カロリーゼロって本当?砂糖と人工甘味料の違い
砂糖の中でも白砂糖は健康に悪いといわれて久しいです。最近では砂糖未使用のカロリーゼロをうたった商品が棚に多く並ぶようになりました。しかし本当に砂糖はただ健康に悪いだけなのでしょうか?カロリーゼロに欠かせない人工甘味料も調査してみました。
砂糖は本当に体に悪い?カロリーゼロの落とし穴
砂糖をまるで万病の原因のように扱う記事が多く見られますが、一方で砂糖は長い歴史を持つ調味料でもあります。長きにわたって地位の高い人でもないと口にできなかった高級品で、薬として扱われていた時代もあるのです。誰でも口にできるようになった今、甘いものが大好きという人は多いことでしょう。
では砂糖の何が悪いのでしょうか?最近では糖質カットをうたった、カロリーゼロが売りの商品も多く見られます。そんなカロリーゼロを支えているのは、人工的に作られたこちらもカロリーゼロが売りの甘味料です。このカロリーゼロの甘味料には問題ないのでしょうか?
そこで砂糖がどのような甘味料なのかを改めて見直してみました。砂糖のメリットとデメリットはもちろん、カロリーゼロという人工甘味料についてもメリットとデメリットを調査してご紹介します。「甘いものが大好き!」という人は必見です!
砂糖って要は何なの?
砂糖は刻んだサトウキビを絞って集めた汁を石灰と一緒に煮ながら、糖分以外の余分な成分を取り除いて作ります。不純物を取り除いたサトウキビジュースを、煮詰めてできるのが黒砂糖です。
白砂糖も途中までは黒砂糖と同じ工程で作られます。違う点は、不純物を取り除いた後に、さらにろ過してお湯で洗い、活性炭などを通すなどして、より純粋なショ糖の原液を作る点です。さらに遠心分離器にかけてショ糖の結晶を取り出せば、白砂糖の完成となります。
ショ糖の純度が99.9%以上を占めるのがグラニュー糖で、最も糖質の純度が高い砂糖です。ショ糖は本来無色透明ですが、結晶が光を乱反射することで白く見えます。一部では漂白されているといわれていますが、製造工程を見る限りではそのようなことはありません。
三温糖は遠心分離機をかけた際に残った液糖を煮詰めて作ったものです。加熱することで茶色く変色しただけで、カラメル色素で色を均一化することはあるものの、栄養成分は白砂糖と差はないといえます。実際ミネラル分は0.25%ほどとごく微量です。
「砂糖は色付きがよい」といわれますが、白砂糖と三温糖ではこの限りではありません。黒砂糖の場合はショ糖以外の成分量が15%と差はありますが、砂糖の摂取量を考えればそこまで大きな差とはいえないのです。
では砂糖は1日どのくらいまでが適量かというと、世界保健機関(WHO)は総摂取カロリーの5%未満が望ましいとしています。目安としては一般的な大人で1日25gです。黒砂糖でも25g中に含まれるミネラル量は1日の目標摂取量からは程遠いことから、白砂糖よりはましという程度といえます。
砂糖を摂るメリットとデメリット
砂糖が分解されてできるブドウ糖は、筋肉などを動かすエネルギーとなるだけでなく、脳が使える唯一のエネルギー源といわれています。しかも脳は寝ている時もエネルギーを使うため、血液中のブドウ糖の減少は死活問題になりかねません。
疲れている時は血液中のブドウ糖が減って血糖値が下がっている状態です。脳にとってはエネルギー不足のため、イライラするだけでなく甘いものが欲しくなります。砂糖は消化吸収速度が速いことから、エネルギー切れの解消にはうってつけなのです。
また、精神を安定させるホルモンであるセロトニンを作り出すのにも、砂糖を摂るのは効果的といえます。セロトニンの原料そのものはトリプトファンというアミノ酸のため、肉類や牛乳などのたんぱく質が必要です。
トリプトファンをセロトニンに変換するためには、脳内にトリプトファンを取り込む必要があります。砂糖を摂ったときに分泌されるインスリンが、その手助けをしてくれるのです。砂糖を摂ると幸福感を感じるのはこのためで、心身ともに癒してくれるといえます。
もちろん砂糖も摂りすぎればさまざまなデメリットがあるのはいうまでもありません。血糖値が急激に上がるため、処理しきれない分の糖分は脂肪細胞にため込まれます。また、インスリンの過剰分泌によって逆に低血糖状態になった結果、精神面や体調面で不安定になることも。
糖分の代謝のために特にビタミンB1が消費されるため、より多めに意識して摂取することも大切です。ビタミンB1の不足は食欲不足や疲労感などを招き、体調不良の原因になります。砂糖に限らず炭水化物の代謝に必要なのも、忘れてはいけない点です。
さらに砂糖が脳に与える快感は、仕組み的に麻薬などの薬物と同じ仕組みのため中毒性があります。もし砂糖や甘いものをはじめ、炭水化物を摂るのがやめられないという人は、専門の医療機関を受診したほうがよいでしょう。
砂糖を抜けばカロリーゼロって本当?
