コロナ禍により在宅時間が増え、住まいへの意識が変化していると言われる昨今。東京新聞は2021年4月19日、「2020年、東京23区の全区で他道府県への転出者数が2019年より増えた」と報じるなど、今後も住宅の購入・売却を検討する人の増加が予想される。そんな中、三井住友信託銀行は、住宅ローンから相続までをワンストップ行う「ハウジングウィル」の提供を2021年6月1日(火)から開始した。大切な家族に家を残せる新サービスとして早くも注目を集めている。
同行が2021年3月に実施した調査によると、住宅購入者のうち78.9%が「住宅ローン」を申込んでいることが判明した。住宅ローン契約時に、一般的に加入するのが団体生命保険(以下、団信)だ。これは住宅ローン契約者が返済途中に、万が一亡くなった際に、団信からの支払いにより住宅ローン返済が無くなるという保障制度だ。残された家族は債務を負う必要はないが、法律上、購入した家は法定相続人の共有となるため、家族の名義にならないケースもある。
例えば、家族構成が夫・妻の2名で、住宅ローンの契約者を夫とし、夫が亡くなった場合、夫の両親が健在していれば、法定相続人は妻と夫の両親となる。つまり、家は妻だけのものとならず、夫の両親との共有財産となるのだ。これにより妻に引越しが必要となった際には、義理の両親の承諾が必要となってくる。
これらの懸念を解決するべく同行では、住宅ローンと遺言を組み合わせた新サービス「ハウジングウィル」を開発。金融業界では初となる。住宅ローンの申込み時に、契約者が家の相続に関して遺言書を執筆し、同行が保管するというもの。契約者に不測の事態が発生した際には、同行が家庭裁判所へ遺言書検認の申立てを行う。
例えば、夫と妻の二人家族で夫が住宅ローンを契約する際、“自宅を妻に相続する”と遺言書に記載することで、万が一、夫が亡くなった際には、妻の単独相続が可能となる。
遺言内容は年に一度、見直しの有無をメールで確認する。相続が発生することなく住宅ローンが完済した時は、ハウジングウィルとして預かった遺言は返却されサービス終了となる。同行で住宅ローンを新たに申込みする利用者が対象となり、遺言保管に関する手数料は無料となる。(検認の際に必要な戸籍謄本費用は、利用者による負担となる)
同行の“人生100年応援部長”の谷口氏は「当社は人生100年時代を楽しく、安心安全に過ごせるソリューションを提供しており、その一つとして終活にも注力している。ハウジングウィルには住宅ローンの提供のみならず、不測の事態が起きた際に、様々な選択肢から最適な解決策を選べるよう、終活の概念を取り入れた。これも信託銀行として長年の経験を持ち、住宅ローンを扱う当社ならではのサービスであると自負している」と話す。
コロナ禍の影響で、「終活」を前向きに捉える傾向が高まりつつあると言われる今。住宅購入においても、万が一の事態へ備えることで、安心して人生を豊かに楽しめるに違いない。