【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース

【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース

ダイナミックなスラップを連発しつつ、多彩なサウンドでリスナーを魅了しているF チョッパー KOGA(Bass)。使用機材にはベーシストとしての好みはもちろん、「Gacharic Spinにとって最適なのは何なのか?」という視点も反映されている。愛用のベース、エフェクター、アンプ類を紹介する言葉の1つ1つが、このバンドのオリジナリティの源にあるものを感じさせてくれた。音楽への目覚め、ベースを始めたきっかけ、オリジナルベースが誕生した経緯、特殊なこだわりポイントなど、盛りだくさんなインタビューをお届けする。
■最初はスラップがベースの通常の奏法だと思っていたんです
■「普通じゃないんですか?」というくらいベースのことを何も知らなかった
――お姉さんが部屋で流す相川七瀬さん、Every Little Thingとかが、J-POPに触れる最初の体験だったんですよね?
KOGA:はい。姉は年が離れていたので、先にいろいろな音楽を聴いていたんです。「音楽に目覚めた」という感じだったのかはわからないですけど、音楽を聴くようになったのはそれが最初でしたね。
――楽器を始めたのも高校に入ってからですし、音楽に対して積極的な子供ではなかったとお聞きしています。
KOGA:そうなんです。音楽の授業も大嫌いでしたから(笑)。地元の友だちは、今の私にびっくりしています。音楽を聴くのは好きだったんですけど、カラオケに行くのは嫌いでしたからね。
――芸能界のお仕事の最初のきっかけは、演技でしたよね?
KOGA:はい。地元の名古屋の劇団に入ったのが最初のきっかけです。ダンス教室に通いたかったんですけど、田舎過ぎてダンス教室がなくて。劇団はダンスや演技とか、いろいろな勉強ができるので入ったんです。入ってみたら、あんまりダンスのレッスンはなかったんですけど(笑)。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――(笑)。演技のお仕事は、いろいろしていましたよね?
KOGA:どうなんでしょう? オーディションに受かったら出られるっていう感じでしたけど。まずは劇団内のオーディションに受からなければ外のオーディションを受けられないので、ライバルがいっぱいでした。オーディションに受かると、地元のテレビ局のちょっとしたドラマに出られたりしました。
――『キッズ・ウォー』に出演したのも、地元にいた頃ですか?
KOGA:はい。いじめっこ役です。いじめられ役でオーディションを受けたのに、いじめ役で受かりました(笑)。でも、そういうお仕事をやっている内に「名古屋にこのままいてもだめだ」と思うようになって、「東京に行こう!」ってなったんです。
――上京するきっかけは、グラビアアイドルのオーディションでしたよね?
KOGA:はい。いろいろ受けて落ちまくって、「これで最後」と思って受けたオーディションに合格して東京に行くことになりました。
――上京してから入学した芸術系の高校で、はなさんと出会って、学校に通いながらお仕事を続けたわけですが、所属事務所のイベントのために組んだバンドがベースとの出会いだったとお聞きしています。
KOGA:余りもので、ベースになりました(笑)。当時は音楽にこだわりがなかったから、「ベースがいないなら、やります」っていう感じでしたね。もともとピアノをやっていた女の子がキーボードをやったりとか、そういう感じでパートが決まっていったんです。最初のライブの時はドラムのメンバーがいなくて、スタッフが叩きました。
――KOGAさんがドラムを担当する可能性もあったということじゃないですか?
KOGA:そうなりますね(笑)。ドラムになっていたら、どうなったんだろう? でも、練習は頑張ったと思います。ドラムだったら名前を知ってもらえるようにはならなかったかもしれないし、自分で一からバンドを立ち上げてなかった可能性もあります。今、こうなっているのは、ベースだったからかもしれないですね。
――ベースの担当になってからは熱心に練習して、学校にも持ってきていたと、はなさんが証言しています。
KOGA:一緒にバンドを組んだ周りの娘たちはもともと楽器をやったことがあったり、「やりたい!」っていう気持ちが強かったので、私は「追いつかないといけない」っていう気持ちでいっぱいだったんです。心配性なので、空いている時間はずっとベースの練習をしていました。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――最初、スラップから覚えたんですよね?
KOGA:はい。スラップがベースの通常の奏法だと思っていたんです。学校の先輩に「なんで古賀ちゃんはスラップやってんの?」って訊かれて、「これ、普通じゃないんですか?」と(笑)。「普通は指とかピックからやるんじゃない?」って言われて、「そうなんだ?」ってなりました。それくらい、ベースのことを何も知らなかったんです。
――スラップ、ピック、指弾きの順番で覚えたらしいじゃないですか。
