いざという時大丈夫?大雪対策から除雪対策まで徹底解説

いざという時大丈夫?大雪対策から除雪対策まで徹底解説

大雪は豪雪地帯だけに起こるものではありません。むしろ普段雪に慣れていない地域が大雪の被害にあった時の方が、混乱も大きく非常に危険です。予想外の大雪にあった時にどうしたらよいかわからない。そんな方は普段から意識して対策しておきましょう。

大雪前に取れる対策

天気予報で大雪の可能性があると報じている。こんな時は、事前にできる限りの対策をしておくと安心です。「どうせ大したことはないだろう」とタカをくくって被害にあうより、杞憂で終わる方がよほどよいと考えましょう。

 

事前にできる対策には、どのようなことがあるのでしょうか?

 

家族ごとに必要な物を確認する

通院中の持病があるような方は、大雪で薬をもらいに行けなくなることを予想して、追加の処方を頼むなどの対策をとっておきましょう。同じように、女性の場合は生理用品など、赤ちゃんがいるようならおむつやミルクなど、生活に欠かせないものは意外と多いものです。

 

特に家族全員が必要となるものもあります。トイレです。水道が凍結して断水してしまうことも考えて、簡易トイレなどを多めに用意しておくことも必要な対策といえます。

 

このように「一週間は家から出られず、電気、ガス、水道も使えない状況」となった場合、一体何が必要になるかを家族の面々で考えることが大切です。その時思いついた必要と感じるものを備蓄して、対策しておきましょう。

 

ライフラインが止まった時用の対策を

大雪は救助する側の足も止めてしまいます。断水してもすぐに給水車がくるとは限らず、電気も回復するまで時間がかかる可能性も否定できません。そのため飲料水や食料のほか、カセットコンロや使うためのガスボンベ、灯りを取るための懐中電灯や電池なども必要です。

 

水道は保温材を巻いたり、少量の水を流しておいたりすることで、凍結を防げることもあります。しかし、そのような対策をとっていても、水道が凍りつく可能性はあるのです。大事を取って、生活用水としてお風呂に水を溜めておくとよいでしょう。

 

防寒対策はしっかりと

エアコンやこたつ、電気カーペットなど、多くの暖房器具は電気を必要とします。灯油ストーブなどもありますが、十分な灯油を確保しておくのはなかなか大変です。そのため、保温性の高い毛布や防寒着、カイロなどを十分に用意して対策しましょう。

 

特にたまにしか使わないような暖房器具はあらかじめ点検して、安全に動くかチェックしておくことも大切です。「いざ使おうと思ったら故障していた」なんてことがないように、定期的にチェックしておくのも必要な対策といえます。

 

除雪道具も用意しておく

「大雪が降ってから急いでホームセンターに買いに行ったのに、除雪道具はすでに売り切れていた」といったことは珍しくありません。あらかじめスコップや雪を運ぶためのそりなどを購入しておき、事前にしっかりと対策しましょう。

 

雪かきは雪そのものがかなり重いために重労働です。使う道具は、軽いアルミやプラスチックでできたものを選ぶと楽になります。スコップなどは壊れることも想定して、予備も用意しておくと安心です。もし買いそびれた場合には、フライパンやチリトリで代用する手もあります。

 

 

大雪で除雪する時の対策

大雪の地方でも毎年転落などで死者が出るように、雪下ろしをはじめとした除雪作業はとても危険です。ましてや大雪に慣れていない地域の方が雪下ろしをする時は、よりしっかりと対策してから行う必要があります。雪下ろしの時の心構えと対策をまとめました。

 

除雪中の事故対策10か条

除雪中の事故を防ぐために取っておきたい対策は、以下の10か条です。

 

1.家族や隣近所にも除雪作業をすると声掛けをしてから、2人以上で行う

周囲に除雪作業をしていることを知らせておくことで、まきこみ事故の防止になります。また2人以上で作業をすることで、いざ1人が動けなくなってしまったという時でも、もう1人が助けを呼ぶことが可能です。

 

2.雪下ろしをする時は、建物の周りの雪を残す

屋根から落ちた時の対策として、建物の周りに雪を残しておきましょう。転落時に雪がクッションになって、地面で体を強打するリスクを軽減してくれます。

 

3.雪が緩みやすい晴れの日は特に要注意

晴れた日は日光に雪が温められて、緩んで滑りやすくなります。屋根の上の作業は雪ごと足を滑らせて転落しやすくなり、地面での作業も足を取られやすくなるため要注意です。

 

