ドラフト下位指名の逆襲!2021年プロ野球「下克上」ベストナイン!

access_time create folderエンタメ

ドラフト下位指名の逆襲!2021年プロ野球「下克上」ベストナイン!

 プロ野球チームにとって、ドラフト下位指名選手のブレークほど、うれしい誤算はない。昨シーズンでいえば、阪神で正遊撃手となり、30盗塁でタイトルを獲得したドラフト6位の中野拓夢が代表的だろう。同1位の佐藤輝明が24本塁打、2位の伊藤将司も10勝とルーキーが主力となった昨年の阪神はドラフト大当たり年になったが、上位指名の活躍と下位指名の活躍では意味合いが違ってくる。

 一般的に「ドラ1」をはじめとする上位選手には、プロでプレーする前から契約金を含めて1億円近い金額が支払われる。期待度の大きさに、球団は先行投資をする。期待度が低い下位指名は、契約金を含め条件面が安い。育成選手になると、年俸に支度金を含めても数百万円程度で済む。初期投資が少ない下位指名が活躍してくれたら、球団には「もうけもの」というわけだ。

 選手側からすると、下位指名が入団時の「格差」をうめるには、活躍して稼ぐしか方法はない。指名順の低さを原動力に、のし上がっていく姿は痛快だ。12球団のドラフト下位選手(主に6位以下)のなかから、2021年シーズンに活躍した「下克上ベストナイン」を勝手に選んでみた。

・今すぐ読みたい→
矢野阪神 「今季限り」で早くもささやかれる「次期監督」の名前とは https://cocokara-next.com/athlete_celeb/next-tigers-manager/

【下克上ベストナイン(ドラフト順位)】

◆投手<先発>=千賀晃大(育成)
◆投手<救援>=今野龍太(9位)
◆捕手=甲斐拓也(育成)
◆一塁=呉 念庭(7位)
◆二塁=糸原健斗(5位)
◆三塁=宮崎敏郎(6位)
◆遊撃=中野拓夢(6位)
◆外野=杉本裕太郎(10位)
◆外野=佐野恵大(9位)
◆外野=松原聖弥(育成)
◆DH=島内宏明(6位)

 30歳で本塁打王を獲得し、オリックス優勝の原動力となった杉本の「ドラフト10位」がひときわ目立つ。ほとんどがドラフト6位以下でも、昨季活躍したメンバーがこれだけそろう。年俸の推移、惜しくも選外となった下位指名選手も含めて紹介していきたい。

【投手(先発)】
10年育成ドラフト4位
◆ソフトバンク千賀晃大(28歳)
年俸1年目270万円→4億円
(入団時支度金300万)

 育成契約からはい上がったスーパースター。故障に苦しんだ昨シーズンも最終戦できっちり10勝目をあげ、6年連続2ケタ勝利をマーク。年俸270万円から4億円とジャパニーズドリームをつかみ、下位指名選手に夢と希望を与える存在となっている。

 先発投手では「ドラフト6位」組が活躍。日本ハム上沢直之(11年)が12勝、楽天滝中瞭太(19年)が初の10勝、巨人戸郷翔征(18年)は2年連続9勝。ちなみに投手4冠のオリックス山本由伸は16年4位と下位指名ではあるが、ドラフト指名順の低さが基準の「下克上ベストナイン」のため選外。

【投手(中継ぎ)】
13年楽天ドラフト9位
◆ヤクルト今野龍太(26歳)
年俸1年目440万円→800万円
(入団時契約金1500万)

 13年ドラフトで楽天9位の今野は全球団最後の76番目(育成をのぞく)、いわゆる「最下位指名」からはい上がった。19年オフに楽天から戦力外通告を受け、拾ってもらったヤクルトに恩返し。昨季は自己最多64試合に登板し、7勝1敗24ホールド、防御率2.76。中継ぎでフル回転し、最下位チームで優勝し「下克上」を果たした。

 同じく「ドラフトしんがり」16年10位指名の楽天西口直人が33試合に登板して5勝した。巨人 中継ぎ下位指名トリオが奮闘。58試合登板の中川皓太が15年7位、55試合の高梨雄平が16年9位(入団は楽天)、47試合の大江竜聖が16年6位。61試合41ホールドの阪神岩崎優は13年6位。4年連続40試合登板の日本ハム玉井大翔が16年8位。

【捕手】
10年育成ドラフト6位
◆ソフトバンク甲斐拓也(28歳)
1年目年俸300万円→1億6500万円
(入団時支度金270万)

 「甲斐キャノン」の強肩で知られるチームの要は昨季全試合に出場。打率は.227にとどまったが、12本塁打、44打点とキャリアハイの成績を残した。東京五輪では、侍ジャパンの正捕手として攻守でチームを引っ張り、金メダル獲得に貢献した。

