映画『天外者』インタビュー:三浦春馬・三浦翔平・西川貴教 3人の共演に「純粋に幸せだった」クランクアップで交わした約束も

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三浦春馬さんが全身全霊で挑んだ主演作、映画『天外者』(2020年12月11日より公開中!)。続々と全国で上映劇場が追加されヒットとなっている本作にメインキャストとして出演する、三浦翔平さんと西川貴教さんのインタビューをお届けします。

本作は、三浦春馬さんが日本の未来を切り拓いた“五代友厚”を演じ、混沌と不安の時代に問う、壮大な歴史青春群像劇です。激動の幕末から明治初期、日本の未来のために駆け抜けた男――五代友厚(ともあつ)。武士の魂と商人の才を持つ五代は、薩摩藩士から明治政府役人を経て実業家となり、今日に続く商都大阪の基礎を作り上げました。東の渋沢栄一、西の五代友厚とも評される功績を挙げながらも、長らく歴史に埋もれていた人物――近年、多くの人の研究により、その真価が再認識されました。「実もいらぬ、名もいらぬ、ただ未来へ……」とひたすら大いなる目標に向かったその志と熱い思いが、時代を超えて今、解き放たれます――。

脚本・小松江里子×監督・田中光敏 映画界の名コンビが、入り組んだ時代背景と膨大な関連人物の中からオリジナルストーリーで五代友厚の「想い」と「志」を次世代に届けます。

五代を取り囲む盟友にして、言わずと知れた明治維新の立役者で幕末の志士・坂本龍馬を演じたのは、三浦翔平さん。そして、龍馬と共に現れ後に三菱財閥を築く土佐藩士で実業家の岩崎弥太郎を、愛嬌たっぷりに西川貴教さんが演じます。

三浦翔平さんと西川貴教さんに印象深いシーンや撮影エピソードなどを伺いました。

※以下、三浦翔平さんは「三浦」、三浦春馬さんは「春馬」と表記します。お二人の実際の会話内でも「春馬」呼びです。

描かれた登場人物の関係性に「こうあってほしいな、と思う歴史」

――そういえば、西川さんは『ネット流行語大賞2019上半期』金賞受賞おめでとうございました。盛り上がり、こちらからもお礼申し上げます。

西川:ああ! はい(笑)、ありがとうございます。

参考記事:
西川貴教さんの名言「薬物なんて絶対に必要ありません!筋トレしましょう!」が『ガジェット通信 ネット流行語大賞2019上半期』金賞に輝く
https://getnews.jp/archives/2175852[リンク]

――お二人は五代友厚について、元々ご存知でしたか?

三浦:もちろん。でも、ディーン・フジオカさんがNHK連続テレビ小説『あさが来た』で演じて一躍有名になったので、名前と何をした人物なのかは軽く知っていたんですけど、そんなに掘り下げることがなったので、「東の渋沢・西の五代」みたいに言われていることくらいしか最初は知らなかったです。

西川:僕は正直あまり……。僕は出身が関西ですし、大阪にも住んでいたので、この役柄をいただいて五代友厚を調べたときに、「え、あそこに立っていた銅像って五代友厚やったんや!」みたいな感じでした。大阪の旧証券取引所かな。今でもまだ建物は残っているんですけど、その前に銅像が立っていまして、それが五代だったということをこの作品を通じて知って驚いたくらいでした。今現在も実在している、大阪での商売をされている方が加盟する商工会議所の礎となった組織を束ねられた方。身近にありながら、なかなか知ることができていませんでした。

――私も今作を観て、今まで大きく取り上げられなかったことが不思議なくらいの人物だと思いました。今回、五代に深く触れてみてどんな印象ですか?