KOGA:そうなんです。だからピックを持ちながらスラップをやるのが普通になっていっちゃいました。指弾きをやり始めたのは、Gacharic Spinを始めてからです。でも、そういうのが自分のカラーになったんだと思います。
――KOGAさんの世代でスラップをしていると、「レッチリのフリーが好きなの?」とか必ず訊かれると思いますけど、そういうことではないんですよね?
KOGA:はい。フリーはかっこいいですけど、フリーがきっかけでスラップを始めたということではないんです。
――ベースに夢中になっていった理由の1つとして、「みんなと何かをやるのが好きだから」って前におっしゃっていたのも印象的だったんですけど。
KOGA:そうなんです。劇団の時の演技のお仕事もそうだったんですけど、「みんなで何かをやる」っていうのが好きなんですよ。
――好きなベーシストとしてジーン・シモンズを挙げるのも、プレイスタイルとかサウンドではなくてKISSのああいう表現に対する憧れがあるからですよね?
KOGA:はい。絶対にお客さんを楽しませることができるああいうKISSの世界観が好きなんです。
――つまりKOGAさんにとってベースとは、「みんなと一緒に楽しい何かを作るために自分が担う役割」ということでしょうか?
KOGA:その通りです。ミュージシャンは「表現したいこれをギターにのせて」とかいう意識だと思うんですけど、私はそういうことではないんですよ。「みんなで表現する一部になれたらいいなあ」っていうことなので、ソロ作品を作りたいとかも全然思わないんです。
――お仕事の1つとして始めたベースとバンドですけど、活動は本格化していきましたよね? 事務所の女の子たちと組んだバンドはTHE PINK☆PANDAとなっていきましたから。一目置かれるガールズバンドだったと、当時、EU・PHORIA(ユーフォーリア)のメンバーだったオレオさんがおっしゃっていました。
KOGA:そういう感覚は、自分たちの中ではなかったんですけどね(笑)。でも、ボーカルは女優さんをやっていたし、私はグラビアからのベースだったし、そういうメンバーによるバンドだったから、言い方は悪いですけど「どこかバカにされてるだろうな」というのがあったんです。だから車で全国を回ってライブをたくさんやっていました。車で寝泊まりもしましたから。真冬の新潟で寒くて死にかけたり(笑)。でも、そういう体験もするくらい、ライブはできる限りたくさんやっていました。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――THE PINK☆PANDAを脱退した後、はなさんに声をかけて結成したのがGacharic Spinですが、やはりバンドは続けたかったんですね?
KOGA:はい。バンドを脱退する時に「疲れちゃったな」っていうのと「すごい悔しい」っていう気持ちの両方があったんです。それで、「この悔しい気持ちをもし表現するんだったら、新しいバンドを始めよう。でも、やるんだったらはなしかいない」って思ったんです。はながやらないって言ったら、多分、名古屋に帰っていました。
――Gacharic Spinを始めるまでに使ってきたベースについても教えていただきたいのですが、最初はどんなものを使ってきました?
KOGA:最初はお花の形のショートスケールのベースです。楽器屋さんの外にディスプレイされていて、かわいかったんですよ。今考えると、めっちゃ弾きづらかったんですけど。その次に買ったのが赤いテスコのベース。またマニアックなのを買っちゃって(笑)。見た目がかわいかったんです。でも、スラップに向いていなかったですね。「上手くスラップが弾けないなあ」って思っていたら、学校で先輩が「それ、多分、ベースが理由じゃない?」って。先輩のベースを弾いてみたら、ずっと練習していたスラップが一発で弾けて、「これはベースを替えないと!」ってなりました。テスコはお気に入りだったんですけどねえ。
――買い替えて使い始めたのは、どんなベースでした?
KOGA:バッカスのベースです。あと、ミュージックマンのスティングレイもほぼ同時期に買いました。
――修学旅行のためのお金でハートキーのベースアンプも買いましたよね?
KOGA:買いました。今は使っていないんですけど。置く場所に困って、地元の仲の良いスタジオにあげました。
――お仕事をしていたとはいえ、高校生が機材を揃えるのは大変だったはずです。
KOGA:大変でしたね。弦は長持ちするエリクサーを使っていたんですけど、ベースの弦は高かったですから。あと、ワイヤレスのトランスミッターが壊れると修理代が2、3万かかったんですよ。「壊れないでくれ!」って祈りつつも、結構壊れちゃって(笑)。
――(笑)。ベースを弾くのが、どんどん面白くなっていきました?
KOGA:はい。練習すればするだけ評価してもらえたり、お客さんにも楽しんでいただけましたから。ベーシスト、バンドマンとして認めてもらえていっている感じが嬉しくて。ライブの楽しさも、それまでに味わったことがなかったものでした。
――バンドはガチャを結成する前に平安もはなさんとやって、ガールズバンドの平安女子で<TEENS’ MUSIC FESTIVAL(TMF)>に出場したこともあったじゃないですか。
