映画『LIP×LIP FILM×LIVE』歓声の臨場感・実在する機材……こだわりが詰まったバーチャルライブパート制作秘話 “LIP×LIP”と“あすかな”MCで「飯何杯でもいける」

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関連動画総再生回数7億回を超えるクリエイターユニット HoneyWorksがプロデュースするバーチャルアイドル『LIP×LIP』初の映画化『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”』が昨年のクリスマス12月25日より上映中! 

本作品は、勇次郎と愛蔵が出会いLIP×LIPを結成するまでの物語を描いたアニメパート『この世界の楽しみ方~Secret Story Film~』と、後半には成長したLIP×LIPが最高のライブを披露するバーチャルライブパートの両方を一緒に楽しめる映画となっています。

アニメパートもとても素晴らしい本作ですが、今回はバーチャルライブパートについて企画・プロデュースの斎藤俊輔さんとクリエイティブディレクター関本亮二さんにお話を伺いました。

関本さんは、現在も大規模なVRライブのトップコンテンツである「初音ミク」の開発元クリプトン・フューチャー・メディアに入社し、8年ほど前から初音ミクの3DCGライブのプロデュースを手掛けており、VTuberや「あんさんぶるスターズ!」など様々なライブステージのディレクションも行っています。

2019年2月に開催されたLIP×LIP初の単独バーチャルライブも関本さんがディレクションを行い、今作の映画でも後半のライブパートを担当。また、LIP×LIPに加えて、ジャニーズ初のバーチャルキャラクター海堂飛鳥と苺谷星空の“あすかな”もライブパートに登場します。


・映画『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”』第2弾本予告
https://youtu.be/rOwgYWpeM6Y

ライブ会場が広くなった理由は、まさかの世界的人気アニメ『ドラゴンボール』だった!?

――斎藤さんは関本さんにどんなご要望を出されたのですか?

斎藤:最初の僕の発想は2019年2月に実際にLIP×LIPがステージで歌い踊るバーチャルライブを観て、すごく面白いなと思ったのと、アニメ映画の仕込み自体は始めていたので、そこに組み合わせたらスペシャル興行として新しい提案ができるんじゃないか、ということは早めに考えていました。

最初のプランでは、いわゆる定点カメラで2人が映画館で歌って踊っている、みたいなイメージがありました。でも、映画館ってスクリーンが地面についてないし、劇場ごとのスクリーンのサイズによってキャラクターの頭身が変わっちゃうじゃないですか。それってリアリティがなくなっちゃうなと思って、「じゃあ、どういう見せ方ができるんだろう?」と悩んだときに、ライブ会場内のサービスモニター的なことで表現するしかないのかな?「関本さん、それって作れますかね?」みたいな発注の仕方をしました(笑)。

関本:コロナ禍で無観客ライブの配信などが増えていき、斎藤さんが言ったように定点アングルでやるだけではつまらないので、ちょうど新しいステージ表現を考案していたんですよ。それだけ斎藤さんがやろうと考えたことは新しいことだと思ったし、これがきちんと上手くいって、ファンや業界的にも刺されば、今後こういった形の作品が広がっていくと思いました。

――そこからどういったイメージで作っていたのでしょうか。

関本:僕は個人的に(キャラクターデザインを担当している)ヤマコさんの描かれる世界観やMVもよく拝見するんですけど、簡単な言葉でいうと、頭の良い方だなというのがすごく滲み出ていると感じるんです。キャラクターにも上品さがあって、彼らの良さを表現する為に古いものと新しいものを取り入れたハイブリットなライブ空間にしたかったんです。

――ステージセットは、単独ライブのときの空間と雰囲気が近いと感じましたが、そこはイメージしたのでしょうか。

関本:元々HoneyWorksさんからLIP×LIPの単独ライブの仕事をいただいたときに、ステージの方針をどうしますか?というところを僕が決めなきゃいけなかったので、そのときにLIP×LIPのことを勉強させていただいて、ジョーゼット幕とギリシャ風柱などわかりやすいモチーフがイメージに合ったので採用しました。そこは、そのまま今回のバーチャル空間にも引き継いで落とし込んでいます。