三浦:現代日本産業の礎を築いた、ものすごい人物だなと。そもそも幕末から明治にかけての激動の時代の中を身一つで生き抜いて、強い信念を持って何かを成し遂げるということは普通に生きていても並大抵のことじゃないと思います。武士であり、実業家であり、本当に人間として素晴らしい人だなとこの作品で理解しました。

――では、今作のオファーを受けたときの感想を教えてください。

三浦:いや正直、坂本龍馬って……となりました(笑)。

西川:あははは!

――三浦さんは東京ご出身ですし、作品を拝見して、良い意味で、こんなにクセのない龍馬も珍しいなと思いました(笑)。幅広い視聴者が身近な存在として受け止められるような坂本龍馬像になっていて新しいな、と。

三浦:龍馬は、もういろんな人が演じられていますからね。

西川:そうね。

三浦:どうしてもやっぱり引っ張られますよ、そういった作品を観すぎると。そこは考えないようにして演じました。役者人生の中で、坂本龍馬という役柄を演じることってたぶん一生に一度あるかないかだと思うんです。だから、すごく財産になったし、方言は大変でしたけど、春馬との関係性で作り上げられた龍馬だったのかな、と思っています。

――演じる上で心掛けたことは?

三浦:才助(五代の元服後の名前、後に友厚と改名する)、弥太郎、 利助(伊藤博文)というバランスの中に、自然と出来上がった龍馬で、そんなにガチガチに作り込みはしませんでした。もちろん最初は作りこもうと思って京都の龍馬ゆかりの地巡りをしました。幕末・明治維新期専門の博物館である霊山歴史館を見学したり、龍馬の墓に一日中いたりしたんですけど、僕はただ龍馬の墓の前で思いふけったように深呼吸していただけなので(笑)。もちろん、史実などは勉強したんですけど、そうやって物思いにふけっていく内になんとなく、あまり作り込まなくていいのかなと、既に春馬が演じる完成された才助がいたので、そこに合わせていく感じで、自然体で演じることにしました。

――とてもナチュラルな龍馬でした。西川さんは岩崎弥太郎をどのように演じようと考えたのでしょうか。

西川:たぶんお互い、過去の作品に引っ張られる龍馬像と弥太郎像がありまして(笑)。僕は特にNHK大河ドラマ 『龍馬伝』で香川照之さんが演じられた弥太郎が象徴的な描かれ方をされていたので、最初は翔平と同じように引っ張られそうになったんですけど、でも今回の脚本の中に描かれている弥太郎ってどうも違うな、と感じて。

僕も色々なことをやらせてもらっている中で、様々な経営者の方とお会いしたりすることが多いのですが、そういう方々って、もちろんカリスマ性をお持ちの方ばかりなんですけど、それと同時にものすごく可愛らしく魅力的で、「この人に言われたら何かしなきゃいけないな」と思わされちゃう何かをお持ちの方がとても多いんです。アーティストとか、1人で何でも判断して唯我独尊の我道を行く人じゃ、たぶんこんな大きな組織はできなかったんだろうな、と思わせられるので、そういった弥太郎の魅力的な部分が少しでも僕を通じて描けたら良いなと思って演じさせていただきました。

――人間味溢れる愛されキャラの弥太郎が魅力的でした。

西川:今まで描かれている中で一番おっちょこちょいな弥太郎になっている気がします(笑)。

――そこが3人、 利助も入れると4人の仲の良さをより引き出していて良かったです。

西川:この『天外者』の中において、五代と龍馬と弥太郎と利助、この関係値は本当に特別なものを感じたし、今まで実際に教科書で学んでいた歴史と違うだけに、むしろこうあってほしいな、と思う歴史でもありました。


・三浦春馬主演 映画『天外者』【友情編】15秒スポット
https://youtu.be/i6fr3TE1u9M[YouTube]

