「笠に着る」にはどのような意味がある?「嵩に懸かる」とは意味合いが異なるので注意!

「笠に着る」とは、権力や地位を盾に傍若無人に振る舞うことを意味します。
しかも、自分の後ろ盾となっている権力や権勢を利用した上で、立場を悪用することで自分勝手な態度を取る際に使用されます。
しかし、身勝手に振る舞うことをなぜ「笠に着る」と表現するのでしょうか。
そこでここでは、この「笠に着る」という言葉について、その意味はもちろんその由来や類義語を見ていきます。
また、語感の似ている「嵩に懸かる」との違いについても見ていきますよ。
「笠に着る」とは
まずは「笠に着る」という言葉について、その意味を見ていきましょう。
「笠に着る」の意味
「笠に着る」とは、権力や地位を盾に身勝手に振る舞うことを表現する言葉です。
特に自分の力ではなく、他人の力や権勢を頼りに威張る際に使用されます。
権威を利用して他人に圧力を加えることにも用いられるので、ネガティブな要素を強く含んだ言葉となっています。
現代的に表現するなら「パワハラ」に通ずるものがある表現です。
「笠に着る」の由来

では、なぜ身勝手なことを「笠に着る」と言うのでしょうか。
ここではその成り立ちについて、諸説ある中からいくつかの説をご紹介します。
かつての足軽の様子から来たとする説
「笠に着る」は、江戸時代まで存在した足軽の様子から来たという説があります。
足軽は、武家でありながら普段は雑役に従い、戦時の際に兵卒として働く立場にありました。
そんな足軽の中には、大名の家来であることを悪用する人がいました。
後ろ盾を良いことに百姓や町人に乱暴狼藉を働いていたのです。
つまり、決して自分たちが偉いわけではないのに大名の家来というだけで威張っていたわけです。
この足軽は、戦時においては陣笠をかぶっていたことから、権力や地位を盾に威張ることを「笠を着る」と表現するようになったとされています。
笠を身に付ける様子から来たとする説
「笠に着る」は、雨風をしのぐために笠をかぶる様子から来たとする説もあります。
もともと、笠は雨や風をしのぐため、もしくは日差し除けとしてかぶる道具でした。
そこから、何かから守ってもらう姿を「笠を着る」と表現するようになったとされています。
「嵩に懸かる」と混合しないように注意!

「笠に着る」と語感が似た表現に「嵩に懸かる」という言葉があります。
しかし、こちらは意味がまた異なる表現となります。
「嵩に懸かる」とは
「嵩に懸かる」とは、優勢に乗じて攻めることを言います。
劣勢の相手に対して威圧的な態度に出ること意味します。
「笠を着る」と「嵩に懸かる」の違い
「笠に着る」とは、自分の立場を悪用して威張ることを意味します。
また、力を持つ者に乗じて偉ぶることを言い、主に他人の力頼りの表現となります。
その一方で「嵩に懸かる」は、優勢に乗じて攻める際に用いられる表現です。
勢いに乗って威圧的になる様子をあらわすこともあります。
つまり、他人の力なのか自分の力なのかという違いがあります。
ドラえもんのスネオのような人物が「笠に着る」で、ジャイアンは「嵩に懸かる」と考えるとわかりやすいかもしれませんね!
「笠に着る」の類義語

「笠に着る」の類義語としては、「虎の威を借る狐」「親の七光り」「雪駄の土用干し」などがあげられます。
虎の威を借る狐
「虎の威を借る狐」とは、権力者の力を頼りに威張る小者のことを指す言葉です。
力のある虎を盾に威張る狐をあらわした故事成語のひとつとされます。
親の七光り
「親の七光り」とは、力のある両親を持つ子供のことを言います。
また、その両親の何かしらの恩恵を受けることを指します。
本人にさして力がないにもかかわらず、両親の力で有名になった、権力や立場を得たと評される人に対して用いられます。
芸能界などで、二世タレントを揶揄する際に使用される表現のひとつともなっています。
雪駄の土用干し
「雪駄の土用干し」とは、反り返るようにして威張ることを例えた言葉です。
胸を張って威張るようにして歩き回るような人物のことです。
これは雪駄を干すと反り返るところから来ているとされ、そんな行動をしてしまう人物を嘲笑う表現となっています。
まとめ
「笠に着る」は、他人の力を背景に身勝手に振る舞う様子をあらわします。
「虎の威を借る狐」と言い換えることもできます。
背景とする人物との関係によっては「親の七光り」となります。
「嵩に懸かる」とは、語感も似ているので混合されることもありますが、勢いに乗ずることを表していますので意味合いは異なります。
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