起の良い「かわいい列車」を求め、西へ!
旅のスタートは、JR東京駅。東海道新幹線「のぞみ11号」で一気にJR新大阪駅を目指します。
新大阪駅からは久しぶりの289系車両、特急「くろしお」! JR和歌山駅まで、約1時間の特急旅です♪
和歌山駅からJR和歌山市駅までは、在来線の227系車両へ乗車します! つい3年ほど前までは105系や113系の車両が活躍していたのに、列車関連の景色は日々変わっていくものです。乗れる時に、乗りたい列車に乗ることも大切だなぁと、あらためて感じるのがこうした瞬間です。
和歌山市駅
遊びゴコロあふれる「めでたいでんしゃ」でGO♪
和歌山市駅で南海電鉄に乗り換え。本日のメインディッシュ、加太さかな線観光列車「めでたいでんしゃ」に接続です!
南海電鉄と加太観光協会・磯の浦観光協会と共同で進める「加太さかな線プロジェクト」の一環として、2016年春から運行を開始しためでたいでんしゃ。名物「加太の鯛」と観光名所「淡嶋神社」の縁結びをイメージし、乗車するだけでおめでたい気分になる、ずっと乗って愛でたくなる、という意味を込めて生まれたそうです! この頃から、加太線の愛称は「加太さかな線」となりました。
一歩足を踏み入れるだけで観光気分に浸らせてくれる、カラフルな「かい」「さち」「なな」「かしら」の4種類の車両が元気に運行中♪
今回、往路で乗車したピンク色がカワイイ「さち」は、車内にハートのモチーフが満員乗車。乗る人に幸せを運ぶというコンセプトで、1番初めに誕生しました。めでたいでんしゃファミリーの中では「ママ」という設定の車両です。
優しさと温かみを感じる車内の座席シートは、鯛の模様をちりばめたオリジナル! さかなを獲る網をイメージしたロールカーテンや、木製のさかな型つり革など、可愛い仕掛けが盛り沢山♪ 追加料金ナシに乗車できる普通列車としては、贅沢すぎる空間です。
列車は、のどかな住宅街を縫うようにゆったり走っていきます。街を抜けて、乗降する乗客が減り……少し緑が深くなったかな、と感じる20分ほど経過したところで、終点の加太駅に到着です!
ちなみに、今回乗車した「さち」と、スカイブルーの車体がキリッと格好いい「かい」の2車両、実は結婚しているんです!! 取材時は、加太駅はお祝いイラストの飾り付けや、結婚式当時の写真なども掲示されていました。さらに、めでたいでんしゃ「なな」は2匹の愛娘。幸せあふれる加太さかな線。乗車したよしみで、私もご縁にあやかれるかしら……!?
加太駅
古民家カフェの地産地消ランチで、ホッと一息
加太まで足を延ばしたのなら、ぜひマストで立ち寄っておきたいレストランカフェがあります♪
駅から徒歩約10分。加太港にほど近い古民家を改装した「セレーノ シーフード&カフェ(SERENO seafood&cafe)」。夏休みなどのトップシーズンには、行列ができるほどの人気店! オーナーの西川さんを中心に、ご家族で営まれています。
すぐ目の前にある加太港で、漁師であるお父様がその日に一本釣りした新鮮な魚をいただけるという、驚きの地産地消カフェです。
おしゃれな雰囲気のなか、「加太の海の恵み定食」のドリンクセットをいただきました。素潜りでとられた、付け合わせのひじきやワカメなどの鮮度に驚き!