4.落下対策としてはしごはしっかり固定する

はしごがぐらつかないように、足元はもちろんのこと、上もロープなどでしっかり固定します。上は軒先より60cm以上高くして、屋根に移りやすくしてください。それでも屋根への移動時は最も危険をともないます。昇り降りはもちろん、細心の注意をはらいましょう。

 

5.除雪機に雪が詰まったら、エンジンを切って雪取り作業

エンジンを切らずに雪取り作業をすると、再稼働した時に巻き込まれる危険があります。実際に死亡事故も起こっているので、面倒くさがらずにエンジンを切り、安全に作業するよう心がけましょう。

 

6.低い屋根でも転落注意

「1階の屋根ならそんなに高くないし大丈夫」と思う方も多いことでしょう。しかし、屋根からの転落による死亡事故を見た場合、亡くなった方の実に60%が1階の屋根から転落した方なのです。低い屋根ほど油断しやすいもの。細心の注意をはらいながら作業しましょう。

 

7.作業開始直後や疲労を感じ始めたころは特に慎重に

雪下ろしは全身を酷使する重労働です。作業前には、準備運動をして体をほぐしてから始めましょう。体調が悪い時には、ほかの人に作業を代わってもらうことも大切です。作業中にショック死する事故も起こっています。くれぐれも無理は避けてください。

 

8.命綱とヘルメットをしっかり着用しよう

屋根の上に登って作業する時、命綱は転落防止に欠かせません。ザイルや麻ロープなどの滑りにくさと緩みにくさ、両方を兼ね備えたものを使用してください。ヘルメットも落雪などから頭を守ってくれます。命綱ともども正しく着用して身を守りましょう。

 

9.命綱や除雪機など、除雪道具の点検はこまめに行う

命綱はいざという時に命を預けるものです。また、除雪機は除雪作業を楽にして、体の負担を減らしてくれます。いずれもいざという時に使えるように、常に点検をしておきたいものです。手入れはこまめに行いましょう。

 

10.携帯電話を持って作業に当たる

人の目にとまりにくい通路にはまったり、屋根からの落雪に埋まってしまったりした時に、携帯電話があれば救助を呼ぶことができます。また、携帯電話に付いているGPSで、発見を容易にする効果も期待できるのです。安全対策の一環として身に付けて作業しましょう。

 

除雪中の事故が起こりやすい場所

除雪中の事故はどのような場所で起こっているのでしょうか?事故が起こりやすい状況を把握していれば、対策も立てやすくなります。

 

内閣府が公開している資料をもとに、除雪中に起こっている主な死亡事故の内訳をチェックしてみましょう。屋根からの転落が41%、屋根からの落雪が17%、水路への転落が10%、作業中の発作の発症が8%、除雪機に巻き込まれる事故が5%です。

 

中でも群を抜いて多い転落事故の内訳を見ると、はしごからの転落事故が32%を占めています。死亡事故の内訳としては、1階からの転落が60%、転落先の地面に強打されるケースが51%と、かなり高くなっているのです。

 

これらのデータを見ても、先の10か条が対策として有効なことがよくわかります。除雪作業前にまずはこの10か条を元に準備できているかをチェックし、対策をしっかり立てることを忘れないようにしましょう。

 

 

大雪でも外出する時の対策

大雪になると天気予報などで注意喚起されていても、仕事などの外せない用事で出かけることも珍しくありません。では、その場合にはどのような対策をとっておくとよいのでしょうか?

 

車での外出対策

車で外出する時は、スタッドレスタイヤに履き替えるか、チェーンを着用してゆっくり走りましょう。急発進や急ブレーキ、急停車は事故の元です。わだちや押圧された雪、路面凍結などで、ハンドルを取られたり、ブレーキが利かずに滑ったりします。

 

また、空気中を舞う雪や細かい氷の粒により周りの風景が見えにくくなる視程障害や、一面が白く見えて路面などの見分けがつかなくなるホワイトアウト現象にも注意が必要です。運転するのに危険を感じる時には、公共交通機関を利用するのもよいでしょう。

 

意外と忘れがちなことは、公共交通機関の場合は混雑や低速運転などで、自分で車を運転する場合もいつもより低速になることから、目的地までかかる時間が大幅に増すことです。事故も起きやすいため、迂回が必要になることもあります。時間に余裕をもって行動しましょう。

 

使う車にも注意が必要です。四輪車は転倒の心配は少なくてすみますが、自転車やバイクでの外出は危険なのでやめましょう。

 

