愛知県知事リコール署名偽造事件で醜い責任の押し付け合い コメンテーター達の発言をチェックしてみた
上岡龍太郎さんみたいな芸人はもう出てこないのだろうか。19日の各ワイドショーを見てそんな感想を抱きました。
本当に醜い。それがこの事件の感想です。
誰がこの事件の
1 責任者なのか
2 主犯なのか
3 共犯なのか
4 実行犯は誰なのか
1~4を解明しないと真実の究明になりません。刑事事件ですからこういう表現になります。
愛知県知事リコール署名偽造事件です。
本稿に入る前にまず、この事件のノイズを取り除きます。「あいちトリエンナーレ」や「言論の不自由展」の是非を問うものではありません。それは別に芸術論として専門家が議論・討論すべき事です。では、この事件の本質に入ります。まず第一にこれは刑事事件です。これに絞って論考すべきです。他の地方自治体でも起こり得る事件です。すなわち「選挙で選ばれた知事を気にくわないから金で降ろす」事が出来てしまう。民主主義の根幹が問われる事件です。
愛知県警は静岡県伊豆市のホテルに滞在していた、リコール事務局(とここでは呼称します)の元事務局長田中孝博容疑者と妻ら4人を5月19日に逮捕。
田中容疑者は「アルバイトで署名は頼んだ。偽造は頼んでいない」旨のコメントをしており、なお「逮捕されるなら自分」と一部メディアに既に流れていた「田中事務局長主犯説」を裏付けるような今回の逮捕劇でした。
では1と2は誰なのか。「最終的な責任は全て僕にあるので全ての責任を取ります」(毎日新聞5月19日)と高須克弥氏はコメントしています。つまり1であることを認めています。
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さて、このリコール団体の会長は高須克弥氏です。「会長」は高須氏なのです。会長の意味は「会や団体の仕事を統括し、代表する人。」(weblio国語辞典より)になります。また、この事件に関して「部下に罪はない」(毎日新聞5月19日)とのコメントも出していますが、他人事のように聞こえるのは僕だけでしょうか。いや、「無理やり他人事にしようとしている」という表現が正しいでしょう。
かつての盟友河村名古屋市長は「偽造に気づかなかった責任は感じています」「捜査で河村は関わっていなかったことが明らかになる」主旨の発言をしています。
さて、ここでテレビ番組の報道の仕方を見てみましょう。この事件が起きてから、急に仲違いした河村市長と高須氏ですが、原因は「考え方の違い」くらいでハッキリとしたものは実証されていません。普通に考えればリコール署名偽証事件が起きて、「やっかいな事に巻きこまれたくない」から逃げたように見えます。その辺りからテレビの特にワイドショーの報道の仕方がはっきりと判明しました。両者がコメントを出し始めてからです。すなわち
・河村市長は潔くない
・高須院長は潔い
という二項対立軸です。台本がそうなっているのでしょう。因みに、ライターや書き手もワイドショーなどのテレビ出演に生活費を頼らざるを得なくなっています。コメンテーター(推定一回3万円とは言え別番組の出演依頼も考えれば)は準レギュラークラスになれば美味しい仕事です。なので、僕が知る限りだんまりを決め込んでいるライター、ジャーナリストが多い気がします(番組によりますが)。やはり書き手は電波に頼るのではなく、足元を書き物にしっかり落ちつけるのが大切だと改めて思う次第です。
ハッキリ言いますが「所詮ワイドショーのコメンテーターだから仕方ない」と「職業に貴賎無し」を信条としている僕も、こう軽蔑を含ませた言い方をさせて頂きます。「所詮ワイドショーのコメンテーター」がどういうコメントをしたのか、高須クリニックがスポンサーをしている「バイキングMORE」(FNN系列)19日のコメントを羅列してみます。
●「田中容疑者一家がなぜやるのかな。ふたを開けてみれば全然署名が集まらないからヤベーと思ってやったのかそこは今後知りたいです」(カンニング竹山氏)
田中容疑者一家という表現にかつての籠池夫妻という色がついた単語を想起しました。そういう構図に持っていきたいのですかね、竹山さんは。続いてメインMCの坂上忍さん。
●「でも、矢作君(と、おぎやはぎに振る)。高須さんはね、当初から事務局長に何かあった場合は僕の責任だと仰っていて。で、河村市長。関与していなかったとしても立場的には一定の責任が生じるのは当たり前だと思うんだけどその辺の潔さはもうちょっと持って頂きたいなという気がしちゃいますけどね」(坂上忍氏)
前記のように「高須氏は潔い。河村氏は潔くない」という台本通り(推測)のコメントを振ります。潔くないのはどちらも一緒でしょう。そもそも潔いというのは言行一致の事を指すと考えます。有言実行できない人はどちらも潔いとは言えません。河村氏同様、言葉だけは勇ましい高須氏がどのようなマイクの前やツイッターでしゃべる以外にどのような行動をとりましたか?