お刺身はどれも新鮮で、魚のアラ出汁のお味噌汁の味付けも程良く、家庭的でとても優しい味です。今回いただいたのは、ブリとハマチの炙り、ブリの漬け、お友達から仕入れたというタコの4品。
その日に採れた最高の味を提供したいというコンセプトから、いただけるお刺身も日替わりです♪
淡嶋神社
ハートの絵馬がかわいい淡嶋神社へ
ランチ休憩の後は、港の風を感じながら加太港沿いを歩くこと約10分。「淡嶋神社」に参拝します。
針供養や雛流しの神事、婦人病や安産祈願などで知られる神社ですが、縁結び、恋愛成就のパワースポットとしても人気です。有名なハートの絵馬には、日頃の感謝と身近な方の幸せを願い、ちょっとした鉄分も注入(笑)。叶うと良いな♪
加太駅
帰りは違うコで!! めでたいでんしゃに再び乗車♪
復路は、2021年にデビューしたばかりの、めでたいでんしゃ「かしら」に乗車! めでたいでんしゃのなかでは一番新入りながら、真っ黒なボディがなかなかの貫禄を醸し出しています。
乗り込めばそこは船の中!? 「さち」の兄で、赤色の「なな」にとっては伯父さんにあたる「かしら」。冒険が大好きで、ずいぶん前に加太の海を飛び出して旅に出ていたそうです。
車内には、これまで彼が集めて来た貴重なお宝にまじり、加太にまつわるお宝も! めでたいアイテムや、体験したくなる仕掛けが満載です。
窓には五線譜が踊り(ペイントされ)、思わず歌い出したくなるような賑やかさ。行きと帰りで、異なる空間や、そのさかな(車両)ごとのキャラクターを味わえるのも楽しいものです♪
のんびりと、加太の味覚と神社、列車を満喫し、今日は和歌山市駅近辺のホテルで一泊。明日へ備えて早めに休むことにします!
史跡 和歌山城
和歌山中央にそびえる名城・和歌山城へ!
翌朝は、ゆっくり起きて和歌山市駅から徒歩20分ほどの「史跡 和歌山城」へ。徳川御三家の1つ紀州徳川家の城址です。
虎伏山(とらふすやま)に天守閣が立つ和歌山市のシンボルとして長い歴史を持ち、復元された御橋廊下など、史跡としての見どころはもちろん、敷地の中には動物園やお茶室も併設されています。
天守閣から街を一望。ぐるりと360°見下ろすと、当時の徳川家が誇った勢力を感じます。
和歌山城は、紀州を平定した羽柴秀吉が弟の秀長に命じて紀ノ川河口部の「岡山」(現在の虎伏山)に城を築かせたことから始まります。関ヶ原の戦いの後に浅野幸長が城主となり城や城下町を整備すると、1619年(元和5年)には徳川家康の第10男・頼宣が入城。55万5千石を拝領し、紀州徳川家が成立します。
天守閣内には、歴代藩主の家系図や、甲冑・鉄砲などの展示が豊富にあるので、予備知識なしでも楽しむことができます。
史跡 和歌山城
名勝 西之丸庭園(紅葉渓庭園)を散策
古きに触れた後は、西之丸庭園(紅葉渓庭園)にあるお茶室「紅松庵」へ。
数寄屋造りの茶室である紅松庵は、庭園が整備されたことを記念して、和歌山市出身の松下幸之助氏の寄附により落成しました。「紅松庵」の名称は、秋の紅葉が見事な「紅葉渓」の「紅」と松下氏の「松」に由来するとされています。
茶室から望む庭園には、時の流れを緩やかに感じさせる魅力があります。四季の移ろいを楽しみながら、地元・紀州のお抹茶とお菓子を心ゆくまで堪能できます。
今回いただいたのは、葛を使った吉野羹を白色と橙色に染め分けた中に紅餡を入れ、秋の気配を表現したという和菓子「秋の色」。味覚で季節の先取りとは、乙ですね。
ひとりお茶室で味わうお抹茶と季節の和菓子。なんと贅沢な時間なのでしょう……!
ゆったりとした空間で、心もお腹も満たされたら、和歌山城自慢の西之丸庭園の散策も忘れずに。
和歌山城の内堀の一部と虎伏山の起伏を巧みに活かした池泉回遊式の西之丸庭園は、江戸時代初期に作庭されました。国指定名勝の大名庭園で、紅葉渓庭園とも呼ばれ、紅葉の名所として知られています。
私が訪れた時は、まだ紅葉には少し早い時期でしたが、秋には絵画と見間違うかのような絶景が見られます!
カラフルでポップな可愛い列車に揺られ、地の味を堪能し、ゆったりとした時間と空間に身を委ね、古きに思いを馳せる……! 好奇心と五感が満たされた幸せな旅となりました♪ 皆さまもぜひ! ときにはこうした大人の上質な列車旅に出かけてみてはいかがでしょうか?
東京駅
掲載情報は2022年11月2日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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