古い町家が軒を連ね、江戸時代の雰囲気が感じられる、奈良県中部・橿原市の「今井町」で今、「奈良のユニークなお土産としてピッタリ」な商品を製造、販売する場所がある。
明治時代から創業120年近くの老舗薬品会社、端壮(たんそう)薬品工業の代表兼薬剤師の中村康之也さんが手掛ける「おにみみコーラ」だ。
もともと同社の看板商品は「おにみみ」という昔ながらの風邪飲み薬。おにみみとは「鬼の耳で風(風邪)を切ろうじゃないか」との心意気から命名され、赤鬼のレトロなデザインで知られる。「みみづ配合」もインパクトある。
しかし、「なぜ薬屋がコーラ?」と疑問を抱く人も多いだろう。代表が紙芝居で、開発のエピソードを紹介してくれた。
新型コロナが広がるとともに、手指消毒やマスク着用が習慣になると、風邪を引く人が減り、風邪薬の売り上げも激減。会社存続のピンチに、代表は小説を書いて賞金を狙ったり(あえなく落選)、おにみみをデザインしたカードゲームやインスタントのお茶などを作ろうとしたりしたものの、いずれも競合がすでに多いなどの理由から挫折した。
そんな時、家族との会話などから「コーラ」というアイデアが出て、試作したという。
そして、2020年秋から販売。手のひらサイズにデザインのかわいらしさもあり、メディアに取り上げられる機会が増えると売り上げも上昇。今では、わざわざ今井町の店舗に訪ねてくる観光客や、東京にある奈良県の発信拠点「奈良まほろば館」で買う人もいるとのこと。
公式サイトからの通信販売、電話やFAXでの注文、郵送にも対応している。
おにみみコーラは、薬剤師が手掛けるだけあり、季節ごとに違う調合なのが特徴。冬のコーラだと、ナツメグ、シナモン、クローブ、カルダモン、ジンジャー、オールスパイス、八角、ブラックペッパー、チンピ、レモングラス、柿の葉、フェンネルシード、ローズヒップといったスパイスとハーブを配合する。
シナモンは風邪の症状改善に期待でき、ナツメグは気管支炎に効果があるとされる。春になるとまた違う調合で販売される。
1瓶90ml、クラフトコーラ約6杯分。おすすめは炭酸水で割ってレモン汁を好みで入れる飲み方で、その他、チャイ風やホットなど自分好みにアレンジして飲むのもおすすめという。
コーラは身体に悪いジャンクなイメージが以前はあったが、近年は無添加手作りにこだわって身体にいいクラフトコーラの知名度も上がっている。
スパイシーだけど甘さもあり、子どもから大人まで飲みやすい。奈良のちょっと変わったお土産やプレゼントにいかがだろうか。
おにみみコーラ 端壮薬品工業株式会社
https://onimimicola.jimdofree.com/
(Written by A. Shikama)