“わが街選び”の基準が変わる!?新型コロナの影響で、お出かけ先は自宅周辺へシフト
国土交通省では、日立東大ラボと共同し、新型コロナ危機を踏まえた今後のまちづくりを検討するために、全国WEBアンケート調査を8月3日~25日に実施した。速報結果によると、「お出かけは宣言解除後も自宅周辺が増加している」ことなどが分かったという。注目ポイントをいくつか紹介しよう。【今週の住活トピック】
全国アンケート調査「新型コロナ生活行動調査(速報版)」を公表/国土交通省
緊急事態宣言以降は、自宅での仕事と余暇時間が増加
新型コロナの影響で、外出を控えるようになり、自宅にいる時間が長くなった。では、自宅での活動時間で、どんな時間が増えたのだろうか?
国土交通省が公表した調査結果のうち、特に影響が大きかったと思われる「特定警戒都道府県」の結果を見てみよう(画像1)。緊急事態宣言中では、明らかに外出を控えて、自宅にいたことが分かる。一方、宣言解除後の7月末では、外出率は流行前に近づいているものの流行前と同じまでは戻らず、なおも外出を控える傾向がうかがえる。
自宅にいる時間が長くなったなかでも、自宅の活動時間として増えたのは、「仕事」の時間はもちろんのこと、「余暇」の時間も増えたのが興味深い点だ。
(画像1)自宅での活動時間(平均活動時間)と外出率※特定警戒都道府県を抜粋(出典:国土交通省「新型コロナ生活行動調査(速報版)」)
外食や趣味・娯楽で訪れる場所は、都心や中心市街地から自宅周辺へシフト
次に活動別の外出頻度を聞くと、流行前と調査時点(2020年8月)を比べると、「勤務先への仕事」への外出が減っていたが、「外食」や「食料品・日用品の買い物」への外出も減っていた(画像2)。では、外食や買い物などで訪れた場所は、どこだったのだろうか?
(画像2)活動別の外出頻度(週あたり外出日数)(出典:国土交通省「新型コロナ生活行動調査(速報版)」)
いずれの外出でも訪れた場所は、自宅から離れた「都心・中心市街地」から「自宅周辺」にシフトしていた(画像3)。なかでも、「外食」と「趣味・娯楽」で、中心部から自宅周辺へと大きくシフトしていたことが分かった。
(画像3)活動別の最も頻繁に訪れた場所(新型コロナ流行前から調査時点(2020年8月)への変化)(出典:国土交通省「新型コロナ生活行動調査(速報版)」)
新型コロナの影響で、自宅にいる時間が長くなり、余暇時間も増えたので、自宅周辺のお店や施設を訪れるようになったという構図だが、これまで以上に自宅周辺地域に関心が高まったと考えてよいだろう。
「ゆとりある屋外空間を充実させてほしい」と半数近くが希望
リモートワークなどで自宅での活動が増えるとした場合、自宅や自宅周辺の居住環境で望むことを聞いたところ、「望む」という回答が多かったのは「自宅のオンライン環境の強化」(強く望む12.3%、やや望む21.5%)と「自宅周辺における余暇や気分転換、運動をするための近場の公園や緑地の充実」(強く望む8.6%、やや望む21.9%)だった。
また、新型コロナの影響で、移動手段の利用に対する意識の変化について聞くと、鉄道やバスなどの公共交通機関については利用を減らしたい意向が強く、徒歩や自転車、自家用車については利用を増やしたい意向が強く出た。
最後に、都市空間でどのような取り組みを充実すべきかを聞いたところ、「公園、広場、テラスなどゆとりある屋外空間の充実」(46%)や「自転車や徒歩で回遊できる空間の充実」(37%)などのニーズが高いことが分かった(画像4)。
(画像4)都市空間に対する意識(充実してほしい空間)(出典:国土交通省「新型コロナ生活行動調査(速報版)」)
こうして見ていくと、キーワードとなるのは、余暇や気分転換、運動をするための「公園などの空間」や「徒歩や自転車で回遊できる空間」だ。商業施設の充実も重視されるが、快適な屋外空間のある街というのも、今後はニーズが高まっていくだろう。
さて、緊急事態宣言中は、本人の運動不足や子どもの外遊びの機会減少などを気にした家庭も多かったと思う。筆者も、それまでしたことがなかった「わが街歩き」をやった。新しい風景に数多く出会えたが、方向音痴であることや蚊に刺されやすいことなどもあって続かなかった。一方で自分には、商店街歩きのほうが合っているということにも気づいた。
働き方や暮らし方、家族構成など、家庭それぞれの事情によって、住まい周辺の“街”に対する考え方も異なるものだ。この機会に、それぞれの“わが街選び”の基準を再確認してはいかがだろう。
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