身に付いていることをあらわす「堂に入る」の意味や使い方は?気になる由来もご紹介!

知識や技術が身についていることをあらわす際に用いられる「堂に入る」。
慣れている様子を指す際にも使用されます。
では、なぜこれらの様子を「堂に入る」と表現されるのでしょうか。
ここでは「堂に入る」という言葉について、その意味や由来、類義語について解説していきます。
「堂に入る」とは
まずは「堂に入る」という言葉について、読み方や意味を見ていきましょう。
読みは「どうに”いる”」
堂に入るの読みは「どうにいる」となります。
「どうにはいる」ではありませんので、注意が必要です。
「堂に入る」の意味
「堂に入る」とは、学問や技芸などの奥義に達していることです。
突出した知識や技術を持っている人を指すこともあります。
これらの意味合いが転じて、すっかり慣れて身についていることの例えとして用いる表現となります。
「堂に入る」の用い方
「堂に入る」は、特定の物事を極めたことを指す表現です。
プロフェッショナルやスペシャリストという事になります。
しかし、近年では物事に対してすっかり慣れているベテランという意味合いで用いられる傾向にあります。
特ある分野に慣れていてスキルが身についていることをであらわす際に使用されます。
また、成長途中で小慣れてきた人を評する際に、「堂に入ってきた」と表現する事もあります。
「堂に入る」の由来

ここでは「堂に入る」という表現の由来について見ていきましょう。
孔子の弟子に対する発言から生まれた
「堂に入る」という言葉は「論語」の「先進」にある話から来ています。
ある日、孔子が弟子である子路に対して「私の弟子の割には瑟がうまくない」と論評しました。
瑟(しつ)とは、琴に似た指で奏でる楽器のことです。
孔子というと、論語で知られていますが、瑟の演奏家でもあり作詞作曲もしていたと伝わっています。
そんな孔子からの論評によって、これまで高弟として一目置かれていた子路を、他の弟子たちは敬わなくなってしまいます。
この状況をよろしくないと思った孔子は、「由や堂に升れり、未だ室に入いらず」と説きました。
これは「子路は表座敷には上がっているが、奥座敷に入るところまでは至っていない」という意味となります。
つまり、孔子は「子路は上達しているものの、まだ奥義にまでは達していない」ということを伝えたかったわけです。
この孔子の言葉は、他の弟子たちにも研鑽を積むよう戒める意味合いがあったともされます。
そして、この「由や堂に升れり、未だ室に入いらず」の逸話から、「堂に入る」という表現が生まれたとされています。
由来となった弟子は”愛されキャラ”?!
「堂に入る」の由来となる逸話に登場する子路は、孔子の最古参の弟子の一人です。
孔子の弟子と聞くと、インテリのようなイメージがしますが、子路はそのイメージを覆します。
質実剛健で武勇を好む反面、軽率さがあったのだとか。
これだけ聞くと、武将などの方が似合っていそうという印象をいだきます。
そんな軽率さもある子路相手だからこそ、孔子もうっかり評判を落とすような発言をしてしまったのかもしれません。
とはいえ、子路は孔子に認められていなかったわけではありません。
孔子の高弟、「孔門十哲」のひとりに数えられるほどでしたし、中国において孝行が特に優れ後世の模範となるとされる「二十四孝」のひとりにも数えられることもあります。
論語の中でも気の早さをあらわす逸話が出てきています。
しかし、それでも高弟として数えられているのは、子路のその直情な性格を孔子が愛していたからかもしれませんね。
「堂に入る」の類義語

ここからは「堂に入る」の類義語について見ていきましょう。
その類義語には「板につく」「様になる」などがあります。
板につく
「板につく」は、積み重ねの結果として立場や境遇が似合ってくることをあらわします。
また、日々の稽古や練習などにより相応の知識や技術が身につくことを意味します。
もともとは、役者が実績や経験を積むことで、演技が舞台によく調和することを指していた言葉だったともされます。
これが転じて、日々の積み重ねが結果に繋がることを言うようになったとされます。
様になる
「様になる」は、それらしくなる、それっぽくなるという表現です。
また、似合うことや格好がつくことなどをあらわすこともあります。
立派ではないものの、結果がどうにか形になっていることに対して用いられる事もあります。
なお、ここで言う「様」とは、外に現れる様子や物事の形を指しています。
まとめ
「堂に入る」は、慣れていて身についていることを指す言葉です。
もともとは、その道を極めていることをあらわす際に用いられていましたが、現在ではベテランといった意味合いで用いられることが多くなっています。
この言葉は、もともと孔子が子路という弟子を評した言葉から来ているとされています。
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