「夏のボーナスは減る」と3割が予想。どうする、住宅ローンのボーナス返済
住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFSは、「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査を、現在返済中の30~50代に実施した。その結果、ボーナスの支給額減少と住宅ローンの返済に深い関係があることが分かった。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」について調査/モゲチェック(MFS)
コロナ下の夏のボーナス、「減る」と予想した人は3割前後
住宅ローンの返済方法には、「毎月の返済のみ」と「毎月の返済+ボーナス時に返済を加算」の選択肢がある。ボーナス時の返済を併用する方法のメリットは、その分だけ毎月の返済額を抑えることができることにある。例えば、3000万円を借りる場合、全額を毎月の返済だけにするよりも、2000万円を毎月の返済に、1000万円をボーナス時の加算に割り振ったほうが、毎月の家計に余裕が持てることになる。ただし、ボーナスの支給額は景気の影響を大きく受けるので、無理のない範囲にとどめることが推奨されている。
今回のMFSの調査によると、住宅ローンの返済でボーナス返済を併用している人は、全国で35.6%だった。ただし、関西ではボーナス返済を併用する人は19.8%と少なくなる。関西のほうがより堅実な家計なのだろうか。
しかし、いまはコロナ下だ。業績が悪化している業種もある。「この夏のボーナスは減る」と予測した人が多い業種は「公務員」(38.2%)、「製造業」(35.2%)、「情報通信業」(31.7%)、「飲食・宿泊を含むサービス業」(31.6%)などが上位に挙がった。また、年代別に見ると、「減る」と予想したのは、「30代」で31.4%、「40代」で28.4%、「50代」で26.6%となり、若い世代のほうが、減ると予測した人が多いという結果になった。
昨年より夏のボーナスは減るか(年代別)(出典/MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」より転載)
夏のボーナス支給額が、住宅ローンの返済額より下回る人が多数続出!
ボーナス返済を併用している人に、「今年の夏のボーナス支給額は、住宅ローンのボーナス返済額を上回るか(上回ったか)」を聞いたところ、「上回る」つまり、ボーナスの支給額でボーナス返済をしても手元に残る人が半数以上ではあったものの、「返済すべき額より支給額が下回る」人や、「支給額は上回るがその他の返済を考慮するとマイナスになる」人も相当数いる。特に30代では、合わせて48.0%の人がボーナスの支給額を住宅ローンの返済などに充てると赤字になるという、厳しい現実が浮き彫りになった。
今年の夏のボーナス支給額は、住宅ローン返済額を上回るか(出典/MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」より転載)
コロナ収束後にはボーナスの支給額が元に戻り、一時的に貯蓄を取り崩すなどで対応できるという場合ならいいが、今後もボーナス返済が家計を圧迫する可能性があるなら、このままにはしておけない。ボーナス返済について何か対策をしているのだろうか?
コロナ下で「ボーナス返済について検討、もしくは実行したことがあるか」を聞くと、「検討・実行した」人は特に30代で多く、37.5%にも達した。若い世代ほど夏のボーナス支給額が減るという人が多く、そのことが住宅ローンの返済にも大きく影響しているがうかがえる。
ボーナス払いについて検討・実行したことがあるか(出典/MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」より転載)
ボーナス返済が厳しい…その対策方法は?
さて、住宅ローンのボーナス返済の対策をするとしたら、どんなことが考えられるのだろう?
まず、ボーナス返済の額を減らしたり、無くしたりすることが考えられる。割り振りの変更は手続きをすればでき、さほど難しいことではない。例えば、3000万円のうち1000万円分をボーナス返済分にしている場合なら、それを500万円に減らしたり、全額を毎月返済にしたりするわけだが、その分だけ毎月返済分の割合が増えて、毎月の返済額は増えることになる。
つまりこの「ボーナス返済の変更」は、ボーナスの支給額が減っても、毎月の返済には余裕がある場合に効果を発揮する。
ところが、MFSの調査で「毎月の住宅ローン返済が家計の負担になっているか」を聞いたところ、半数近くが負担(とても負担+少し負担)になっていると回答している。毎月の返済も負担になっているのであれば、ボーナス返済分を抑えて毎月の返済に上乗せするという選択肢は、とりづらいことになる。
毎月の住宅ローン返済は家計の負担になっているか(出典/MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」より転載)
MFSによると、今回具体的な対策として最も多く挙がったのが「他金融機関への借り換え」で、ほかにも「借り入れ先の金融機関への相談」、「FP や専門家に相談」が挙がったという。
ボーナス返済も毎月の返済も厳しい場合は、まずは「借り入れ先の金融機関に相談」するのがよいだろう。例えば、返済期間を延ばす(30年から35年など)ことで、住宅ローンの返済額を抑える対応策などを用意していることも多い。具体的に何ができるかは、金融機関などによって異なるので、まずは借り入れ先に相談することをお勧めする。ただし、返済期間を延ばすなどの対応策によって利息が増えて、最終的に返済する総額が増えることに留意してほしい。
また、調査で多かったという「他金融機関への借り換え」は、いま適用されている金利よりも、新たに借りるローンの金利のほうが低いことで効果を発揮する。ローン残高が多く、返済年数が長く残っている場合ほどその効果は大きい。ただし、別の金融機関と改めて住宅ローンの契約を結び直すので、当初借りたときと同様にかなりの諸費用がかかることが留意点だ。
対応策がよく分からない、決められないという人は、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談するとよいだろう。例えば借り換えであれば、異なる金融機関の住宅ローンで返済プランを試算したうえで、それぞれのメリット・デメリットなどの説明をしてくれるので、借り換え後も返済に無理がないか確認して選ぶことができるだろう。
毎月の返済額を抑えたい(あるいは返済額を増やすことで返済期間を短くしたい)という理由で、ボーナス返済に頼ってしまうと、景気の影響で思った通りの支給額が出ないこともある。今回の調査で、「ボーナス返済の併用を選んだことを後悔している」という人が14.0%(30代に限ると22.9%)いた。
ボーナスは、日ごろの生活の赤字をカバーしたり、旅行などのレジャーに充てたり、家具家電の買い替えに充てたりと、使い道が多様にある。ボーナスの額が減る事態も想定して、ボーナス返済についてよく考え、ローン返済中も万一に備えた貯蓄をすることをお勧めしたい。
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