たくましく生きる力を育む! 日本のレジリエンス教育第一人者が教える”声かけ”メソッド
アメリカやシンガポール、欧州各国の名門校が次々に導入している「レジリエンス教育」が注目されています。”レジリエンス”とは、回復力や復元力を意味する英語で、どんな逆境にも負けず、たくましく生き抜く力を育む教育法です。
そのレジリエンス教育において、日本の第一人者とされる足立啓美さんが執筆した書籍『子どもの心を強くする すごい声かけ』を紹介します。子どものレジリエンスを高めるには、日々の生活の中で適切なコミュニケーションが欠かせないと足立さんは言います。親が”声かけ”という肥料を与えることで、子どものレジリエンスの種はぐんぐん育つとのこと。安心感や希望、落ち着き、つながりを感じられる大人との関係が、その種を力強く育てる土壌になるそうです。
そんなレジリエンスについて、第1章では、親が知っておくべき7つのことを紹介。「ネガティブ感情は否定しないで受け止める」「『感情は自分で選べるもの』と教えよう」など、声かけをするうえで大切なことを解説しています。
なかでも興味深いのが「24の『強み』図鑑」。レジリエンスを育てるためには子どもの強みを理解することが大切だとし、好奇心、向学心、創造性、全体を見渡す力などの性格的な強みを24に分類したチェックリストを掲載しています。動物のイラストが添えられていたり、当てはまるものにチェックするリストがついていたりと、親子で楽しみながら子どもの強みを見つけられそうです。
そして、声かけの実践例を学べるのが第2章。子育てによくあるシチュエーション別にOKとNGの声かけ例が載っており、すぐにでも取り入れることができます。
たとえば「学校に行きたくない」と子どもが言い出したら、みなさんならなんと声をかけるでしょうか? 「なぜ行きたくないの?」と理由を訊いたり、「行けば楽しいよ」と登校を促したりするかもしれません。けれど、これはレジリエンス教育的にはNGな声かけだそうです。
OKな声かけは、まずは「教えてくれてありがとう」と助けを求めてきたことに感謝するのが第一歩なのだとか。誰かに自分の悩みや弱さを開示できた強さを認めてあげたうえで、子どもの気持ちをじっくりと聞いてみる、そして不安やわからない気持ちをまるごと「そっか、そっか。ゆっくり休もう」と受け止めてあげるといいのだと解説しています。
ほかにも「環境の変化に対して不安になっている」「失敗して落ち込んでいる」「挑戦を渋る」などの実例が出ていますので、困ったときにはOKな声かけをぜひ参考にしてみてください。
コロナ渦において、以前より親子で向き合う時間が増えた人も多いかと思います。逆に言えば、それは子どものレジリエンスを育てる絶好の機会と捉えることもできるかもしれません。逆境や困難を乗り越えられるしなやかさを身につけてほしいと願う親にとって、本書はきっとよいガイドになってくれることでしょう。
[文・鷺ノ宮やよい]
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