KOGA:TMFは渋谷区の決勝まで行って、最後の決勝戦はど頭で派手にやって落とされました(笑)。平安はコスプレメタルバンドで、結構、10代ながら面白くもありかっこよくやっていたと思います。
――かっこいいのにふざけたところもあるその感じ、ガチャの原点だったのかも。
KOGA:そうですね。「プラスアルファの何かをしたい」ってなっちゃう性格なんですよ。
――ガチャを結成してからは、ベルモアのオリジナルモデルのベースを弾くようになりましたよね?
KOGA:はい。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――フィンガーランプの校章が印象的です。
KOGA:あの校章は、オリジナルピックを作る時にデザインしていただいたんだっけ? あっ、逆です。『WINNER』や『Delicious』のジャケットも描いていただいた知り合いのマコプリさん(渡辺真子/マコ・プリンシパル)のデザインなんですよ。ベースを作る時に「校章を作ってください」ってお願いをして、すごく汚いイメージ画をお渡ししたんです(笑)。
――(笑)。なんで校章にしたかったんですか?
KOGA:なんでしょう? かっちりしたかったのかな?
――“KOGA学園”みたいな感じですよね?
KOGA:はい(笑)。校章がかわいいのかなと思って。
◆インタビュー(2)へ
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
■「ベースをやる」というよりも「Gacharic Spinをやりたい」っていう感じ
■1個のものをみんなで作って観てくれる人が楽しめるものが作りたいんです
――最初から5弦ベースでした?
KOGA:最初は4弦ベースです。Gacharic SpinのサイドプロジェクトのDOLL$BOXXをやる時に、低音が必要になって、5弦ベースを触るようになったんです。そのタイミングでベルモアさんが「5弦ベースを作る?」って言ってくださって、今も使っている赤い5弦ベースを作っていただいたんですよね。
――5弦ベースには、すぐに馴染めました?
KOGA:全然馴染めませんでした。嫌でした(笑)。オリジナルの5弦ベースが完成して手元に届いた頃もまだちょっと苦手で。でも、ライブで5弦を使うようになったら、今度は4弦が弾きづらくなっていきました。だから慣れというか、楽器と向き合う時間次第なんだと思います。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――オリジナルモデルは4弦と5弦でボディ材も違うんですね。4弦はアッシュで、5弦はアルダー?
KOGA:はい。4弦と5弦で音の響き方がそもそも違うので、そうなったんです。4弦は低い音というよりも派手な印象の音にしたくてアッシュになりました。あと、ネックのグリップは薄目で細くしたいっていうこともお願いしました。私は手が小さい方なので。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――ベルモアでベースを作ることになった経緯は、何かあったんですか?
KOGA:バッカスで働いていた金井さんが独立して始めたのがベルモアなんです。金井さんは雑誌で私がバッカスのベースを持っている写真を見て、声をかけてくださったんですよね。THE PINK☆PANDAがメジャーデビューすることになった時に私はバッカスを使っていて、「メジャーデビュー用にベースを1本作ってあげるよ」っていうお話をいただいていました。でも、私は脱退しちゃったから「やべえ……」と思って電話して(笑)。「あなたはベースを続けるんでしょ? ベースを続ける限りは他のバンドを始めても、メジャーデビューしてもしなくても関係なくサポートしていきたいから、気にしないでいいですよ」と言っていただきました。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――ありがたいお言葉でしたよね?
KOGA:ほんとそうでした。だから「金井さんにずっとお願いしたい」っていうのがあって、ベルモアでベースを作っていただいたんです。金井さんは私のベースの歴史とかも理解してくださっているので、細かいことを説明しなくても安心してお任せできます。
――最初に作った4弦はメイプルネックで24フレット。そこに関しては、その後に作った5弦と同じですね?
KOGA:はい。メイプルは柔らかくて優しい感じがするのが好きなんです。もともと使っていたバッカスも24フレットだったので、そこからの流れです。24フレットまであった方が幅が広がるし、手の感覚もそれで慣れていたりするので。私は感覚がガラッと変わるのが苦手なんですよね。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――ベースの仕様に関しては、スラップに適しているというのも大事ですよね?
KOGA:そうですね。4弦のベースを作っていただく時も、スラップの弾きやすさはすごくお願いしました。でも、5弦になってからは、ピック弾きも指弾きも結構するようになっていたから、派手な音というよりもオールマイティな使いやすさをお願いしました。
