なぜテレビでニコニコ生放送? 開発者に話を聞いてみた
テレビ向けニコニコアプリ「niconico」は、2013年3月21日、パナソニックのテレビ「ビエラ」とレコーダー「ディーガ」で、従来のニコニコ動画に加えて、ニコニコ生放送の視聴も可能にするアップデートを行った。パソコン、スマホ、携帯ゲーム機と様々なインターフェイスで視聴できるようになりつつある、ニコニコ生放送。なぜ、いまテレビへの対応を進めているのだろうか。このサービスの開発者である株式会社キテラスの栗栖 到(くりす いたる)氏に話を聞いてみた。
・[ニコニコニュース]ビエラ・コネクト版『niconico』リリース時の記事はこちら
http://news.nicovideo.jp/watch/nw400347
「帰宅して、とりあえずテレビをつける。そうした30〜40代の人たちをターゲットに、このサービスを開発しました」と、キテラスの栗栖氏は語りはじめた。このサービスはニコニコをあまり使ったことのない人に向けて、とっかかりとして機能すればという思いがあるという。
リビングのソファに横になり、チャンネルを変えて番組を探す。型通りのバラエティも飽きたし、クイズ番組も退屈だ。そんなときに、「ニコニコ生放送はTVの前にいる人に新しい刺激を与えてくれる」という。何しろ編集がないのでライブ感はありありと伝わるし、コメントが入ることで、まるで友達と一緒になって見ているような一体感も加わる。「次になにが起こるかわからない」というハラハラ感とともに、画面をみんなで見守るというのも、生放送ならではの醍醐味だ。
では、実際にはどのような操作で生放送を見るのだろうか。栗栖氏自らがリモコンを手に解説してくれた。さっそく以下の動画を見てみよう。
・[ニコニコ動画]キテラス社員が動画で解説してみた~ビエラ向けniconico編
http://www.nicovideo.jp/watch/1364552517
■ 開発者の栗栖 到氏に聞いてみた
――このサービスの楽しみ方は?
「何か別のことをしながら、視線の端で追うことができる――そんなテレビの楽しみかたの1つである”ながら見”に、ニコニコ生放送はぴったりだと思いました。また、将棋や野球といった、時間帯で盛り上がりに変化のある中継放送などでは、動きがないタイミングでもコメントで映像に面白さが増しますので、従来のテレビ観戦とはまた違った楽しさがあります」
――ニコニコ生放送におけるテレビ独自のサービスはなんですか?
「大画面で観賞することが多いと想定して、公式生放送の一部をプレミアム会員向けに高画質配信します。また、『注目度ランキング』という、パソコンからの予約数を元にした独自のカテゴリも設けています」
――テレビというデバイスを意識した工夫は、他にはありますか?
「ライトユーザーに合わせて、細かな機能を削って、シンプルな操作性になるように心がけました。また番組のサムネイルを大きく表示して、視覚的にもわかりやすくなるようにしています」
■ ニコニコ生放送で変わるテレビの見方
的確なツッコミでクスっとさせられたり、ありきたりな場面がコメントによって全く別の風景に変わる。そんなニコニコの楽しさを少しでも多くの人に触れてもらうために、普段から慣れ親しんでいるテレビという媒体はうってつけだと、栗栖氏は考えたという。
実際、栗栖氏がスポーツ中継をこのアプリで視聴してみたところ、選手や技を丁寧に説明してくれるコメントが流れてきて、TVでそうした体験をする新鮮さに驚かされたという。また、記者会見や討論会では、他の人がどのように感じているかがリアルタイムに分かる。そういう体験を通じて、”とりあえず”テレビを見ていただけの人が、いつの間にかニコニコの魅力に触れていくことになるのだ。
あくまでターゲットを明確に、シンプルに。あえてテレビでニコニコ生放送を見るという試みの裏には、こうした開発者の工夫が隠されている。
今週土曜日の、2013年3月30日には、ニコニコ生放送で第2回電王戦の第2局が配信される。
・第2回将棋 電王戦 HUMAN VS COMPUTER
http://ex.nicovideo.jp/denousen2013/
・[ニコニコ生放送]第2回 将棋電王戦 第2局 佐藤慎一四段 vs ponanza – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv118754300?po=newsgetnews&ref=news
コメント付きでの将棋配信は、ユーザーからもTV放送では得られなかった、新鮮な体験であったとの声が高い。ぜひ、お茶の間でこの放送を見てみてはどうだろうか。今までニコニコを知らなかった家族や友人が、興味をもつきっかけになるかもしれない。
■ ビエラ/ディーガ向けニコニコ生放送対応デバイス
対応機種はDT60、E60シリーズ、BXT3000をはじめ、幅広くカバーしている。くわしくはパナソニックのWebサイトで確認してみよう。
・ビエラコネクトの対応について
http://panasonic.jp/viera/viera_connect/list.html
会員登録をすれば、テレビ画面でニコニコ生放送が視聴可能になる。公式生放送はもちろん、チャンネル生放送、ユーザー生放送にも対応。操作はリモコンの十字ボタンを使えばよく、テレビのチャンネルを切り替えるように、ほかの番組へと移動することができる。なお、ニコニコ動画は会員登録なしでも一定時間視聴可能である。
(了)
◇関連サイト
・ニコニコTV|テレビでniconicoの動画、生放送を楽しもう
http://info.nicovideo.jp/nicotv/
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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