「密」と「カビ」を防げ!今こそ知りたい「正しい換気」
旭化成建材の快適空間研究所は、新型コロナウイルス感染拡大前と比べて、「換気」に対する意識や行動がどう変わったかを調査した。それによると、換気への関心は高まったが、適切な換気ができていない人もいるという実態が浮かび上がった。どういったことなのだろう?【今週の住活トピック】
「住宅内の空気・換気に関する意識と実態」調査結果について/旭化成建材
新型コロナウイルス感染拡大前より換気への関心は高まる
快適空間研究所の調査は、2人以上で暮らす持ち家および賃貸居住者(回答者数1752人)を対象としたもの。
感染拡大前と比較して関心が高まったかどうか聞いたところ、「室内の空気のきれいさ」(54.9%)や「室内の換気」(57.0%)について関心が高まった(「とても」と「どちらかといえば」の計)という回答が多かった。
一方、自宅の換気ができていると思うかを聞くと、「できている」という回答は49.2%とほぼ半数で、「どちらともいえない」(28.9%)、「できていない」(17.8%)、「よくわからない」(4.1%)と、換気ができていることに自信が持てない人が多いことが分かった。
では、感染拡大前後で換気に関する行動に変化はあったのだろうか?
画像1を見ると、冬場ということもあるのか、それほど大きな行動変化は見られなかった。また、いずれの場合も、「換気=定期的に窓を開ける」という行動を取る人が多いことも分かった。
出典/旭化成建材「住宅内の空気・換気に関する意識と実態」調査結果についてより転載
24時間換気システムとは?利用状況は?
さて、画像1の質問の選択肢で「24時間換気システムのスイッチを入れる」というものがあるが、そもそも24時間換気システムとは何だろう?
24時間換気システムとは、「機械換気設備」によって2時間で家の中の空気がすべて入れ替わるように設置されるものだ。機械換気とは、給気ファンを動かして外気を取り込み、排気ファンから汚れた室内の空気を外に出すこと。給気も排気も機械を使うことで、強制的に換気するようになっている。
24時間換気システムが一般化した背景に、シックハウス対策として、2003年7月に建築基準法が改正されたことがある。この改正では、住宅を含むすべての建築物を新築する際に、仕上げ材を規定したり、24時間換気システムを設置したりすることが義務づけられた。
出典/国土交通省「快適で健康的な住宅で暮らすためにー改正建築基準法に基づくシックハウス対策―」パンフレットより、一戸建ての事例を抜粋転載
つまり、2003年7月以降に着工された住宅には、持ち家・賃貸住宅を問わず、原則として24時間換気システムが設置されていることになる。
ちなみに、筆者のマイホームは、法改正の前の2000年に建築されたものなので、24時間換気システムは設置されていない。窓や換気口を開けたり、キッチンや浴室の換気扇を動かしたりして、自分の手で換気をしている。
では、24時間換気システムは、実際にどの程度利用されているのだろうか?その結果が画像3となる。
出典/旭化成建材「住宅内の空気・換気に関する意識と実態」調査結果についてより転載
築10年以内の住宅は法改正後なので、24時間換気システムが設置されていることになる。それでも、63.4%しか利用していないというのが実態だ。築11年以上の住宅でも一定の人が利用しているが、義務化前から設置している場合や、リフォーム等で新たに設置した場合などがあるのだろう。
適切に換気するには正しい知識が必要
24時間換気システムが設置されているであろう住宅なのに、利用していない人がいるのはなぜか?それは、住んでいる住宅の設備について、正しく理解していないからだ。
24時間換気が法律で義務化されていることを知っているか聞くと、築10年以内の住宅に住んでいる人でも「聞いたこともない」(36.9%)、「聞いたことはあるが意味は知らない」(11.6%)と、正しく理解できていないことが分かる。
出典/旭化成建材「住宅内の空気・換気に関する意識と実態」調査結果についてより転載
画像1の結果で「24時間換気システムのスイッチを入れている」のは、感染拡大後で19.9%だった。これを、「24時間換気システムを利用している」と回答した人に限ってみると、スイッチを入れているのは62.4%まで上がるという。とはいえ、利用している人でも4割弱の人がスイッチを入れていないということは、適切な換気ができていない可能性がある。
また、「窓開け換気」について見ても、画像1の結果で「定期的に、窓を開けていた」「常に、窓を開けていた」と回答した人に、どのように窓を開けているか聞くと、「対面する壁面にある窓を2カ所以上開けている」のは32.2%、「対面・隣接する壁面にある窓を3カ所以上開けている」のは8.2%で、最も効果的に換気ができる方法を取っていたのは、合わせて40.4%だけだった。
なかには、住んでいる住宅には居室に窓が1カ所しかないとか、同じ壁面にのみ窓が2カ所あるといった理由で、分かっていてもできないという場合もあるだろう。が、いずれにしても、効果的な窓開け換気がされていない可能性が高いことも分かった。
適切に換気するための注意点
では、「適切な換気」とはどうしたらよいのだろう。ダイキンのホームページ「上手な換気の方法~住宅編~」によると、次のような方法を紹介している。
まず、「24時間換気システム」を設置している住宅の場合は、換気口を開けたうえで、常にスイッチを入れておくこと。電気代がもったいない、室内の気温が変わるといったことで、スイッチを切ってしまう人もいると聞くので、宝の持ち腐れにならないように注意したい。
次に、「窓開け換気」をする場合は、部屋の窓を2カ所開けて、部屋全体に風の流れをつくるようにすること。窓が1カ所しかなくて風の流れがつくれない、あるいは、同じ壁に2カ所なので窓を開けても部屋の壁側だけしか風が流れないという場合は、例えば扇風機を使って風の流れをつくる(ドアを開けて扇風機を窓の外に向けてかける)、キッチンの換気扇を同時に動かすといった工夫をするとよいという。
さて、コロナ禍で換気の重要性が高まっている。また、これからの梅雨時には室内の湿気も上がるので、カビの発生などを防ぐために換気が求められる。快適に暮らすには、正しい換気方法を理解して、新鮮な空気で汚れた空気を押し出すようにしよう。
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