歩きでの外出対策

バスやタクシーの乗り場のように人が集まるところや、駐車場やガソリンスタンドの出入り口のように車通りの多いところは、雪はアイスバーンのようになるまで踏み固められ、これ以上ないほどに滑りやすく転倒しやすい場所です。

 

雪の多い地域では、路面を温めるロードヒーティングの切れ目が雪や氷による段差ができやすく、転倒しやすい要注意個所といえます。

 

大雪の日に歩きで外出するなら、身支度そのものも見直しましょう。帽子や手袋、上着などは、単なる防寒着となるだけでなく、転倒時にクッションの役をしてくれる厚手のものがおすすめです。靴も滑りにくいものを選びます。

 

歩行時は走ったりせず短い歩幅で、足は上からまっすぐに踏み込むと転倒しにくいです。とっさの時に手が使えないと危険なため、手はポケットから出しておきましょう。飲酒はバランス感覚がマヒするため、お酒を飲んだら外出は絶対避けてください。

 

また、外出時は足元はもちろん、頭上にも要注意です。雪やつららなどが落ちてきそうな場所は、避けるようにしてください。雪で隠れているものにも注意が必要です。用水路などに転落する事故も起きているため、足跡のない場所には近づかないなど注意しましょう。

 

 

大雪は雪崩にも注意

大雪になると途端に発生しやすくなる災害が雪崩です。当然のことながら対策は必要になります。雪崩対策のために、雪崩について知っておきましょう。

 

雪崩が起きやすい時期

雪崩がもっとも発生しやすい時期は1~3月です。気温が低い1~2月は、積もった雪の上に新たに降り積もった新雪が滑り落ちる表層雪崩が多く、速度は新幹線並みの時速100~200kmで落ちてきます。しかも到達範囲が広いため、斜面からより遠くへ避難しましょう。

 

春先になって気温が上がってくると、雪が融け始めることで地面の上に残っている雪全体がまとまって滑り落ちる、全層雪崩が主流です。速度は自動車並みの40~80kmですが、固くて重い雪が落ちてくるので侮れません。

 

雪崩が起きやすい場所

雪崩が発生しやすい危険区域が近所にないか、しっかりとチェックしておくことも重要な対策です。危険区域に指定されている場所はもちろん、急斜面やまばらにしか木が生えていない場所なども、注意したい場所といえます。

 

急斜面とはどのくらいかというと、目安としてはスキーの上級者コース位から危険です。傾斜角でいうと30度からが雪崩が起きやすくなり、最も発生しやすいとされる角度が35~45度になります。「落石注意」の標識がある場所なども避けるべき場所です。

 

雪崩が起きる前兆

雪崩はただ雪が積もっただけで、何の前触れもなく起きたりしません。条件が揃った時に前兆となる現象が起こり、その後に発生します。表層雪崩は気温が低い日が続き、さらに先に積もっていた雪の層の上に、大雪で新雪が新たに一気に層をなした時に発生しやすいです。

 

全層雪崩は逆に、春先の気温上昇時に、以前にも雪崩が発生した斜面などに注意が必要といえます。雪崩の再発が懸念されるかどうか、過去のデータをチェックしておくのも立派な対策です。

 

雪崩には前兆となる現象がいくつもあります。例えば、山頂部分から雪の塊がせり出す「雪庇(せっぴ)」です。表層雪崩に多く、張り出している部分が落ちてきて雪崩になります。雪崩防止柵が山頂代わりとなって、同様のことが起こることがあるため要注意です。

 

家の裏山などで特に注意したいのが、地形がわからなくなるほど地面が平らになって見えることでしょう。表層雪崩が起きやすくなっている証拠です。すぐに避難しましょう。

 

斜面を雪の玉(スノーボール)が、コロコロといくつも転がり落ちてくるのも雪崩の前兆です。数が増えるほど危険度が増すので、一刻も早い避難が必要になります。

 

このほかにも斜面の雪の上にできる裂け目(クラック)や、雪がシワ状に寄って波模様になる雪シワは、全層雪崩の前兆です。特に雪シワは積雪量が少なくても全層雪崩が起こりやすい危険信号なので、常にチェックをおこたらないようにしましょう。

 

 

おわりに

大雪の対策は、住んでいる地域の雪の多さや、周囲の自然環境も考えて用意しておくと安心です。特に雪に慣れていない地域に住んでいる方が雪の多い地域へ出かける際は、事前に十分対策を立てておくようにしましょう。

 

大雪によって引き起こされる災害は、いずれも命にかかわるものです。常に雪による災害への対策を意識することで、いざという時でも安全を確保できるようにしてください。

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