都内から2時間半の別天地。秋保温泉の自然とグルメと名湯に癒される

都内から2時間半の別天地。秋保温泉の自然とグルメと名湯に癒される

なるべく自宅で過ごすようになって数ヶ月。編集・ライターという仕事は家でできることも多く、家にいるのも好きなインドア派の私。だけど真摯に営業している旅館やホテルをサポートするためにも、そろそろ旅がしたい!

出来る限りの注意を払って、一人で静かに訪れるならば、人と密に接することもないだろうし。そこで、JR東京駅から約2時間半で行ける宮城・秋保温泉へ行ってきた。

旅の荷物

前1週間の検温と、体温計、携帯用除菌スプレーの準備もばっちり。

東京駅

仙台ならではのグルメも味わいたい!

東京駅から東北新幹線で約2時間、JR仙台駅に着いてからの腹ごしらえ。やっぱり仙台と言えば牛たんということで、駅に隣接した商業ビル「S-PAL仙台」の本館地下にある「青葉亭 仙台エスパル店」へ。仙台駅について10分以内に食べられるし、カウンターもテーブル席もあって、一人でも気楽に入れるのがいい。

牛たん定食(塩味・柚子胡椒味・MIX)

塩味と柚子胡椒味の牛たんが4枚ずつ入った「牛たん定食(塩味・柚子胡椒味・MIX)」から塩味と柚子胡椒味の牛たんが4枚ずつ入ったMIXをチョイスした。麦ご飯にテールスープ、お漬物の付け合わせというシンプルな構成が、「とにかく牛たんを堪能したい!」という気持ちを満たしてくれる。牛たんの味付けも絶妙で、歯切れがよく、さすが現地の専門店。

愛子駅

仙台都市部からほど近い温泉街へ

さてここから目指すは秋保温泉。仙台駅から1時間以内で行ける癒しスポットで、古くは「名取の御湯」と呼ばれていたとか。

オンデマンド交通の愛子駅待合場所

まずは仙台駅から仙山線で約25分、愛子(あやし)駅へ。下車したら、事前にオンラインで予約・決済した、秋保エリアの乗り合い交通サービス「オンデマンド交通」の車両を待つ。

写真提供:JR東日本

写真提供:JR東日本 

オンデマンド交通は、2020年9月から試験的に実施している交通網で、1人1回500円の乗り合いバスのようなもの。秋保温泉エリアでは、宿泊施設や観光名所など34ヶ所の乗降ポイントがあり、使い慣れるとかなり便利そう。愛子駅から、今宵の宿である「篝火の湯 緑水亭」までは、タクシーなら2,500円ほどかかるというから、かなりお得でもある。

篝火の湯 緑水亭

山の上に佇む「篝火の湯 緑水亭」は、皇族も宿泊したという老舗の温泉旅館。まるで森の泉かのような雰囲気の露天風呂も人気で、日帰り入浴に立ち寄る人も多いそう。広大な庭が見事で、日がな一日、のんびりと温泉に入ったり、庭を散歩したりという過ごし方も憧れる。

入館時にはサーモグラフィでの体温チェックが自動的にされていて、消毒液も入り口を始めとしたあちらこちらに完備。新型コロナウイルス感染症予防に細心の注意が払われていることがわかる。

秋保温泉

磊々峡やワイナリー、名物おはぎの店を散策

まだ午後も早いので、荷物を預けて付近を散策することにした。この辺りは名取川が秋保石を浸食して作られた、奇岩奇勝が約1kmも続く渓谷「磊々峡(らいらいきょう)」がある。岩を浸食するくらい流れも激しく水深も深そうなその様子を、その名も「覗橋」から覗き込む。

磊々峡

覗橋の近くには遅咲きのひまわり畑も。10月頃に満開とのこと。

満開の時期のひまわり畑

満開の時期のひまわり畑(写真提供:秋保温泉旅館組合)

この近くにある「秋保ワイナリー」にも立ち寄り、葡萄畑を眺めつつ、友人へのお土産を購入。カフェも併設しているので、歩き疲れたらお茶もできる。

葡萄畑

さらにぶらぶらと歩き、地元の友人に聞いた「主婦の店 さいち」へ。地元のスーパーマーケットをチェックするのは、私にとって旅の醍醐味!

主婦の店 さいち

こちらの人気商品は、手作りのおはぎだそう。手作りのお惣菜や、農家から直接運ばれたような野菜なども並んでいた。おはぎを購入。おはぎはほかほかと温かかったので、急いで食べたくて、道端にあったベンチに座って食べる。

篝火の湯 緑水亭

夕暮れから温泉と夕飯をたっぷり満喫

ホテルへの道

そろそろ汗を流したくなったので、旅館へ戻る。山の上にある旅館までの坂道はかなりの急勾配なので、麓に設置された内線専用電話で送迎車を頼むか迷いつつ、私はおはぎを消化すべく、必死で登りきった。汗だく……! 