――4弦ベース、5弦ベースの共通点をもう1つ挙げるならば、LEDが仕込まれているところですね。「LED=Gacharic Spin」っていう感じがします。
KOGA:そうそう!(笑)。
――他のメンバーのみなさんもそうですけど、LEDとガムテープってガチャにとって非常に重要な存在ですよね?
KOGA:はい。私たちにとってLEDとガムテープも大切な機材なんです。
――オリジナルベースが完成して届いた時も、新品だろうが躊躇なくストラップをガムテープでベース本体に固定しましたよね?
KOGA:はい。それは儀式です(笑)。ガムテープで留めるというのはマストなんですよ。みなさん綺麗にしたがると思うんですけど、Gacharic Spinは関係ないですから。ガムテープでグルグルなんで。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――ベースやギターを回すのも、スラップとかと並ぶ重要なプレイの1つ?
KOGA:はい。ベース回しは一時期封印していたんですけど、最近また解禁しました。やっぱりお客さんに喜んでいただけているのを感じると「やるか」ってなるので。
――KOGAさんのベース回しは、いつから始まったんですか?
KOGA:THE PINK☆PANDAのボーカルのMAYUが、ストーリー・オブ・ザ・イヤーのライブでメンバーが運動会みたいにグルグル回しているのを観て、「これやりたい!」って言ったんです。最初、「これやるの?」ってなりましたけど(笑)。
――初めてベース回しに挑戦した時、すぐにできました?
KOGA:いや、怖かったです。
――頭にぶつけそうな恐怖がありますからね。
KOGA:ぶつけたことあります(笑)。
――(笑)。今は何の躊躇なく回せるようになっていますよね?
KOGA:はい。安全確認はしますけど。
――狭かったり、天井が低いライブハウスもあるじゃないですか。
KOGA:スペースに応じて横回しと縦回しを使い分けるんですよ。コツがあるんです。
――ストラップと衣装の生地同士の抵抗がない方が回しやすいですよね?
KOGA:そうなんです。それはすごく大事なので、いつもスタイリストさんにお願いしていますね。肩の辺りにスタッズとかが付いていると回らないので、なるべくシンプルで首の辺りまで生地があるような衣装にしていただいています。
――「かわいい」とか「かっこいい」だけじゃなくて、「回しやすい」も衣装の条件?
KOGA:はい。客観的に考えると何かがおかしい(笑)。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――(笑)。ベルモアでベースを作る時も、「回しやすくしてください」と相談したんですか?
KOGA:4弦の時は相談しました。でも、5弦ベースの時はさすがにあまり回さないだろうと。そのつもりだったのに……今は5弦をバンバン回しています(笑)。回しやすいように、最近、少し軽いサブの5弦を作っていただきました。
――ガチャのコピーバンドをする人は、ベース回し、ギター回しもコピーするべきですか?
KOGA:はい(笑)。
――TOMO-ZOさんもガチャに加入した時に、ギター回しの特訓から始まったそうですし。
KOGA:そうなんです。ギター回しとお立ち台に乗る特訓を受けてもらいました。
――アンジーさんの人生初のバンドがガチャですから、「ロックバンドとはこういうものだ」ってなっているのかもしれないですよ。
KOGA:そうなんだと思います。アンジーはGacharic Spinに入った時にまだ高校生でしたけど、「学校の中で友だちとバンドを組んで発表会をしてみようかな」って言っていて、私は「同世代の子たちとバンドをやるのも良い経験になるからやってみなよ」って言って背中を押したんです。でも、「物足りない……」って言っていました(笑)。
――ガチャは特殊なバンドですからね。
KOGA:特殊でしょうね。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――ラーメンの極度な全部のせ状態というか、あらゆる要素が盛り込まれていますから。
KOGA:ライブは全部のせくらいの感じでやってもいいと思っているんです。でも、曲作りに関しては結構シンプルで、抜くところは抜くようになっています。セルフプロデュースになってから、はなが音楽のリーダーとして音数を整理してくれています。前はわざとガッチャガチャな部分を作ってやっていた部分もあったんですけど、要らないシークエンスを取るようになっています。オレオが生で弾くようにもなったというのもあるんですけど。
――ガチャの特殊さに関しては、KOGAさんのベースのLEDの点灯パターンにも表れているように感じます。ベルモアのホームページのスペック説明の下に、図解付きで6種類の点灯パターンが説明されているじゃないですか。サウンドと関係ない仕様をこんなにも熱心に説明しているのは、かなり特殊なことだと思います。
KOGA:楽器として要らない情報ですもんね(笑)。LEDの点灯パターンはずっと光りっ放しもあれば、クリスマスツリーみたいなピカピカが流れたりするのもあるんです。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
▲LEDの点灯パターンを変えるスイッチ

