親や子供、親友etc…刑務所に入った身内!その「面会の心得と作法」とは?

どうも、特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

これまで、刑務所について元受刑者とコンタクトを取り、様々な情報をもとに執筆してきました。少年刑務所に収監された経験がある元受刑者、違法行為を繰り返し何度も後戻りする半グレの元受刑者、受刑歴20年~25年のベテラン元受刑者などなど、いろいろな経験談を聞けば聞くほど、刑務所処遇の奥深さ、矛盾点がわかってくるわけですね。

【実録! 刑務所シリーズ】
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さて、今回は気になる《外部交通》についてです。「そんな言葉聞いたこともないわ!」とおっしゃる方も多いとは思いますが、面会や手紙のやりとりなど刑務所の外とのやりとりのことを指します。テーマにするのは《面会》について。

お話をお聞きしたのは、暴行傷害容疑で刑務所に収監されていたというE氏(47歳)。

さて、受刑者はどんな人物と面会をするのか、その心得と作法とは? 掘り下げていきたいと思います。

受刑者が面会できる人とは?

丸野(以下、丸)「面会というのは非常にハードルが高いようなイメージがあるんですが、実際はどうなんでしょうか?」

E氏「受刑者への面会については、厳しい基準(※刑事被収容者処遇法111条1項)があるんですよ。誰でも彼でも面会ができるわけではないということなんです。会いたい人がいてもなかなか会えない。刑務所に入るのは、天涯孤独でない限り、割に合いませんよ」

丸「その線引きがわからない。素人目にですが……。誰と会うことができて、誰と会うことはできないんですか?

E氏「受刑者が面会できるという人々は本当に限られています。まずは《受刑者の親族》ですね。これは当然の権利なんですが、留置場などに入っている場合は証拠隠滅の恐れもあるので面会は禁止になります」

丸「具体的にはどのような親族が面会できますか?」

E氏「親や家族、内縁の夫・妻、養子縁組をした養子や養親などは許可されますが、恋人や婚約者は不可となります。それに、面会をするために養子縁組をしたという関係では、面会不可です

弁護士には一定の面会が許される

丸「他にはどのような人が許可されますか?」

E氏「受刑者の法律的な支援やかなり重大な利害に携わる用務処理を行ってくれる人ですね。重要な用務処理者というのは、弁護士などになります。それに関しては面会を許されます。留置場など逮捕の初歩段階でも許されるわけです」

丸「なるほど。接見が許されるのは法律家だということですか

E氏「ええ。あとは受刑者と面会することで、今後の更生や改善を見込める者からの申出も認められてます。受刑者が経営する会社の経営方針などを伝えるための関係者や公的機関の職員。経営する会社の経理担当などの社員や出所後の身元引受人など出所したときに雇用したり、支援したりする人の面会はちゃんと認めていますね」

丸「定期的にテレビ番組でも特集された、福岡中洲の協力雇用主の記事を執筆したことがあります。その方々も、面会できるわけですね?」

E氏「あくまでも更生改善が認められる受刑者ですが、協力雇用主など元受刑者を雇おうとしている企業経営者などは面会することができますね。さらに、面会申出があった受刑者の知人や友人、恩師など必要がある場合には、矯正処遇や刑務所規律秩序に支障がない場合、原則として面会が許可されます

関係性が証明されないと面会できない

丸「基準はやはり厳しいものですね」

E氏「そうですね。面会相手については、その関係性が証明できないと面会自体が許されない場合もありますね。ですから、刑務所側はあらかじめ証明書類や届出などの提出を求めます。届出をしていない面会希望者が訪れても、刑務所側は断ります。事前の届出など所定の手続は踏むべきですね」

丸「面会したいと思ったときになにか通りやすいコツはありますか?

E氏「友人や知人については継続的に受刑者との交際があったかどうかがちゃんと確認できる証拠がいります。なので、面会を申し出る前に手紙などのやりとりをするのがベターです。受刑者の社会復帰の邪魔になるような人物、暴力団員などの反社会的な人物が希望した場合は許可が下りません

面会時間を削られてしまうことも……

面会時間は、刑務所の規律で30分を下回らないようにすべきと定められていますが、1日の面会数、申出の状況、面会室の数で5分~30分未満で面会を終わらせるように制限されてしまうこともあります。なお、制限区分第2種以上になった受刑者は刑務官や職員の立会いがなく、面会できることもあります。

受刑者自身が 自分に対する処遇や所長の措置に対して、刑務施設の最寄りの弁護士会に人権救済申し立てや刑務所を相手取って民事訴訟提起を行った場合、弁護士と面会する場合は、刑務官が面会に立ち会うことはできないといいます。

面会の心得と作法、いかがでしたでしょうか。その奥深さ、今回の取材を通して実感しました。あなたはどのように思いましたか?

(C)写真AC
※写真はイメージです

(執筆者: 丸野裕行)

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