大浴場「緑水の湯」

大浴場「緑水の湯」(写真提供:緑水亭)

おかげで夕方早くから、のんびり温泉に浸かって汗を流すのが、至福のひとときでありました。こちらの温泉はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉低張性中性高温泉で、神経痛や五十肩、冷え症、慢性皮膚病などに効くのだとか。

夕飯

夕飯は宴会場で。蕨(わらび)の三杯酢漬けや蕗(ふき)の田舎煮、網子茸(あみたけ)のみぞれ和えといった前菜から、天然の平目の薄造り、特選牛のしゃぶしゃぶ、野菜の炊き合わせに蕎麦の実餡……と、地元の素材を生かした丁寧な和食が並ぶ。山の清流の澄んだ水で育てられた減農薬の秋保米を使ったという〆の炊き込みご飯がまたおいしくて、完食!

炊き込みご飯

せっかくなので、オリジナルビール「かがり火」を頼んでみたところ、すこぶる美味! ほんのり褐色で渋みが少なく、するすると飲める。お風呂上がりの体に染みました。旅館内のビールバーで呑むのも楽しそう。

オリジナルビール かがり火

食後は広々とした部屋で本を読みながらのんびりと過ごし、早めに就寝。こういう時間を欲っしていたなあとつくづく思う。疲れが取れたのか、朝の目覚めも最高。早朝から露天風呂をキメて、ご機嫌で朝ごはん。

露天風呂「篝火の湯」

露天風呂「篝火の湯」(写真提供:緑水亭)

朝ごはん

従来、朝食はバイキング形式だったけれど、今は状況を鑑みて、個々に提供するようになっているそう。焼き魚やイカのお造り、炊き合わせやたらこ、佃煮など、ごはんが進むおかずが並ぶ。汁ものはしじみ汁かあら汁から選ぶことができるのもうれしい。

※食事の内容や提供方法は時期やプランによって異なります。

秋保大滝

マイナスイオンを浴びに

チェックアウトまで庭を散策したりしてのんびり過ごし、出発。2日目のメインイベントは「秋保大滝」だ。麓にある「秋保・里センター」まで送迎車で送ってもらい、そこから市営バスで秋保大滝バス停まで約23分。車窓から見える山里の風景が美しく、ずっと眺めていても飽きることがない。

下車すると、目の前が「秋保大滝不動尊」の入り口。風情のある佇まいの不動尊にお参りしてから、脇道を奥に進み、滝見台へ向かう。

秋保大滝不動尊

水が流れ落ちる滝音は聞いているだけで涼しげで、近づいてみると予想していたよりも大迫力。昔、木食知足上人(もくじきちそくしょうにん)が衆生済度(しゅじょうさいど*1)を願って遷化(せんげ*2)したという場所なので、願いごとが叶う場所としても知られているよう。

*1:現世で苦しみ悩んでいるすべての者を救済し、悟りへと導くこと
*2:高僧が亡くなること

秋保大滝

そろそろお腹がすいてきたので、秋保大滝バス停横の「二代目たまき庵」へ。玄蕎麦から仕入れた、こだわりの自家製粉を使用し、毎日店主が手打ちしているそう。開店直後だというのに、参拝客と常連客が続々と入店している。ご主人のおすすめを聞き、十割田舎そばをオーダー。待っている間にこだわりのお酒を呑むもよし、一品料理も、ニシンの山椒漬けや本日のおすすめ(取材時は、もぎたてオクラ天)などおいしそうだ。

十割田舎そば

果たしてやってきた十割田舎そばは、驚きの極太! 割り箸ほどの太さのそばを噛んでみると、蕎麦の風味がしっかりと感じられて、とてもおいしい。十割と聞いてもっとボソボソしていると想像していたけれど、もっちりとした食感でハマる。隣の常連客に「そばジェラートもおいしいのよ」と教えてもらった。次は必ず頼もう。

バスの時間まで少し余裕があったので、徒歩3分ほどの「秋保大滝植物園」を散策することにした。素朴な入り口を入って進むと、予想外に広く、森の奥には川が流れ、すだれ滝などを眺めることもできた。思わぬ森林浴ができて、大満足。芝生広場もあるので、子どもたちと来ても楽しそう。

秋保大滝植物園 すだれ滝

仙台駅

帰宅してからも旅の余韻を楽しむ

ずんだ小径

帰りはバスで一路、愛子駅まで。そして仙山線で仙台駅へと戻る。あっという間に都心へ戻ってきて、不思議な気分。駅ビルにはたくさんのショップがあり、「牛たん通り」や「すし通り」などもあり、有名な「青葉亭」の牛たん弁当も買うことができる。甘いもの好きの私は名物のずんだ餅を買うべく、「ずんだ小径」にある「喜久水庵 ずんだ茶屋」で冷凍のずんだ餅を購入。仙台の街には行ってみたいレストランやワインバー、美術館もあるから、落ち着いたらまた来よう。

東京駅

ずんだ餅

新幹線に乗れば、また2時間ほどで東京駅。自宅まで戻り、さっきまで森のなかにいたんだなあ、と余韻に浸る。家族とお土産のずんだ餅を食べながら、旅の話をする。こんなにすぐに行けるなら、仙台へビジネス出張したときも、会議の後は秋保温泉へ泊まって夕食を食べるのもいいだろうな。次は家族を連れて行こう。

掲載情報は2020年10月22日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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