 ソフトバンクは甲斐と千賀、足のある牧原大成を含め3人が10年ドラフトの育成同期入団。育成選手が1軍で活躍すること自体が厳しい世界で、3人も戦力となった育成の「神ドラフト年」といえる。

【一塁】
15年ドラフト7位
◆西武・呉念庭(ウー・ネンティン、28歳)
年俸1年目600万円→880万円
(入団時契約金2000万)

 台湾出身ながら高校、大学と日本で通い、15年ドラフト7位で西武に入団。昨季は主砲山川の不在時に一塁を守って持ち味の打力を発揮。内野のユーティリティー選手として初めて規定打席に到達し、打率.238、10本塁打、48打点。オールスターにも初出場した。

 日本ハム髙濱祐仁は14年ドラフト7位。中田翔が巨人移籍後の一塁を任され、107試合出場で8本塁打、43打点と飛躍のきっかけをつかんだ。

【二塁】
10年ドラフト5位
◆阪神・糸原健斗(28歳)
年俸1年目800万円→5500万円
(入団時契約金5000万)

 今回の下克上ベストナインではもっとも順位が高い?「ドラフト5位」の糸原。昨年の右手骨折から復活し、125試合出場で打率.286をマーク。ルーキー中野と二遊間コンビを組み、チームの優勝争いに貢献した。

【三塁】
12年ドラフト6位
◆DeNA宮崎敏郎(32歳)
1年目年俸850万円→1億7000万円
(入団時契約金3500万)

 ともに首位打者の経験がある「横浜の安打製造器コンビ」DeNA宮崎は12年6位、佐野が16年9位と、ドラフト下位指名とは思えない打撃センスの持ち主。宮崎は打率.301、16本塁打、73打点、佐野は打率.303、17本塁打、72打点と昨季ほぼ同じような成績を残し、三塁と外野部門の「下克上ベストナイン」に選出。FA権を取得し、去就が注目されていた宮崎は、球団と6年契約を結んで残留を表明した。

【遊撃】
20年ドラフト6位
◆阪神・中野拓夢(25歳)
1年目年俸800万円
(入団時契約金3500万)

 俊足巧打のドラフト6位ルーキー中野が盗塁王に輝いた。135試合に出場し、30盗塁、打率.273、1本塁打、36打点をマーク。近本との1、2番コンビでかき回し、20犠打とつなぎ役も果たした。長くレギュラーを固定できなかった阪神の正遊撃手に定着し、救世主となった。

【外野】
15年ドラフト10位
◆オリックス杉本裕太郎(30歳)
1年目年俸600万円→1400万円
(入団時契約金2000万)

16年ドラフト9位
◆DeNA佐野恵大(26歳)
1年目年俸670万円→7000万円
(入団時契約金2500万)

16年育成ドラフト5位
◆巨人・松原聖弥(26歳)
1年目年俸240万円→2200万円
(入団時支度金300万)

 32本塁打で初タイトルを獲得したオリックスの「ラオウ」こと杉本が大ブレーク。ドラフト10位の本塁打王は、阪神掛布雅之(79年6位)、広島新井貴浩(98年6位)を超え、史上最低位での下克上キングとなった。15年ドラフトでは全球団の支配下88人中87番目のブービー指名。昨季まで5年間で9本塁打の30歳が遅咲きの花を咲かせ、「3割30発」も球団生え抜き初の快挙だった。

 セ・リーグでは、16年育成5位の巨人松原が135試合に出場し、打率.274、12本塁打、15盗塁。球団史上2位となる27試合連続安打を放ち、V逸のチームに明るい話題を提供した。変わり種では、17年育成ドラフト1位のロッテ和田康士朗が、ほぼ代走専門の役割で24盗塁をマークし、初タイトルを獲得した。

【指名打者】
11年ドラフト6位
◆楽天・島内宏明(31歳)
1年目年俸600万円→1億2000万円
(入団時契約金3000万)

 ドラフト6位入団の島内はプロ10年目で念願の初タイトルとなる打点王(96打点)に。打率は.257でもチャンスに強く、自己最多21本塁打を放った。震災10年の節目に地元仙台で開催されたオールスター第2戦では3安打3打点の活躍でMVPを獲得した。(年俸は推定)

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


関連記事リンク(外部サイト)

楽天謎指名、巨人抽選15連敗、ビッグダディ・・・2021ドラフト総括
ドラフト10位から本塁打キング オリックス杉本裕太郎の凄さをなぜ誰も見抜けなかったのか
矢野阪神 「今季限り」で早くもささやかれる「次期監督」の名前とは

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. ドラフト下位指名の逆襲!2021年プロ野球「下克上」ベストナイン!
access_time create folderエンタメ
local_offer
ココカラネクスト

ココカラネクスト

ココロとカラダのコンディショニングマガジン『CoCoKARAnext』(ココカラnext)がお届けする総合情報サイトです。

ウェブサイト: https://cocokara-next.com/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。