そして、バーチャル空間でやるからこその“違うもの”を考えたときに、何か彼らの雰囲気に合うエンブレムを作ろうと思ったんです。僕が最初に手書きで描いたラフのステージプランでは、大きなLEDスクリーンの周りをエンブレムで囲んだもので、何か物足りないとずっと思っていました。もうちょっとわかりやすいものでいいんじゃないかな、と思ったときに、王冠というアイコンはわかりやすいものだな、と。

バーチャルライブのステージを作ってきている経験から、王冠をライブのステージに置いた時の見え方が「この角度はカッコよく見えるけど、この角度はかっこ悪くなるから、そこは嘘をつく」とか、よりカッコよく見えるために普通じゃ成立しない作りにしている部分もあるんです。そこの角度やサイズを決めるのに一番時間がかかりました。実際に中身を作るよりも、ステージ全体の構造を作るのに一番時間がかかりましたね。

ジョーゼット幕も「あと5センチ下げて」とか、“そこ必要ですか?”と言われるくらい拘っています。それはライブステージとして成立するために必要なことで、バーチャル空間上だからなんでもやっていいというわけじゃなくて。お客さんはこれまで普通のライブを観てきている人が多いので、いきなりぶっ飛んだことをやると異空間に見えて冷めてしまうんですよね。だから、普通にライブを作る上での理論は絶対に崩したくないというのがありました。照明機材の大きさだったり、LEDマジックパネルの電球の数も実機と合わせたり、現実の世界とバーチャルの世界の間をとるというバランス感が一番拘ったところです。

――王冠のデザインはカッコよく見せるために少し嘘をついている部分もありますが、照明などの機材は現実に実在しているものを当てはめている、ということでなんですね。

関本:そうです。機材名も実在しているもので、「型番はコレで」と指定しています。それをどうバーチャル空間になじませるか。現実世界に存在しているモノとリアルにないモノを上手くかけ合わせていきました。照明もバーチャル空間上で使用していますが、現実のライブ会場で実際にコントロールするオペレーターやデザイナーがちゃんと入って演出したものをデータ化し、それをバーチャル空間上で同じように反映できる仕組みを使っています。カメラもバーチャル空間上で8カメくらいリアルに立てて、それをカメラマンたちがスタジオ内で撮影し、全部録画してスイッチングで切って編集して。やり方は何種類かあるんですけど、今回はリアルの人間のライブと同じようなやり方にしました。

――映画のライブパートではアリーナ規模の広い会場になっているところも、ファンは感動するのではないかなと思います。

斎藤:アニメパートの一番頭のライブ会場シーンは横浜アリーナをベースにしていて、関本さんに「横浜アリーナ規模で」とお願いしたら、あがってきたものが“さいたまスーパーアリーナ”規模だったんです(笑)。そこは気合いを感じました。

関本:斎藤さんから横浜アリーナと言われたときに、もうちょっとデカい規模にしよう、となって。ド頭からデカいホールでやっていることをわかりやすくしたかったので、タイトルロゴがバーンと決まって、そこからカメラがライブ会場に突っ込んでいって、そのままカメラがサイリウムの海の上を走っていくという発想だったんですけど、あれは(今作と同じ東映作品の)『ドラゴンボールZ』のアニメのオープニング映像がパッと浮かんだもので。「あ!あのカメラワーク使おう!」と、みんなに『ドラゴンボールZ』の映像を見せたら、「なるほど!」と理解してくれて。「だったら、もっと会場がデカくなきゃダメだ!」となり、本当は斎藤さんに見せる前はもっと会場が広かったんです。

斎藤:そうだったんですか(笑)。

関本:でも、「このままだとカメラがステージにたどり着くまでに時間がかかり過ぎる」となって、あのスピードで感で行くならと、あの規模のホールに収まったんです(笑)。

振り付けは「彼らの人間性とHoneyWorksさんの楽曲の世界観を忠実に」

――ライブパートの1曲めからLIP×LIPの新曲「LOVE&KISS」を披露するセットリストですね。

関本:単独ライブから関わらせてもらっていますけど、送られてきたセットリストが1曲目から知らない曲だったので、不安になりました(笑)。でも聴いてみたら、今回の映画の世界観が表現されているテーマソングでもありますし、一気にステージのイメージが降りてくるくらい、すごく良い楽曲で。1曲目からド派手にいきたかったので、スパークラー(火花)という特効を使いたいと思っていたら、送られてきた「LOVE&KISS」がまさしくラストのサビにバンッとスパークラーが合うような曲だったので、運命的なものを感じました。

斎藤:そんなにですか(笑)?