作品に封じ込められた三浦春馬の生きざま「しんみりしないで観てやってください」

――印象に残っているシーンを教えてください。

三浦:龍馬に関して言えば靴。龍馬が殺されてしまった後に、龍馬の想いを受け取って走る弥太郎の足元から入っていく画が「田中監督すごいな!」と思いました。そこで全部を回収してる。それと、春馬と一緒に撮った船のマストに登るシーン。打ちのめされた五代を龍馬が荒っぽく励ます大事なシーンだったんですが、当日はあまり言葉も交わさず。本番は呼吸で合わせていくような感覚でした。あのシーンの呼吸はすごく好きだったなと思います。

西川:僕も翔平が言ったシーンと繋がるところで、あそこには弥太郎として立っているかと思いきや、龍馬を背負って立っていて。画的にはたくさんの方を背負って五代と2人で向き合っているシーンなんですけど、実は3人がいるシーンなんですよね。そこは印象的です。あとは、個人的には龍馬との海援隊がいよいよ動き出すところ。京都の舞鶴まで撮影に行ったんですけど、さっきまで2人で「これから頑張るぞー!」ってシーンを撮った後に、もう号泣するシーンだったので、なかなかの切り替えの大変さでした(笑)。

三浦:海援隊行くぞー!と撮ってすぐ、僕が「じゃあ、お疲れさまでした」と帰って(笑)。

西川:翔平は「先、帰ります~」と言って、僕は「ああ、そっかそっか」と。決まっている撮影スケジュールなので仕方ないんですけど、その後、彼を偲んで大号泣するっていう(笑)。

――さっきまで一緒だったのに、と(笑)。

西川:もう本気で泣きました(笑)。

――監督にもインタビューさせていただいたのですが、お二人共すごく真面目だったとおっしゃっていました。

三浦・西川:あはは!

三浦:真面目なんですかね(笑)。

西川:翔平もだし、春馬も真面目だからな~。

――現場はめちゃくちゃ仲が良かった、とも。

西川:翔平と春馬とは、彼らが20代前半くらいの頃からずっと付き合いがあって、仕事関係なく繋がったりしていて。やっとこんな形で1つの作品に関われて、本当に純粋に幸せだった。クランクアップのときにも話していたんですよ。みんなそれぞれクランクアップのタイミングが違って、最終は京都だし、東京に戻らなきゃいけないとかで翔平は最後のスタッフ打ち上げにも来られなくて。でも、「絶対、作品が公開するときに散々舞台挨拶とかで日本中周るし、そうしたらいっぱい美味いもの食って美味い酒飲もうぜ!」と言っていて。だから、本当に……(春馬さんの)あのニュースを聞いたときは信じられなかったですね。未だにみんな信じてない。だからこそやっぱり、残された我々は作品の中に閉じ込めた、あの中では永遠の命ですから、そんな彼をできるだけたくさんの方に届けられる橋渡し役になれたら良いなとすごく思っています。

――映像の中でみなさんハマり役で生き生きとされていたので、本当に信じられないというか、とても熱い熱量が伝わってくる作品になっていると感じました。

西川:ちょうどさっきメイキングというか、オフショットみたいな映像をちょこっと観たんですけど、それを観て思い返しても、笑ってる顔しか思い浮かばないからね。本当に、バカみたいなことしかしてなかったしな(笑)?

三浦:そうですね。

――3人のシーンも、本当にただの仲の良い友人が集まっている、じゃないですけど、そう感じさせるシーンも多かったので……。

三浦・西川:あははは!

三浦:ただの仲の良いシーンって(笑)。

西川:イチャイチャしてるだけみたいな(笑)。あはは! でもね、そういうことなんですよね! 

三浦:まあ、彼(春馬さん)のことだからね、なんとなくそのへんに居て、「ほんっとごめん!」って、たぶん僕らにやってると思うんですけどね。映画はまた1つの作品として色々な想いが詰まってますので、そこを観ていただけたらと思います。

――劇中で、かたせ梨乃さん演じる女将が五代に「生きるために何を売れますか?」と問うシーンがありますが、お二人が持っている価値があるものを教えてください。

三浦:西川さんは、やっぱり筋肉ですか?