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●「まあね高須さんがこの事言っちゃってる分、(河村市長のコメントは)比べちゃいますからね。本当に全く関与していないとしても得か損かという話でもないけど、一応、僕にも責任があると言っておいた方がね」(おぎやはぎ・矢作氏)
ここの部分はバランス感覚に取れた矢作さんだけあって無難です。
●「(河村市長は)説明責任くらいはしとかないといけないですよね」(おぎやきはぎ・小木氏)
だからそれは高須氏にも言える事です(ホント、台本見てみたいですね)。
では、大村知事のコメント。「日本の民主主義を壊す暴挙」との大前提。それから「河村氏と高須氏が首謀者」と両者の名前を並列しています。どちらが潔いとかではないのです。どちらも潔くないのです。2人もレベルは同じです。
ネット右翼と高須氏に代表されるような人々を評しますが、ネット右翼の定義とは「口だけ愛国者」「口だけ右翼」が本質だと僕は見ています。少なくとも僕が付き合っている右翼・民族派(左もですが)身体を張っています。だからこそ彼らは言葉が重いのです。少なくとも、僕が20年来の付き合いをしている右翼・民族派の人々は言動一致しています。
高須院長の「全ての責任は僕にある」では、具体的にどう責任を取るのか、注視していきたいと思います。「口だけ愛国者」なのか言行一致の人なのか。今のところ前者の疑いが濃くなっています。また、その場合ワイドショーのコメンテーテーターの皆さんのコメントも、本サイトでもう一度、掲載しようと考えています。(文@久田将義)
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TABLOとは アメリカが生んだ、偉大な古典ミステリーの大家レイモンド・チャンドラー作品の主人公フィリップ・マーロウの有名なセリフがあります。 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」 人が生きていく上で、「優しさ」こそ最も大切なものであることを端的に表現した言葉です。優しさとは「人を思いやる気持ち」であり「想像力を働かせること」です。弱者の立場に立つ想像力。 「人に優しく」 これは報道する側にも言えることだと思います。 現在、ヘイトニュース、ヘイト発言、フェイクニュースがネットの普及に従い、増大しており、報道関係者の間では深刻な問題となっています。そこには「人に優しく」という考えが存在していません。 なぜ、ヘイト(差別)ニュースがはびこるのか。「相手はどういう感情を抱くのか」という想像力の欠如がなせる業です。ヘイトによって、人は人に憎悪し、戦争が起き、傷ましい結果をもたらし、人類は反省し、「差別をしてはならない」ということを学んだはずです。 しかし、またもヘイトニュースがはびこる世の中になっています。人種差別だけではありません、LGBT差別、女性差別、職業差別等々、依然としてなくなっていないのだな、ということは心ある人ならネットの言論にはびこっていることに気づいているはずです。本サイトはこのヘイトに対して徹頭徹尾、対峙するものです。
ウェブサイト: https://tablo.jp/
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