命を守る!水害対策の取り組みを知っておこう
一時は、自然破壊ではないかと言われていたダムも、昨今の異常気象による水害の多発から命を守るためには、大切な取り組みの1つとなりました。国や自治体の、水害対策への取り組みを理解し、より一層、自分や家族の命を守るのは自分だという危機意識を強く持つ必要を感じて頂けたらと思います。
国が行う水害対策への取り組み
令和元年の台風19号の甚大な水害を覚えていますか?長い間反対され続けてきた八ッ場ダムが完成し、試験湛水が開始された直後のことでした。
半年くらいの時間を掛けて満水にしようと計画していた八ッ場ダムが、台風19号がもたらした雨だけで、一気に満水になってしまったのです。
このおかげで、利根川流域の大洪水が回避できたというのは、有名な事実です。このように、国はダムを作ったり、川の流れを調整したりして水害対策を講じています。
平成30年からの10年間で、水害が一度も発生していない日本国内の市区町村は、48市区町村しかありません。日本全体のたった2.8%の地域だけが、水害から免れているというのが実態です。
こうした身近な災害とも言える水害対策に、国が行っている取り組みの一部を紹介します。
河川の流域面積を広げる
水を逃がす遊水地を作る
親水空間を整備する
都市部の地下に浸透設備を設置
地域を守る小堤防の建設
河川の流域面積を広げる
堤防を築いて川の流域面積を広げたり、川底を掘削して、川の流域体積を大きくする工事をしています。
普段はさほど水量のない川でも、大雨ともなれば、一気に様相が変わってしまいます。そうした時の水量にも耐えられるだけの、河川の拡張工事も、国の水害対策への取り組みの1つです。
水を逃がす遊水地を作る
川の水量が危険なほど増えたとき、遊水地に水を逃がして、水量の調節を測ります。定められた場所で、人工的に河川の氾濫を起こせる場所を遊水地といいます。
渡良瀬遊水地などのように、比較的河川の中流以上の場所にあります。土地が入手しやすいことと、人口の多い都市部の水害を防ぐことを目的としています。
親水空間を整備する
河原を公園やテニスコートにするなど、河原が石や砂だけの場所では無く、憩いの場ともいえるスペースになっているのを見たことはありませんか?こうした場所を親水空間といいます。
大雨で川が増水すると、この場所がその水量の受け皿になります。そのため、できるだけ広く親水空間を確保しているのです。
都市部の地下に浸透設備を設置
都市部では、アスファルトの地面が多いため、どうしても水が浸透することができません。そのため、内水氾濫という水害が発生してしまいます。
そこで、都市の地下空間に、そうした水を溜めるための浸透設備が設置されている場所があります。
地域を守る小堤防の建設
河川の流域には、どうしても水害の発生しやすい場所や地域があります。そこで、そんな場所の被害を少しでも小さくするため、地域を堤防で囲むようにしている場所があります。
一方で、水を逃がす工夫なども施工されているなど、様々な水害対策への取り組みが行われているのが分かります。
自治体が行う水害対策への取り組み
自分たちが住んでいる地域では、どんな水害対策への取り組みが行われているのか気になりませんか?基本的には、どこの自治体でも余り変わりはないかと思われます。
例として、水害が起こってしまう前に、各自治体は次のような対策を必須とするよう、内閣府からの通達の一部を紹介しましょう。
職員の参集想定を実施するとともに、配置基準を定めておくなど、地域にあった体制を整えておくこと。
独立した災害対策事務室をスムーズに確保できるようにすること
多様で確実な通信手段を確保し、連絡や情報収集に漏れが無いようにすること
停電に備え発電機を常備し、建物の2階以上など、水に触れない場所に設置すること
土のうや防水板などを準備しておくこと
もちろん、これ以外にも多種多様の通達があり、加えて市区町村の職員に対する、メンタル面へのサポートも明言しています。ただ、こうした体制を自治体が整えていたとしても、実際に機能するまでには1日以上の時間がかかります。
それまでの身の安全を守るのは、やはり自分しかいないのだということを、しっかり認識しておきましょう。
おわりに
国や自治体が行っている、水害対策への取り組みについて、一部を紹介しました。国内の約97%もの市区町村が、水害を経験している日本にとって、その対策に取り組むことは、国や自治体だけではなく、個人レベルでも大変重要なことだといえるでしょう。
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