新年に欠かせない「松」人気5種類の魅力&栽培テクニック

新年に欠かせない「松」人気5種類の魅力&栽培テクニック

日本のお正月・新年など、おめでたい行事に欠かせない「松」。ひと口に松といっても世界中に約100種以上のものが分布し、その性質もさまざまです。今回は、日本で特に人気のある5種の特徴や魅力&上手な仕立て方、さらに育て方のポイントを紹介します。

盆栽からシンボルツリーまで!松の魅力と育て方&種類を解説

松というと、重厚な和風庭園の中心に据えられている樹木で、年配者の趣味の盆栽など、特定のイメージがつきがち。しかし、実は洋風の庭に似合う品種や、グラウンドカバーに使えるものまでたくさんあります。ぜひさまざまな松の魅力に触れてみましょう!

そもそも「松」ってどんな植物?

松(マツ科)=ちょっと古臭い和の植物、と思い込んでいませんか?

松は、コニファー(針葉樹)の一種であり、コニファーの中でもっともポピュラーに育てられている庭木です。重厚な和風庭園はもちろんのこと、品種や仕立て方を選べば、スタイリッシュな洋風の庭にもよくなじみます。

筆者がいるカナダでは、広葉樹よりも松の木などのコニファーの方が圧倒的に多く、一般家庭の庭木として植えられます。そのため、多種類の草花が植えられた洋風テイストの庭にもあい、ブロックやレンガなどを使った松との組み合わせは、和風だけでない雰囲気をつくりますよ。

松の特徴と楽しみ方

高木で知られる一方で、 手のひらにのるようなミニ盆栽にもなる松。さまざまな仕立て方や管理方法など、栽培テクニックの奥行きが深いのも松を育てる醍醐味です。

また、多くの松はやせ地でもよく生育するとても強健な性質です。さらに長寿のシンボルにも取り上げられるほど、長く生きる植物でもあります。

松の管理する場所

仕立て方に関わらず、松は株元近くの枝にもたっぷりと陽が当たるような、日当たりのよい場所で育てるのがベスト。日当たりが悪いと生育不良になったり、葉の色がくすんだりする場合もあります。

また、松は成木になると移植を嫌うため、植え付ける場所は、再度植え替えをしないで済むように、周りに建造物や背の高い木がない広めの場所を選びましょう。

松の剪定

1〜5年もの間、細い葉が落ちずに枝に残る松の木。ほかの植物には見られない、独自の剪定(せんてい)や手入れが必要です。

その一つが「緑摘み」。4〜5月ごろに新しく伸びた枝葉が、展開しないうちに手で摘み取る作業です。緑摘みをすれば、枝が間延びしにくい美しい樹形を保つことができますよ。

さらに11月上旬には「もみあげ」作業をします。夏に伸びた枝葉を2〜3本程度残し、ほかの枝や前年の古い枝葉をしごき取るようにすっきりさせましょう。株の内側まで日が当たり、病害虫の被害にあいにくい健康的な松の木になります。

ただし、外国産の松は、緑摘みやもみあげを行わず、自然樹形を楽しむタイプもあります。育てるときは、事前に専門書などでそれぞれの管理方法を確認しましょう。

松の剪定

松の木を日当たりや風通しが悪い場所で育てていると、梅雨の時期や乾燥した秋ごろに病害虫が発生しやすいです。特にアブラムシやカイガラムシの排せつ物によって菌やウイルスが繁殖し、すす病などの病気にかかる場合もあります。

また、マツノマダラカミキリの成虫が葉を食害すると、体内に潜む寄生虫が松の木に寄生し株を枯らしてしまうことも。1年を通して適切な薬剤散布を心がけましょう。

 

庭木やシンボルツリーに人気の品種!松の種類5選

ここでは、和風や洋風テイストの庭になじむシンボルツリーや、庭木に人気の松の種類を5種類紹介します。

アカマツ(赤松)

クロマツ(黒松)

ゴヨウマツ(五葉松)

ダイオウショウ(大王松)

ハイマツ(這松)

このあと詳しくそれぞれ解説します!

アカマツ(赤松)

赤みがかった樹皮が特徴のアカマツ。若木のころは白っぽいですが、樹齢10年を過ぎたころから赤みが目立つようになります。葉はさわやかな明るい緑色で、枝垂れるものや斑入り種も。細く柔らかい葉は、チクチクしないソフトな触り心地です。

自然に育つアカマツは、大きくなると樹高が30m以上になる高木になります。樹齢を重ねると樹皮が亀甲状になり、風格が増して見事です。洋風の建物やさまざまなテイストの庭にもよくあいます。盆栽でもおなじみで、ミニ盆栽はプレゼントにもおすすめですよ。

 

クロマツ(黒松)

しばしばアカマツと間違われることが多いクロマツ。樹皮が黒味を帯び、アカマツよりも葉が長くて硬く、葉先に触れるとチクチクします。また、秋になる松ぼっくりはアカマツよりも大きいなど、見た目の違いがいくつかあります。

そのためそれぞれの特徴から、クロマツを「男(雄)松」、アカマツを「女(雌)松」と呼ぶこともあります。

強健な木で海岸でも生育可能なクロマツの管理のコツは、緑摘みともみあげ作業を定期的に行って樹形を整えること。また、クロマツは比較的枯れにくいので、盆栽ビギナーの方にもおすすめですよ。

 

ゴヨウマツ(五葉松)

ゴヨウマツは、葉が5枚で一対になっていることが、その名前の由来。2〜6㎝の銀色がかった葉が美しい松です。

日本固有の松で、和風庭園や神社仏閣でもよく見られます。また、枝を曲げやすく、生長もゆっくりであることから、盆栽にも最適。

ゴヨウマツの栽培のコツは、多湿を避けること。「夜露で育つ」といわれるほど乾燥に強く、根腐れを起こしやすいため、水やりのし過ぎは避けましょう。地植えなら水やりは不要で、盆栽など鉢植えで育てる際にも、乾燥気味に育てます。

 

ダイオウショウ(大王松)

北アメリカ原産のダイオウショウは、洋風の庭にもよくなじむ大きな松。長さ20〜40cmもの葉が風に揺れるさまは、見ごたえたっぷり。庭木としてだけでなく、花材としても人気の品種です。

松ぼっくりは、大王の名にふさわしい長さ20㎝を超すほどのビックサイズ!ボタニカルクラフトの材料でも人気です。

また、自然樹形が美しいので、緑摘みやもみあげは形をと問える程度でOK。年に1回のペースで、1〜3月ごろに寒肥を与えましょう。

 

ハイマツ(這松)

冷涼な高山地帯に自生し、地面を這うように枝葉が広がるように育つハイマツ。うねるように枝を伸ばす独特の樹形は、盆栽や寄せ植えで親しまれ、ほかの松ではできないハイマツならではの魅力があります。

また、グラウンドカバーとして庭のコーナーに植えたり、ロックガーデンとして植えたりすると、高山や高原を連想させるような景色を演出できます。

生長すると枝葉が過密になりやすいため、風通しが悪くならないように、混み合った箇所を剪定しましょう。

 

まとめ

いかがでしたか? 小さな盆栽にしてもよし、生長を楽しみに庭に植えてもよし。育てるほどに愛着がわくこと請け合いです!

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