関本:1曲目から世界観に没入できる楽曲ですよね。振り付けもすごく早かったですよ。コロナの影響でスタッフはみんな離れているし、そんなに密に打ち合わせも出来ないのに、考えていることは一緒なんだなと感じました。


・【LIP×LIP FILM×LIVE】LOVE&KISS/LIP×LIP(CV.内山昂輝・島﨑信長)【ライブパートショートムービー】
https://youtu.be/LizG4pLIG5A

斎藤:僕は元々メドレーでやりたいと思っていて。尺が25分でその中でどうやってお客さんに楽しんでもらおうかなと考えたときに、メドレーも考えていたんですけど、最終的に4曲かつ週替り要素というプランに落ち着きました。元々のプランはアニメパートがあり、舞台挨拶パートがあり、ライブパートがあるという3つのセクションを考えていたんですけど、それを合体させよう、ということで挨拶から始まるライブパートになりました。それも、関本さんに「珍しいですね、この演出」と言われて(笑)。

関本:僕のライブの理論になかったんですよ。「いきなりMCですか?」と話しました(笑)。

斎藤:僕はこれまで声優さんのイベントをけっこうやってきたので、ステージにせり上がってきて挨拶から始まるって普通じゃないですか(笑)。

――確かに!

斎藤:だから全然違和感があると思わなかったんです。

関本:ライブのド頭はテーマ曲だったり、お客さんもテンションが上がる曲をもってきて、2、3曲目で落ち着いてMCに入るというのが割と自然な流れだったりするじゃないですか。でも、いただいたセリフやセットリストも含めて流れを見た時に、これだったらお客さんはすんなり入れるな、と思いました。

それよりも、僕は最初は30分以内のライブを1本作ると聞いていたので、セットリストが4パターンで週替わりになったと聞いた時「この制作期間で演出4本考えなきゃならない??やばいじゃん!」となって(笑)。だけど、HoneyWorksさんの曲って作品にブレがないから、演出考案するにあたってあまり苦労はなかったんですよね。世の中の音楽って流行りもありますし、日々変わっていくので、その波に流されて軸がブレてしまうアーティストも多いんです。けど、HoneyWorksさんはいつの時代もブレずに変わらない。だからファンも離れていかないでしょうし、ライブを作る側からしてもブレずに制作できました。

――LIP×LIPの振り付けで意識していることはありますか?

関本:LIP×LIPの2人は高校生なので、「これは高校生がしないよね」と思うことは基本的にはしません。また、HoneyWorksさんの曲は真っ直ぐなので、奇をてらうようなものは必要ないと思っており、やたらと振り付けに目が行きすぎるのは避けています。だから、彼らの人間性とHoneyWorksさんの楽曲の世界観を忠実に、歌詞の隅々まで理解して振り付けするようにしています。

愛蔵はちょっとオラオラ系な部分と、勇次郎はステージ上では可愛らしさもある。指、目線、足の角度、膝の曲げ方まで話し合います。あとはアイドルライブの楽しみ方として、お客さんがキャー!となるところは随所に入れることを意識しています。でもHoneyWorksさんの曲って真っ直ぐな言葉を聴かせたいから、やり過ぎない程度にやらせてもらっています。

――キャー!ポイント、十分ありましたよ!

関本:そうですか? 僕の中ではもっとやりたいですけどね(笑)。他のアイドルなどの演出をやらせてもらう時より、絡みなどボリューム的には少ないと思いますよ。

――本当ですか!?

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アニメや可愛いものが大好き。主にOtajoで執筆中。

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