藤岡みなみ|何もない家で暮らしてみました【思い立ったがDIY吉日】vol.53
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回はDIY素材の整理について!
藤岡みなみ
タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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何もない家で暮らしてみました
今回はモノを減らすときの悩みです。
現在、大片付け大会開催中だ。とにかくモノを減らすぞ、と暇さえあれば鼻息荒く家じゅうを歩き回っている。
去年の後半、大胆なチャレンジをした。何もない家に引っ越し、100日間暮らしてみたのだ。元の家から1日1つずつモノを取り出すというルールで、最終日には最大100個のアイテムが手に入る。いままで何万というモノに囲まれて生活していた私にとっては、100個でも相当少ない。いわばモノを持ちすぎた自分への荒療治。
家具もない部屋で床に座っているのがつらかったので、初日は敷布団を選んだ。2日目は歯ブラシ、3日目は靴。基本的な道具すらない時期はサバイバルに近く、それぞれの道具が持つ原始的な素晴らしさを発見することができた。例えば冷蔵庫は食材の寿命を延ばしているんだなとか、コップで水を飲むって暮らしへの愛だな、とか、人間レベル0から世界と出会い直せた気分だった。1日ごとに選んだアイテムには愛着が湧き、愛着の湧くものだけに囲まれると日々が充実した。
人生をリセットしたようでした。
何もない部屋で過ごしていると一日が何倍も長く感じたし、思考がクリアになって仕事に集中でき、掃除も楽ちん。いいことだらけ。いかに自分がモノを持ちすぎていたかを痛感した。しかし、単純に多いのはだめとか、モノが少なければ少ないほどいい、という話でもない。私は元来コレクター気質であり、本やボードゲームなど趣味のアイテムを多数所有している。問題はそうやって好きで集めているモノよりも、例えばキッチンに8つもあるおたまのほうだ。心を配ることができていない道具が家にあふれている。自分が管理できる数は限られていた。
モノを減らしたい!でも……
100日間の挑戦を終え、悟りを開いた私はまたモノの多い元の家に戻った。多すぎる。動かないのに、迫り来る感じがする。情報量が多い。愛せていないモノたちに別れを告げるべく、本気のモノ減らしプロジェクトが始まった。キッチンや洗面所などは役割が決まっている道具がほとんどで、比較的、簡単に片をつけることができた。服や趣味のコレクションも自分の基準がはっきりしているので悩みながらも少しずつ量が減ってきた。いま一番悩んでいるのは、DIY素材の整理だ。
一生使いきれないミシン糸。
書斎にあるクローゼットをまるごと素材置き場にしている。ここは意味のないモノであふれている。まだ意味はない、でもこれからDIYで手を加えることによって何らかの価値を持つかもしれないモノたちだ。何に使うかわからないけど柄が面白いから買った大量の布、蛍光色のメッシュ生地。建設中の住宅の前の「ご自由にお取りください」と書かれた箱から苦労して運んできた廃材。アンティークのドアノブ、ボタン。手作り用のストラップチェーンが50本あるけどストラップ文化まだあるのか……? 自分でも何で持っているのか一番よくわからなかったのは白紙の巻物だ。しかも何本も。果たし状でも書くのか。
布は集めても好みが変わる。
モノを処分するときに、まず何かに使えるかもしれないという考えを処分するのが片付けの鉄則だ。モノは使っているときにだけ真価を発揮する。でも。DIY素材は「何かに使えるかもしれない」以外の何物でもない。どうしたらいいんだ。
巻物……何のDIYに使うのか。
悩んだ末、ストラップチェーンといくつかのもう好きじゃない布だけを手放すことに決めた。このエリアにはモノ減らしのルールを適用しない。よくわからない素材たちを見ていると、思いもよらないアイデアが浮かんでくることがある。ここは素材置き場じゃない、可能性置き場だ! 減らすということだけにとらわれず、引き続き愛着を重視していきたいと思う。
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