「3歳児神話は本当?」「離乳食は手作りすべき?」――育児の疑問を専門家が科学的に回答

「3歳児神話は本当?」「離乳食は手作りすべき?」――育児の疑問を専門家が科学的に回答

 さまざまな情報が氾濫する現代社会。それは育児についても同じで、不安を煽るようなうわさや真偽のほどがわからない情報がSNSを通じて拡散されることもあります。そんなとき、私たちはどうやって真実かどうかを見極めればよいのでしょうか。

 その判断材料となってくれる書籍が、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』。同書では、Twitterで正確な医療知識を発信し続ける「ふらいと先生」こと新生児科医の今西洋介さんのもとに12人の専門家が集結。「これってほんと?」という育児の疑問に対し、最新の知見にもとづいた科学的な回答を寄せています。

 子育ての常識は日進月歩で、昔は当たり前だったことが今ではまったく違う、なんてこともよくあります。たとえば、「子どもが3歳までは常時家庭において母親の手で育てないと、その後の成長に悪影響を及ぼす」という「3歳児神話」もそのひとつ。同書にも、「子どもが3歳になるまで母親は子育てに専念すべき?」との質問が取り上げられています。

 今西さんはまず、1998年に厚生労働省が「3歳児神話に少なくとも合理的な根拠は認められない」と発表したことを紹介し、「愛情を注ぐのは、父親でもほかの家族でも、保育士さんでもいいのです」(同書より)と回答。早くから子どもを保育園に預けることについても、「集団保育は、家庭だけで得られない刺激を受ける場でもあるのです」「子どもを保育園に通わせつつ、自身の人生を生きることに罪悪感をもたないでください」(同書より)と記します。

 この回答にほっとし、救われたような気持ちになった人もいるかもしれません。母親だけに育児の負担を押しつけるような根拠のない迷信は今も多く、育児当事者を苦しめることもしばしばです。そうしたおかしな「呪い」を医学的なエビデンスにもとづいて解いてくれるのも、同書の特徴です。

 ほかにも「赤ちゃんは親を選んで生まれてくるってほんと?」「離乳食は手作りがいちばん?」「子どもといるときに自分がスマホを見るのは問題?」「予防接種より自然感染のほうが強い抗体がつくってほんと?」など、全部で64の質問とその回答が一問一答形式で掲載されています。また、途中には今西さんによるコラムも。「誤情報や神話を自分で見抜くコツ」や「ネット社会での子育てに必要なリテラシー」などについて書かれています。

 「今まさに子育てに奮闘するお母さん、お父さん。私たちは、あなたのミカタです」と書かれているとおり、同書の根底にあるのは温かな応援の気持ち。もし育児で「これってほんとかな?」と悩んだときは、ぜひ同書を開いてみてください。産婦人科医、新生児科医、小児科医をはじめ、公衆衛生学、教育学、社会福祉など各分野のプロフェッショナルが、みなさんの疑問に答え、強い味方になってくれることでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]

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