西川:いや、あはは! でも僕はこういった役者のお仕事をさせていただけるようになったのは、本当にご縁で。いろんな人に「絶対できるよ」とか「向いてるよ」、「やってみてよ」と言われほだされて全部やってきていて、何なら音楽もそうなんです。元々、それほど真剣に目指してもいなかったし。本当に人に導かれてここまで来ているから、そういう意味では、人の繋がりが財産です。付き合いが長い人はめちゃくちゃ長い。そういった付き合いとか人との関係値や出会いはすごく大事にしているので、お金にはかえられない、自分にとっての財産ですね。

――三浦さんは価値にかえられるものはありますか?

三浦:いや、かえられるものなんて何一つないんですよ。

西川:かっこいい!! 腹立つ~(笑)!

三浦:すべては、何かアクションを起こさなければ得ることはできないし、価値にかえられるものは、……何ですかね? この身を価値にかえられるように頑張りたいです。

――西川さんから見て三浦さんの魅力はどんなところだと思いますか?

西川:今はだいぶ印象が違うかもしれないですけど、昔はただのチャラ男だと思われていたと思うんですよ(笑)。でも本当はすごく真面目なんですよ。そこはもしかしたら、世間と実際の本人の印象の乖離があるかもしれないですね。

――全然そんなことないですよ(笑)!

西川:あ、ほんと? まぁでも、最近そういうのもどんどんイメージが変わっているんじゃないですか? 

三浦:僕はありのままで変わらずに生きているので、本当にこのままの自然体なんですよ。テレビに出ているときは少し頑張っていますけど(笑)。

――では、最後に本作の見どころとメッセージをお願いします。

三浦:ポスターなどにも書いてある通りなんですけど、人の想いは時代を越えてどこまでも続いていくと思います。このような世の中ですが、この映画を観て、今幸せに過ごせている自分の生活というものは、こういった方たちが作り上げてきた先にあるという事をしっかりと受け止め、明日からの生活を今一度、より良い未来になるために考えてほしいなと思います。

西川:実際に江戸末期から明治という時代を生きた偉人たちの想いと、もう一つ、三浦春馬という男の生きざまが作品に封じ込められています。亡き人を想う、振り返った作品というよりは、それを踏まえて次に踏み出す一歩を後押しする作品になっていると思うので、みなさんいろんな想いがあると思いますが、しんみりしないで観てやってください。めちゃくちゃ生きてますから! ぜひ、よろしくお願いします。

――ありがとうございました!

[撮影:周二郎]

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<ストーリー>
江戸末期、ペリー来航に震撼した日本の片隅で、新しい時代の到来を敏感に察知した若き二人の青年武士が全速力で駆け抜ける―。五代才助(後の友厚、三浦春馬)と坂本龍馬(三浦翔平)。二人はなぜか、大勢の侍に命を狙われている。日本の未来を遠くまで見据える二人の人生が、この瞬間、重なり始める。攘夷か、開国かー。五代は激しい内輪揉めには目もくれず、世界に目を向けていた。
そんな折、遊女のはる(森川葵)と出会い「自由な夢を見たい」という想いに駆られ、誰もが夢見ることのできる国をつくるため坂本龍馬、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤博文(森永悠希)らと志を共にするのであった―。

≪映画概要≫
【タイトル】 『天外者』(てんがらもん)
【公開日】2020 年 12 月 11 日(金)よりTOHO シネマズ日比谷ほか全国上映中
【出演】 三浦春馬 三浦翔平 西川貴教 森永悠希 森川葵 /蓮佛美沙子 生瀬勝久 ほか
【スタッフ】 監督:田中光敏 脚本:小松江里子 【配給】 ギグリーボックス 【上映時間】109 分
●公式サイト https://tengaramon-movie.com[リンク]
●公式 Twitter https://twitter.com/tengaramon_1211
●公式 Instagram https://www.instagram.com/tengaramon_movie

(C)2020 「五代友厚」製作委員会

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