現在さまざまな飲料などで見るカロリーゼロの表示。「甘味など味を感じるのにカロリーゼロってどういうことだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?成分表を見ていただければわかるように、実際のカロリーはゼロではありません。
カロリーゼロではないのに、そう表示してもよい条件というのがあるのです。それは100gあたり5kcal未満であること。それならばたとえどれだけ甘くても、カロリーゼロとして表示することができます。
ではなぜはっきりと甘いのにそんな低カロリーな商品を作れるのかといえば、砂糖ではなく人工甘味料を使っているからです。砂糖は1gで4kcalになります。甘さをはっきり感じられるだけ入れてしまうと、当然カロリーゼロの商品は作れません。
しかし今度は別の疑問が生まれます。これだけ甘いのにカロリーゼロという人工甘味料とはどんなもので、安全性はどうなの?ということです。砂糖の次は人工甘味料について見ていってみましょう。
砂糖の代用品として使われる人工甘味料の種類
国が使用を認めている人工甘味料には、大きく分けて6種類あります。アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アドバンテーム、サッカリン、スクラロース、ネオテームです。この中でサッカリンは、組成に若干違いのあるサッカリンナトリウム塩とサッカリンカルシウム塩も含みます。
それぞれの人工甘味料の甘さは甘味度で表されますが、この甘味度は砂糖の甘さを1としているので、それぞれが砂糖の何倍の甘さがあるか一目でわかるのが特徴です。使用頻度の高いアスパルテームで100~200、アセスルファムカリウムは200、スクラロースは600となっています。
それぞれの甘味料に一日摂取許容量(ADI)が定められていますが、使用基準の定められていないものもあり、摂取過多にならないよう注意が必要です。カロリーゼロやカロリーオフをうたっている商品にはこれらの甘味料が入っているのはほぼ間違いないので、1日に摂取する量は加減しましょう。
砂糖の代用品として使われる人工甘味料の特徴
基本的に人工甘味料は甘味度が高いことから、使用量もそう多くはありません。そのため過剰摂取はしにくいとされていますが、安全性が確かめられているとはいえ注意したほうがよいのは間違いないでしょう。ではこれらの人工甘味料のメリットとデメリットには、一体どのようなものがあるのでしょうか?
メリット
人工甘味料は虫歯菌の餌にならない、つまり虫歯の原因となる酸にならないことから、虫歯の予防になるとされています。また人工甘味料は、砂糖と比較して驚くほど低カロリーなのに甘味も強くて使用量を抑えられることから、さまざまな病気の予防や改善などの健康効果が得られるのでは、と期待されている甘味料です。
具体的には摂取カロリーを低減させられることや、食後でも血糖値が上昇しないことから、肥満や糖尿病の予防だけでなく、治療にも使えるのではないかと調査が行われています。
デメリット
健康効果や病気の予防効果などが期待され、研究もされている人工甘味料ですが、実際に調査した論文の実に92%でその有害作用が報告されているといわれているというのです。中には肥満や糖尿病になる可能性があるという報告まであります。一体どういうことでしょうか?
アスパルテームという人工甘味料は、腸内でアスパラギン酸とフェニルアラミンという2つのアミノ酸に分解されます。人によってはこのフェニルアラミンを代謝する能力の低い人もいるため、使用には注意が必要です。
さらにこのフェニルアラミンの血中濃度が上がると、セロトニンをはじめとした脳内伝達物質の分泌が阻害されます。そのため、甘いものを食べているのに満足できない状況が発生するのです。
また、人工甘味料は血糖値を上昇させないことから、摂取が常習化している人は血糖値を正常に保つ能力である耐糖能に異常をきたした結果、逆に糖尿病になったり悪化したりしたという報告が近年増えているといいます。
血糖値が上昇しないと慢性的にエネルギー不足が起こり、脳がエネルギーを欲しがって食欲が増進するばかりか、甘味の感じ方が鈍くなり、結果として満足できるまでの糖質の摂取量が増えることから、逆にエネルギーの過剰摂取が引き起こされるためといわれているのです。
実際に人工甘味料とショ糖を食べた時の血糖値やインスリン感受性を調べたという論文では、ショ糖を食べた時と比較して、人工甘味料を食べた時にはインスリン感受性が23%減ったために、血糖値のピークが高くなったという報告があります。
この研究結果から、人工甘味料にはまだ明確にはされていないものの、糖代謝に悪影響がある可能性があるのです。このことを裏付けるように、人と動物の両方の実験結果でも、人工甘味料の長期摂取は体重増加を招くという結果が多数報告されています。一方で体重が減ったという研究結果はほとんど存在しないというのです。
人工甘味料についての報告はまだあり、腸内環境を悪化させる原因になるともいわれています。スクラロースをはじめとした体内に吸収されない人工甘味料は、小腸の壁を傷つけるだけでなく善玉菌も減らしてしまうことから、結果として免疫力が下がるといわれているのです。
そのほかの人工甘味料の中には、腸内のph値を上げてアルカリ性にしてしまうことで、栄養の吸収力を落としてしまうという指摘もあります。お通じの色が茶~黒の人は、アルカリ性に傾いてしまっている可能性があるといわれているので要注意です。
おわりに
砂糖は健康に悪い調味料扱いをされることが多いですが、体には欠かせないエネルギー源でもあります。一方でカロリーゼロをうたっている商品でも、人工甘味料が使われていれば危険性をはらんでいることは間違いありません。砂糖と人工甘味料の特徴を正しく理解し、過剰摂取に注意しながら上手に付き合っていきましょう!
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