今、「狛犬めぐり」が密かなブーム!?狛犬マニアが福島の神社を案内
こんにちは。狛犬さん巡りが趣味のライター・ミノシマタカコです。
「狛犬」とは、神社仏閣などに置かれている阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の一対になった霊獣像。どちらも同じ霊獣かと思われがちですが、一方が獅子でもう一方が狛犬です。正式名称は「獅子・狛犬」ですが略して「狛犬」と呼ばれています。境内の中に木造の狛犬さんがいることもありますが、ミノシマが主に見て回っているのは、参道にいる石造の狛犬さんです。
あまり気づかれていないのですが、狛犬さんは時代、場所によって姿が異なります。特に昭和初期以前のものは、今と違って手で彫られており、石工さんの個性を感じられる作品も多いのが魅力。デザインを見て楽しむも良し、台座の文字から地域の歴史を振り返って楽しむも良し、作り手である石工さんを追うも良し……自分の好きな楽しみ方ができる幅広さがあります。ちなみにミノシマは狛犬さんの造形を愛でる派です。
今回は車窓を楽しみながら、列車で巡れる福島県の神社仏閣へ。JR郡山駅とJR福島駅周辺で狛犬さんと出会いました。
JR東京駅
東北新幹線「やまびこ」でいざ郡山へ
JR東京駅から東北新幹線「やまびこ」に乗り、いざ郡山へ。今回訪れる郡山駅、福島駅ともに初上陸。どんな狛犬さんに出会えるかドキドキ。
関東平野は快晴でしたが、天気予報では福島方面は極寒。翌日は雪の予報も。スノーブーツや厚手のコートなど、完全防備で向かいました。
郡山駅まで約1時間20分の乗車時間は、車窓を楽しんでいるとあっという間に過ぎてしまいます。
元祖肉処 源氏
地元で有名な肉料理店でランチ
到着はちょうど昼時。ペコペコのおなかを満たすために、郡山で有名なお肉のお店「元祖肉処 源氏」へ。駅から徒歩約4分の駅近スポットです。
メニューにはデカデカと「肉食の冒険」という文字。肉好きとしてテンションが上がります。多くの常連さんが選ぶという「三味焼(しょうゆ味)ロース」を選びました。
温かいごはんとお味噌汁、サラダと一緒に出てきたのは、THE肉! しょうゆのシンプルな味付けは、ごはんがすすむおいしさです。やわらかいお肉は女性でも食べやすく、パワーが全身にみなぎります!
おいしいお肉でおなかいっぱいになったところで、さらに心を満たすべく、狛犬さんを探しに出かけました。
三渡神社
どこか人っぽい愛嬌のある狛犬に会う
郡山駅前のバス乗り場から福島交通のバスに乗り三渡神社前バス停まで11分。さらにバス停から2分ほど歩いて向かったのは「三渡神社」です。
神社は住宅街から階段を上がった静かな場所。手入れが行き届いた境内は、地元の方々から大切にされていることを感じさせてくれます。こちらにいらっしゃるのは……。
表情に個性がある狛犬さんです。体躯(たいく)に彫られた文字から、1830年、江戸時代に奉納されたことがわかります。まずはしっかり参拝してから、狛犬さんとの戯れタイム開始!
吽形は大きな牙をむいていますが、どこかニカッと笑っているかのよう。鼻のつくりから、動物よりも人っぽさを漂わせています。何よりも太眉がかわいい!
阿形は斜め上を向いています。こちらも大きな鼻が個性的!
