巻きタバコと水タバコ、どっちが身体に良くないの?

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巻きタバコと水タバコ、どっちが身体に良くないの?


今回は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

巻きタバコと水タバコ、どっちが身体に良くないの?

愛煙家だって身体の心配をしないわけじゃない。もし少しでも健康に良いタバコがあるのなら、それを試さない理由はない。とばかりに葉巻やパイプに手を出す人が最近増えているようです(あくまでも主観ですが・・・)。最近ウチの近所にも専門店があることを発見した水タバコ(冒頭写真)もそのひとつかもしれません。

煙草を燃やした煙を一度水の中を通すことによって、不純物がいくらか浄化されているように見えることから、身体への負担が少ないと思ってしまいがちな水タバコですが、米・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPeyton Jacob III氏らが3月5日付でCancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌オンライン版に発表した研究報告*1によると、実は水タバコの煙には普通の巻きタバコよりも多くの有害物質が含まれていることがわかったのです。

*1:「Comparison of Nicotine and Carcinogen Exposure with Water Pipe and Cigarette Smoking」 『Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention』
http://cebp.aacrjournals.org/content/early/2013/04/09/1055-9965.EPI-12-1422

以前の研究*2では、水タバコが呼吸器系に与えるダメージは巻きタバコと同程度といわれていたので、今回の結果はさらに水タバコの立場を悪くしてしまったようです。

*2:「Comparison of pulmonary function and respiratory symptoms in water pipe and cigarette smokers」 『WILEY ONLINE LIBRARY』
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1440-1843.2012.02194.x/abstract

Jacob III氏らは、巻きタバコも水タバコも吸った経験のある男性8名、女性5名に対し、1日に3回の水タバコか11本の巻きタバコを摂取してもらい、尿や呼気から検出された化学物質を比較しました。その結果、ニコチンを含むいくつかの化学物質の量は、水タバコを摂取したほうが少なかったものの、白血病のリスク要因となりうるベンゼンは2倍、胸の痛みやめまいの原因となる一酸化炭素は2.5倍、水タバコを摂取したほうが多く検出されました。さらに、熱による化学反応で生成する高分子多環芳香族系化合物も、水タバコ摂取で巻きタバコより多く検出されました。そのうちいくつかは、高い発がん性があり、肺がんを発症する恐れがあるそうです。

このような巻きタバコより多くの有害物質が検出される原因として、水タバコでは煙草を味付けのためのフルーツペーストや糖蜜などで固め、さらに炭を使って燃やすため、実質的に煙草以外のものも燃やしていることになるからなのだそうです。

今回は、基本的にタバコを吸わない人にはほとんど興味のない話だったかもしれませんが、水タバコもれっきとしたタバコで、場合によっては、巻きタバコよりも多くの有害物質に触れることになるかもしれないという事実は、ちょっと意外じゃなかったですか?私は、興味本位から近所のその店に行こうとしていた所だったのですが、これを聞いて今は少し思いとどまっています。

<参考資料>
カリフォルニア大学サンフランシスコ校プレスリリース
「Smoking from Hookah Not a Harmless Alternative to Cigarettes」 『UCSF』
http://www.ucsf.edu/news/2013/04/105236/smoking-hookah-not-harmless-alternative-cigarettes

執筆: この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年04月25日時点のものです。

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