――ベルモアさんに「こういう発光の仕方がいいです」とか、LEDに関してもいろいろお願いしたんですか?
KOGA:「どこまでやりたい?」って訊かれたので、「できる範囲のマックスで」と(笑)。
――(笑)。そういう遊び心もありつつ、サウンド面も心強い仕様になっていますね。コントロール系は、どうなっています?
KOGA:EQのベース、ミドル、トレブルを操作できるようにしています。ライブ中に何か物足りなさを感じたら自分の手元ですぐに調整するようにしたかったので。聞こえる音が調整できると自分のテンションを高められますから。あと、パッシブ、アクティブを切り替えられるようにもしていただきました。もともとアクティブのベースの「バン!」って感じが大好きなんですけど、最近はパッシブの良さも感じるようになっているので。曲によってはパッシブに切り替えて、ボリュームやトレブルを少し下げて……みたいなこともするようになっています。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――多彩なサウンドに対応できるベースですね。
KOGA:はい。5弦はスラップだけではなくて、ピック弾き、指弾きとか、いろいろなことに対応しています。ガチャピンはいろんな曲をやるので、そういうことにも対応するベースになっていると思います。
――レコーディングでもベルモアを弾いているんですか?
KOGA:はい。レコーディングでもほぼ自分のベースです。
――ビンテージ楽器への興味は?
KOGA:ないです(笑)。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――オリジナルモデルのベースに関して、他に語っておきたいポイントは?
KOGA:校章が付いているフィンガーランプですね。あれがあることによってスラップもやりやすいし、指弾きもしやすいんです。もともとはフィンガーランプがあるベースは苦手だったんですけど、自分のベースに付けるようになってからは、弾きやすさを感じるようになりました。スラップのサムピングが入り込み過ぎないし、指弾きの時も指がちゃんと着地できるので。あと、ネックエンドの部分にスロープが付いています。これはスラップのアップダウンをやるのに便利なんですよ。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――ネックジョイントは、ボルトオン?
KOGA:はい。6点留めです。
――一般的なのは4点留めですよね?
KOGA:はい。他にあんまりないのかなと思います。ベルモアの金井さんに6点留めを薦められたので、この仕様になりました。ベルモアのブランドとしての理想に私の「こういう風にしたい」っていうのを少し入れていただいたのが、このベースということですね。ベルモアの楽器をいろんな方々に使っていただけたらいいなと思っていますし、そのきかっけに少しでもなれたらなあと。アーティストが使っている楽器は、それを支えてくださる職人さんとか、様々なみなさんの存在があるからこそ出来上がっているんです。そういうことも感じていただけたら嬉しいですね。
――楽器に関してはセッティングも大事な要素ですけど、何かこだわりはありますか?
KOGA:弦高は気になります。低いのが大好きで、「これ、スラップはいいけど、ピックで弾いたら音がビビるよ」ってテックさんがおっしゃるくらいのところまで攻めていただいています。弦高は昔の方が神経質でしたね。昔は弦高が高いと弾くのが怖くなっちゃりしていましたから。
――ボディカラーに関しては4弦ベースは白色で、5弦ベースの方は赤色。色選びの理由は何かあります?
KOGA:「自分はこの色が好き」という意識はあんまりなかったんですけど、どうやら赤が好きっぽいんです。赤を選んじゃう傾向があるので。
――メンバーカラーは黄色ですよね?
KOGA:そうなんですけど(笑)。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――(笑)。足元の機材は、どういうものを使っていますか?