後ろ姿を見てみると、阿吽で尻尾の形が違うんですよ。丸い花のような阿形の尾に対して……
吽形は縦長なのです! 阿形と吽形で同じような造形に見えても、アシンメトリー(左右非対称)をいっぱい発見できるのが狛犬さん観察の楽しいところなんですよ。
撮影後に、心の中で神さまと狛犬さんに御礼を言ってから郡山駅へ戻りました。今日は、駅近辺のホテルに宿泊です。
郡山駅
早朝、雪が降り積もる福島駅へ向かう
2日目の朝は6時台の東北本線で郡山駅から福島駅へ向かいます。まだ日が昇る前、夜の駅みたいです。
移動時間はおよそ50分。徐々に日が昇る様子が車窓からうかがえました。きっと福島は晴れているはず、と思っていたのですが……
福島は雪でした! 通勤通学の人で賑わう駅に、しんしんと降り積もる雪。これはこれで、絵になる風景です。
鹿島神社
1260年以上の歴史のある神社へ
次の目的地、「鹿島神社」へはバスで向かいます。バス停も雪で真っ白でした! この季節ならではの狛犬さんのお姿が見られるのでは……!? 期待に胸が膨らみます。
福島駅から福島交通バスに25分ほど乗車し、その後徒歩約10分で到着します。
福島市郊外に鎮座する鹿島神社は、延喜式内社(※)として1260年以上の歴史がある古社です。まずは参拝してから、狛犬さんの観察へ。
※編集部注:延長5年(927)にまとめられた『延喜式神名帳』に載っている神社。
こちらにいらっしゃるのは、狛犬好きの中では「岡崎型」や「しょうわ型」といった呼ばれ方をすることが多い形の狛犬さん。愛知県岡崎市が発祥で、全国に広まりました。
奉納年は2001年(平成13年)とのこと。台座には奉納した方のお名前も残っていました。きっと地元の方なのでしょう。
クワッと口を開けた大きな頭は迫力満点! 一見いかつい雰囲気に見えますが、よくよく見ると某ネコ型ロボットに近い2.5等身ボディ。守護獣として守りながらも、地元の人たちに愛される愛嬌も持ち合わせているように感じました。ほっこり。
福島駅
ローカル線の魅力あふれる福島交通飯坂線
福島駅に戻り、福島交通飯坂線で次の狛犬スポットへ。福島駅のホームがレトロでテンションが上がります。
飯坂温泉へ向かう飯坂線の中には、温泉気分を盛り上げてくれる「のれん」が! 乗っているだけで楽しくなります。
ローカルな町並みが映し出される車窓を眺めつつ、列車に揺られること、およそ25分。飯坂温泉駅に到着です。
飯坂八幡神社
けんか祭りで有名な飯坂八幡神社へ
飯坂温泉駅から、正岡子規らが詠んだ飯坂の町並みを楽しみながら徒歩10分ほど。屋台のぶつかり合いが迫力満点という「けんか祭り」で有名な「飯坂八幡神社」があります。
参拝後、鳥居まで戻って狛犬さんとご対面! 大雪の直後だから出会える雪かぶり狛犬さんです。
もっちりとした雪がお体の上にのっています。台座の文字などを確認することは出来ませんでしたが、このお姿に出会えただけでも満足!
天気によって、背景やお姿の印象が変わるところも、参道の狛犬さんならではの魅力ですね。寒くなったらたくさんある立ち寄り湯で体を温められるのも、温泉街の狛犬さん巡りならではの魅力のひとつだと感じました。
西根神社
境内で「ウソ」に会える!?
続いて、飯坂八幡神社から徒歩14分ほどのところにある「西根神社」へ。境内にある「高畑天満宮」では、鷽(うそ)と呼ばれる鳥の石像に出会えます。
菅原道真公を祀った神社ではよく出会える「鷽」。狛犬さんとは違い、神さまに縁があるので「神使(しんし)」と呼ばれています。他にも牛の像や、お稲荷さんで出会うおきつねさんも神使の類いに分類されるんですよ。
ちなみに狛犬さんは、守護獣だけど神さまのお使いではないと言われています。知っていましたか?
福島駅
福島のお土産といえば、「ままどおる」
最後は再び福島駅に戻り、S-PAL福島内の三万石で「ままどおる」を購入しました。「ままどおる」とは、スペイン語で「お乳を飲む子」という意味。名前の通り優しい味わいです。
お土産も無事購入し、新幹線で福島駅から東京駅まで戻ります。
旅先で訪れた神社で出会う狛犬さんは、それぞれの景色とあわせて違った表情を見せてくれます。温泉やグルメ、列車の楽しみに加えて、神社に寄った際は狛犬さんも見てみると、旅の新たな楽しみが増えるのでおすすめです。
また「福島の狛犬」と言えば、狛犬界では白河市が有名でしたが、郡山市や福島市の狛犬さんも魅力がいっぱい。もっとたくさん出会いたくなりました。いつかまた散策しに行くぞー!
東京駅
掲載情報は2021年2月26日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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