手続ミスで641万円の追徴課税!? 「相続手続」を専門家が徹底解説した一冊

手続ミスで641万円の追徴課税!? 「相続手続」を専門家が徹底解説した一冊

 大切な人を亡くしたら、しばらくは故人を偲びながら悲しみに暮れていたいですが、遺された家族はそうはいかないもの。待っているのは、膨大な量の相続手続です。

 とはいえ、「何から手をつければよいかわからない」「誰に相談すればよいかわからない」と不安や焦りの気持ちに陥ってしまう人も多いのではないでしょうか。

 そうした人々が焦らず、間違わず、ひとつずつ安心して相続手続を進められるよう、手続の流れ、必要書類、税務面での注意点などをあますところなく解説したのが、今回紹介する『ぶっちゃけ相続「手続大全」 相続専門YouTuber税理士が「亡くなった後の全手続」をとことん詳しく教えます!』です。

 著者は相続専門の税理士であり、YouTuberとして相続にまつわる動画も投稿している橘 慶太さん。YouTubeの動画同様、同書でも明快な語り口でわかりやすく教えてくれます。

 法律の知識があるかないかで大きな差がついてくる相続手続。恐ろしいのが、「その知識はなかった」「ついうっかりしていた」で放置していると、追徴課税や罰金が生じる場合もあることです。

 たとえば世帯主が亡くなった場合、役場に提出しなくてはいけないのが「世帯主の変更届」。14日以内に提出できなかった場合、遅延期間や遅延理由によっては5万円以下の過料が科される可能性があることをご存じでしょうか。

 また、故人が年金を受給していた場合、国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内に受給停止の手続をする必要があります。この手続を怠ると、本来もらえないはずの年金が支給され続け、不正受給していたとして後々大問題になることも。反対に、後払いの形で支給される老齢年金は、「未支給年金」として請求可能なのできっちりと取得したいところです。

 このようにお金にまつわることも多い相続手続。近年、税務署は申告書を提出しなかった無申告者への税務調査を積極的に行っているのだそうです。国税庁が公表した2019年7月から2020年6月における「相続税の調査状況」によると、なんと税務調査を受けた家庭の85.3%が修正となり、1件あたりの平均追徴課税は641万円にものぼるというから驚きです。「税務署は『不慣れだったため計算を間違えてしまった』という人にも容赦はしません」(同書より)と橘さんは記しています。

 ほかにも葬儀の手続から遺産分け、名義変更、特殊相続、相続財産の売却など、相続人にはしなくはいけないことが山積みです。しかし下記2つさえできれば、五里霧中状態から光が見えてくると橘さん。

1、相続手続の全体像の把握
2、何をどの順番で進めていくかという段取り確認

 同書の使い方としては、「まず、本書の全体を読み流し、相続手続の全体像や期限、自身に関係する項目を把握」(同書より)、実際に各手続に着手する際に「ご自身に必要なページを読むだけで、すぐ使える内容になっています」(同書より)と説明しています。

 親やきょうだいであっても(だからこそ?)、なかなかぶっちゃけては話せない相続手続のあれこれ。いざとなったときに困らぬよう、まずは同書でその全体像だけでも把握しておいてはいかがでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]

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