KOGA:ボスのコンプ(BC-1X)がすごく良くて、レコーディングでも使っています。音の粒の立ち上がり方、整い方が気持ちいいんですよ。MXRもマストで使っていますね。スラップの時に特に頼りになります。5弦ベースの5弦はすごく低い音なので、使い始めた頃、聴感上の弾いている感覚がなかったんですよ。でも、このMXRで調整すると5弦も気持ちよく鳴ります。MXRはスラップ用の設定とピック弾きの優しいニュアンス用で2台を使い分けています。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――オリジナルエフェクターも置いていますね?
KOGA:はい。自分モデルのエフェクター(Noah’sark gachaxx)です。これにも校章が入っています(笑)。このエフェクターは、Stomp Boxという飛び道具。歪みっぽくも使えるし、シンセベースっぽくもなったり、つまみの調整でいろんな音色になるんです。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――足元のエフェクター類に関しては、どういうことを重視して組んでいます?
KOGA:奏法を切り替えても1個1個の音をしっかりと出せるようにしています。大切なのはそれですね。ミュージシャンってみなさんそれぞれのこだわりがあると思うんですけど、私はそういうのがあまりないということなんだと思います。
――こだわりの方向性が、他の多くのミュージシャンと異なるということですよね?
KOGA:そうなんだと思います。ステージに対するショーとしてのこだわりはありますから。私の軸になっているのはそっちなんですよ。音に関しては、はなが客観的に聴いて意見を言ってくれるので、それを元に相談しながら作っています。そういうことに対応できるのが、この足元のボードなんですよね。
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
――アンプは、今、何を使っていますか?
KOGA:ヘッドはマークベースです。Big Bangをメインで使っていたんですけど、最近はLittle Mark Ⅳを持って行っています。大きいライブの時しか持って行かないですけど、キャビネットもマークベースのものが2発。クリアで変な癖がないサウンドなんです。いろんな音色が鳴っているガチャピンなので、癖がない方が逆にベースとしての役割が成り立つんですよね。
――KOGAさんにとってやはり一番大きいのは、「Gacharic Spinをやる上で最も適したもの」ということのようですね。
KOGA:そうなんだと思います。「ベースをやる」っていうよりも「Gacharic Spinをやりたい」っていう感じなので。1個のものをみんなで作るのが好きですし、それを観てくれる人が楽しめるっていうものが作りたいんですよね。
――先ほどKISSの話が出ましたけど、彼らのライブはそういう姿勢の究極形なのかも。
KOGA:そうですね。「そんなの音楽に関係ない」っていう人もいますけど、KISSはお客さんに興味を持ってもらえる要素を大事にしていますから。王道にやってかっこいいミュージシャンもいますけど、全員がそれをやる必要はないと私は思っています。
――血を吐いたり、重い衣装を着たり、飛んだり、火を噴いたりは、音には一切関係ないですけど、非常に大事な何かを教えてくれますよね?
KOGA:はい。あんな高いブーツを履いたら、普通は走れないのに(笑)。でも、あれがないとKISSにならないじゃないですか? ライブの流れが決まっていて、それを崩さずにやっているところもかっこいいです。「また観れた! これを観たかった!」って、やっぱり大事なんですよ。「どんどん新しいことをやって驚かせたい」っていうことを私たちももちろん考えますけど、ずっとやってきたことを観たいっていう人もいるんです。そういうバランスは大事だよなって思って、Gacharic Spinをやっています。
取材・文:田中大
【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
▲Gacharic Spin(後列左より:オレオレオナ、はな、yuri)(前列左より:F チョッパー KOGA、アンジェリーナ1/3、TOMO-ZO)

