歴史あるアニメーションスタジオだからこそのなせる業 『ミラベルと魔法だらけの家』で描かれる共感必至の物語とは
観客を物語へと引き込む珠玉の音楽と圧巻の映像美で、世界中に感動を与え続けるディズニー・アニメーション・スタジオが、長編アニメーション60作品目となる記念すべきタイミングで新たに贈り出した『ミラベルと魔法だらけの家』が大ヒット公開中です。
『モアナと伝説の海』(2017)以来4年振りの新作オリジナル・ミュージカルとして公開前から大きな話題を集めてきた本作。“魔法”に溢れる世界に住む新ヒロイン・ミラベルの活躍を描かれるが、公開直後から、SNS上では、「ミラベルも家族も皆が魅力的で、それぞれに共感できる部分があって涙」「一人一人のキャラクターがみんなその人なりの事情を抱えてて、どのキャラクターにも共感できる」「複雑さを抱えてる家族の描き方はリアリティと共感があってかなり感情を揺さぶられた」「周りにいるみんなを改めて愛おしくなる映画だった」と、主人公・ミラベルだけでなく、ミラベルの家族・マドリガル家の家族たち全てに焦点を当てた本作に絶賛の声が相次いでいます。
プロデューサーを務めたクラーク・スペンサーは、「1アニメーションで描かれるのは、せいぜい2~3人くらい」と話し、大家族全員に焦点をあてた作品は極めて珍しいと説明。その上で、「今作には13人も出てくる。それらすべての人たちに、ちゃんとストーリーラインが与えなければならなかった」と、本作では、家族13人それぞれにしっかりと軸を据えたストーリーが展開されることを強調。共同監督・脚本を務めたシャリース・カルロス・スミスもまた、「90分の中で13人のキャラクターにそれぞれのストーリーラインを与えるのは容易じゃなかったわよ(笑)」とその苦労を振り返る。今回、ディズニーはなぜ、このような難しい道を選んだのでしょうか…?
本作で監督を務めたバイロン・ハワード(『ズートピア』、『塔の上のラプンツェル』)は、“大家族”を描くことに決めた理由について「2人ほどのキャラクターではなく、親族たちの大家族のストーリーを語れたら素晴らしく面白いのではないかと私たちは考えました」と説明。「大家族の複雑な人間関係を祝福し、また、それが本当の意味でどのように機能するものなのかを理解したいと思いました。私たちは自分の家族のことをどれほど知っているのでしょう?彼らは私たちのことをどれほど知っているのでしょう?」とも話すように、彼らは、誰もが身近に感じる“家族”同士でも、実は互いに知らない側面があること、そして、それを理解し合うことの大切さを唱えようとしました。そこで重要視したのが、あらゆる観客たちを、家族の中の誰か1人だけではなく、全員の視点に立たせることだったのです。
本作の主人公のミラベルは、家族の中で唯一、“魔法のギフト(才能)”と呼ばれる特別な力を持たない女の子。普段はそんなことは気にせず明るく振舞っているように見えるが、家族たちのような才能を持たないからこその疎外感を人知れず感じています。しかし、悩んでいるのは、ミラベルだけではありません。実は、“魔法のギフト”を授かった家族たちもまた、それぞれ心の内に抱えているものが…。
ミラベルの姉を例にあげると、花を咲かせるギフトを持つ一見完璧に見えるイサベラは、完璧な自分を演出しようとするがゆえに本当の自分出せないことに悩み、力(パワー)のギフトで周囲を支える頼れるルイーサは、頼りにされすぎるがゆえに抱えきれないほどのプレッシャーを感じ苦しんでいます。
この3姉妹は、同じ家で暮らす家族でありながらも、それぞれが全く異なる景色を見ていて、互いにそのことには気がつけていない。それは他の家族たちにおいても同様。製作陣たちは、それぞれが別の視点で物事を捉え生きているということを伝えるため、誰か1人の視点に留まらないような工夫を行っています。1人1人異なるマドリガル家の家族たち全員にスポットライトをあてることで、観客たちは家族それぞれの視点に立ち、各々に自身が共感できるポイントを見出すことができるようにしたのです。結果、観客たちはマドリガル家全てに親近感を覚え、いつの間にかマドリガル家の家族全員のことを大好きになってしまうはず。
ウォルト・ディズニー社創立100周年を数年後に控え、ディズニー・アニメーション・スタジオが、長編アニメーション60作品にして、これまでにない大家族を描くという新しい挑戦をした最新作。共感必至のストーリーを是非劇場で!
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