ハーバード大学院理学修士×元グーグル×ベンチャー投資家の著者が分析する、世界最先端11社の未来予想図
皆さんは今から4年後の2025年を、どのような世界だと想像しますか? たとえば、こんな世界はいかがでしょうか。
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長引く新型コロナウイルスの影響により、テクノロジーの開発が加速。人が直接会うことなくビジネスをおこなえる時代へと劇的な進化を遂げます。普段は自宅にいながら、マイクロソフトが開発したデバイスを頭に装着し、バーチャルな画面を通じて会社のメンバーたちとミーティング。
たまに出社する際は、スマホの迎車アプリで呼んだ「ロボタクシー」に乗って通勤します。これはテスラ社が開発したドライバーのいない自動運転車で、多くの人が利用しています。また、夕飯の用意はアマゾンのAIが搭載されたロボット「アレクサクッキングシェフ」でおこない、本格的な調理はすべておまかせで、自分で包丁を握る必要はありません。
そもそも住んでいるところ自体が、アマゾン不動産が手がけているマンション。すべてのデバイスがクラウドを介して提携しているので、部屋の点灯や消灯など大抵のことをアレクサが判断し自動でおこなってくれます。
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どうでしょう? これらはSF映画に登場する夢物語でしょうか? こうした内容を「仮定も多くありますが私が描く2025年の一つの未来予想図です」と述べるのは、『2025年を制覇する破壊的企業』の著者・山本康正氏。
山本氏はニューヨークの金融機関に3年務めたのち、ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。グーグルで日本企業のデジタル活用を推進、ハーバード大学客員研究員、米・ベンチャーキャピタル「DNX Ventures 」インダストリーパートナー、京都大学大学院特任准教授、ベンチャー投資家という稀代の経歴を持つ人物です。上記の未来予想図は、本書でさらに詳しく描かれています。
マイクロソフト、テスラ、アマゾンのほか、グーグル、フェイスブック、アップル、ネットフリックス、インポッシブル・フーズ、ロビンフッド、クラウドストライク、ショッピファイが、2025年の世界に大きな影響力を持つ最先端の企業だと山本氏は考えており、この11社を分析することで4年後の世界を読み解けるといいます。
まず、本書の第1部では11社がどのような思惑を持ち動いているのかを解説し、そこから実現する4年後の姿を紹介。テクノロジー企業はGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が有名ですが、GAFAのみを見ているのは日本だけだと山本氏は指摘します。
たとえば、代替肉の開発を手がけるインポッシブル・フーズは食業界に大革命を起こしつつありますし、ネット系証券会社のロビンフッドは「売買手数料0」で業界の常識を覆したことで爆発的に利用者を拡大しています。企業のECサイト開発・運営をおこなうショッピファイは、アマゾンや楽天を破壊するかもしれないと注目されているベンチャーです。
こうした流れに共通しているのが、業態のコングロマリット化。山本氏は「本業を限定してしまい、その事業ばかりに固執している企業は、足をすくわれます」「本業を決めない企業が勝つ」(本書より)との見解を示しています。
では、激変する社会の中で、企業やビジネスパーソンはこれからの世界をどう生き抜いていけばよいのでしょうか。それに触れているのが第2部です。山本氏は「力の象徴であった大企業、大資本という要素は、絶対的な強みではなくなった」(本書より)として、5年後に特に危険な8業界を挙げて警鐘を鳴らします。さらに個人ベースでは、2025年に身に着けておくべきものとして、データサイエンスやプログラミングなど5つのスキルを挙げます。
日本はGAFAのテクノロジーやトレンドを取り入れる動きが遅く、旧態依然なことが多いと山本氏。2025年以降の世界から取り残されないよう、本書を読んで今後のアクションを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
[文・鷺ノ宮やよい]
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