リリース情報

【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
▲『Gacharic Spin』(左より:【初回限定盤type-A】【初回限定盤type-B】【通常盤】)

メジャー5thオリジナル・アルバム
『Gacharic Spin』
NOW ON SALE
【初回限定盤type-A】(CD+DVD)
VIZL-1920/¥5,500(税込)
【初回限定盤type-B】(CD+DVD)
VIZL-1921/¥4,400(税込)
【通常盤】(CD)
VICL65540/¥3,300(税込)

ライブ・イベント情報

Gacharic Spin LIVE 2022<☆G!G!G!PREMIUM!!>
2022年7月2日(土)@豊洲PIT
◆インタビュー(1)へ戻る

関連記事リンク(外部サイト)

こはならむ、堂村璃羽プロデュースの新曲配信決定
渡邉美穂、日向坂46を卒業「5年間いたこのグループを、みなさんで守り続けてください」
BACK-ON、盟友FLOWとのコラボSG発売。主催イベントも開催

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin F チョッパー KOGA、あらゆる要素が盛り込まれたベルモア5弦ベース
BARKS

BARKS

BARKS(バークス)は、国内外の最新音楽ニュース、アーティストの動画や画像、インタビュー、ライブレポートをお届けする音楽メディアです。

ウェブサイト: https://www.barks.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。