よく分からないけど避けてしまう「食品添加物」って何?

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日々の食事でこだわっていることは人それぞれですよね。

それは自分が育ってきた環境、今、置かれている状況によるのかもしれません。
例えば一人暮らしの人なら手軽なのがいい、コンビニでいいと思うのかもしれないし、妊婦さんや子育て中の人はできるだけ身体にいいものをと考えるかもしれません。
でも、それでも「食べるなら安全な食べ物を」という気持ちは、みんな同じです。

でも「安全な食べ物」って?

情報があふれている社会で、どの情報も何が正しくて、何が誤っているのか、見極めが難しくなっています。
中でも自分に直結する「食の安全性について」、人々は非常に敏感です。安全性に疑念が出るとあっという間に情報が広がり、正しい情報も誤った情報も飛び交います。ある事例では安全性を立証するまでに19年かかり、その間に人々に植え付けられた「あの食品はヤバイ」というイメージを払拭するまでには、もっと長い歳月が必要だったといいます。
 
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情報に惑わされないためには正しい知識が必要、ということで、味の素株式会社主催の「食と健康の未来フォーラム」に参加してみました。
今回のテーマは「食品添加物のこと、考えてみませんか ? ~私たちはどうして『無添加』が気になるのだろう~」。
主催の味の素株式会社の代表取締役 取締役社長 最高経営責任者・西井孝明氏が「食品添加物は食品メーカーには欠かせない」とお話しているのを聞いて、なかなか攻めたテーマだなと思いました。
でも西井社長の思いとしては「食を楽しみ、健康な生活を送るための正確な情報を伝えあう場、そして不安に思うことを話し合える場が必要」ということでフォーラムを開催したそうです。

食品添加物はどうして嫌われるのか?

毒性学(化学物質の人体への作用)、食品安全を専門とされている東京大学名誉教授・唐木英明氏が食品添加物はなぜ、悪となったか、その背景をお話されました。
化学物質が嫌われるのは1960年代化学物質公害や健康被害事件が起こったことが原因だと言います。
そのころ実は化学者は化学物質の毒性について詳しく調べていなかったそうです。健康被害事件がきっかけになって、化学物質の毒性について真剣に調べるようになった。それから後は食品添加物も農薬も非常に安全になったのですけど、やはり昔の記憶がいまだに残っている。そして食品添加物、化学物質が嫌だという常識ができてしまったということです。

実際に買うときに無添加を選ぶ?

 
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購入するときに「無添加」を選ぶ人は約50%、気にしない人は約48%とのデータがあります。
唐木氏は「1割の『必ず無添加を買う人』と4割の『あれば無添加を買う人』はかなり違っている。本当に食品添加物が嫌だったら必ず無添加を買うはずです」という。
では4割の人はなぜ、このように答えたのでしょうか?
「世の中には食品添加物が危ないという情報がたくさんある。その中で、私は気にしない、とは言いにくい、と周りの人に合わせて答えている人がけっこういる。食品添加物については知識の中だけで不安に思っている人が4割、それが買い物の行動にまで影響して、実際に無添加しか買わない人が1割ということだと思います」。

食品添加物を避ける理由

街の声を聞くと、子どもの健康を考えると無添加の方がいいのではないか、なんとなく安心、安全な気がする、食品添加物は身体にいいものではないイメージ、合成保存料、人工甘味料に対する拒否反応という意見が大半です。
でも、その根拠は、というと、ないのが実態です。
唐木氏は「情報にものすごく影響される。ネット見ても週刊誌を見ても、食品添加物は健康に悪い、特に合成保存料・人工甘味料は悪いなんて記事がたくさんあります。
人間は危険な情報は聞き逃さないという本能を持っている。
そういう情報は信じた方が自分も家族も安全に過ごせるだろうと思うのは当たり前のことです。だから必要以上に怖がってしまうんです。
たぶん企業も食の安全情報をたくさん出しているのだけど、危険情報に負けてしまう。
負けないためには安全情報を危険情報の10倍くらい出さないと、世間は信じてくれません」と言います。
そして「ただ『無添加』といっても加工食品を完全に無添加で作るのは非常に難しいです。世の中に完全に無添加なものは少ないと思います。無添加と表記されている食品でも『保存料は使っていません』と言いながら、ほぼ同じ成分のものを使っているケースもあります。
消費者が嫌っている保存料や着色料だけを除いた商品を無添加商品と言っている。これを身体にいいと誤解している人もいるし、食品添加物が一切入っていないと思っている人もいる。『無添加』への警戒心がなさすぎるとも言えるかもしれません」。

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食品添加物って、具体的に何?

豆腐を作るときの「にがり」、ビールの「ホップ」なども食品添加物になるそうです。化学的合成品だけでなく、天然由来のものでも食品添加物と区分されるのです。
化学的合成品についても国が安全性を認可しているものです。
持病があって塩分を控えている人が味気のない食事にうんざりしてしまうようなときに減塩のうま味調味料はおいしく食べられる強い味方です。また糖尿病で砂糖が使えない人にとっては甘味料はありがたい存在です。
今、コロナ禍で高齢者が買い物に行かれない状況の中で、食品を長持ちさせる保存料がないと食中毒を起こしたり、体調を崩したりというリスクもあります。
油が酸化しないようにする酸化防止剤も、日本では欠かせないものです。

「無添加」とは誰が言っているのか?

「使っていい食品添加物、絶対避けるべき食品添加物」、という情報は週刊誌やネットにたくさん出ています。
でも唐木氏によると「いい食品添加物と悪い食品添加物」というのはないという。
どうしてかと言うと日本には食品の安全を守るシステムが確立されているから。
食品添加物の使用は「一生の間毎日食べ続けても体に影響のない、非常に微量しか許されていないし、発がん性の物質や体に蓄積する物質は絶対に使ってはいけないという厳重な制約があります。
ネットで言われる“悪い食品添加物”のデータの多くは、多量の食品添加物を実験動物に与えて、それが人間にも起こりえる、という可能性を情報として流しています。
いいモノも悪いモノもその量、というのもポイントになってきます。
塩だって醤油だって砂糖だって、摂りすぎれば、それは悪いモノに代わってしまいます。
これが理解されていない」。
味の素株式会社の西井社長も言う。「食品添加物というのは思った以上に曖昧な捉え方がされている。食品メーカーからすると欠かせないものですけど、生活者からするとなんとなく不安、何のために使っているか分からない。伝えきれていない企業の責任もあると思います」。
結局、「無添加」というのも、誰が言っているのか、と言えば、商品のパッケージを見て、その表示をなんとなく信じて買っているだけなのかもしれません。

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食の安全性の基準について、日本は世界的に見ても厳しいそうです。2003年に施行された「食品安全基本法」以降は、食品添加物や残留農薬の管理の仕組みは大きく変わり、ますます安全性の徹底に取り組んでいます。
世間に流れる情報をそのまま受け取って、むやみに心配したり不安になったりせず、自分や家族にとって、どういった選択が楽しく豊かな食卓をもたらすのか、を考えてみてはいかがでしょう?

ちなみに今回のフォーラムは視聴者からの関心が高く、沢山の質問が寄せられたため、食品添加物に関するQ&Aサイトがオープンしたそうです。食品添加物についてもっと知りたいという人はのぞいてみると意外な発見があるかもしれませんね。

味の素株式会社主催:食と健康の未来フォーラムQ&A(https://fwf-forum.jp/

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