藤岡みなみ|土の芸術に驚き、ちょっと震えた【思い立ったがDIY吉日】vol.59
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は土の芸術について!
藤岡みなみ
タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
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土の芸術に驚き、ちょっと震えた
無理やり大根を育てた。無理やりというのは、たいして深さのない花壇に種をまいたのだ。大根には窮屈な思いをさせ、申し訳ないことをした。そうまでしても大根を育ててみたかった。収穫どきになると「さあ、ひっぱってくれ!」とばかりに葉を広げ、土から白い頭をにょきにょき出して待っているあの感じに憧れる。少しくらい窮屈でも、もしかしたら横に成長したりして意外とうまくやるんじゃないか、と予想した。
種まきからおよそ2ヵ月。にょきにょき頭が見えてきた。うまくいっている気がする。ひと思いに引っ張り出してみると、大根は衝撃の姿をしていた。すごく……下半身です。地上に出た部分から下はきれいな二股に分かれ、絶妙に人間の脚のようになっていたのだ。いまにも歩き出しそう。
美脚の収穫シーズンを迎えた。
つぎに収穫した大根は、まるで尿意を我慢しているかのように脚をクロスさせている美脚だった。なんで全部基本美脚なんだ。角度によってはつま先をのばしたバレリーナにも見えるし、少し腰を曲げているところを見るとビーチでバカンス中のようでもある。いろんな見方ができるというのは、芸術作品っぽいなと思った。知人に写真を見せると「リアルすぎて怖い。マンドラゴラ?」と言われた。マンドラゴラを調べてみると、人間の胴体や手足に似た根を持ち、引き抜くときに叫び声をあげその声を聞いた者は発狂してしまうといううわさのある植物だった。怖すぎるだろ。違うよ、大根だし。叫び声も多分……聞いていない。
トイレに行きたそうな大根。
美脚大根、きっと原因は土の浅さと石の混入によるものなので栽培者としては反省すべきところだが、それよりもあまりの美脚さ、ユニークさに見とれてしまった。出会えて嬉しい。これはもう作品だし、生々しい命が宿っている感じだ。土こそ、植物こそDIYの天才なのだとはっきりわかった。
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