ある韓国人青年の兵役 ~軍隊生活編~

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前回からお送りしている「ある韓国人青年の兵役」体験談。二回目の今回は、李さんの入隊後の生活についてお届けする(第一回~導入編~)。

「軍隊に入隊すると、最初の五週間はブートキャンプで兵隊としての基礎訓練を受けます。その後私は、幹部養成学校の職員として配属されました。この学校は法律や管理、広報などの分野の幹部を養成する学校で、ソウル市内にあります。私が配属された部署は教材課というところで、幹部が勉強するのに必要な雑貨類を管理する職員として働いていました」

兵役で軍隊に入隊すると言っても、彼のように、いわば「事務員」として働く隊員もいるとのこと。いわゆる「軍人」のイメージとは少し違う。彼らのような兵隊の場合、どのような一日を送っているのだろうか。

「まず朝6時に起床します。その後外に集まって朝礼を行い、体操をしたりランニングをしたりします。シャワーを浴びた後、7時に朝食をとります。それから自分たちの部屋の掃除をします。私たちは個室ではなく40人程の大部屋で暮らしていたので、みんなで掃除をするという規則でした。但し実際に掃除をするのは専ら一番下の後輩の役目で、先輩たちはテレビを見たり寝ていたりしましたが。8時頃になると所属している事務所に行き、働きます。12時から13時まで昼休み、それからまた仕事を始め、17時に終業します。その後夕ご飯を食べ、18時から自由時間、20時半から21時まで掃除の時間、22時に点呼、そして就寝という流れです。就寝の後も、夜間勤務と言って、銃を持って外の警備をすることもありました」

一日のスケジュールはかなり規則正しく組まれているようだ。銃を持って夜間警備をする辺りはさすが軍隊といったところだが、それ以外は「集団生活をする会社員」というイメージだろうか。実際、李さんも想像していたより軍隊生活が厳しくないという印象を持ったという。仕事自体も非常に事務的なものだったらしいが、「それは私が配属された部隊が学校だったからで、他の部隊だったらもっと厳しかったかもしれない」(李さん)という。

だが兵隊である以上、「兵隊っぽい訓練」もすると思うのだが……。

「実戦訓練の頻度は配属される部隊によって変わります。例えば北朝鮮に近い場所の部隊に配属された場合、訓練は毎月一回くらいの頻度で行われますが、私たちの部隊では一年に二回くらいしかありませんでした。部隊の目的が幹部の養成だったので、訓練自体が少なかったのです」

集団訓練の様子

集団訓練の様子

軍人になると言っても、毎日訓練に明け暮れるわけではないようだ。因みに、兵役で配属される部署は直前になるまで分からないという。前線に送られるか後方に送られるか、こればかりは運次第といったところだろう。訓練の内容はどのようなものなのだろうか。

「手榴弾の訓練はブートキャンプで1回しかやりませんでした。本物の手榴弾は危険ですので。実際に投げてみたりもしました。でも、銃の訓練は一ヶ月に一回はやりました。標的の距離は100m、200m、250mの三種類。ランダムに変わる標的を撃つという訓練でした。これは比較的楽しかったです。使用するのはアメリカ製のM16自動小銃、あるいは韓国製のK1自動小銃です。また、そのような訓練ばかりでなく、座学もありました。一ヶ月に一度、幹部の講義を聞いたり、一週間に一度、『精神教育』と呼ばれる教育も受けました。ビデオで敵について学ぶのです」

やはり兵役で集められたとは言っても軍人は軍人、銃を使った訓練は定期的に行うようだ。この訓練のメニューは、配属される部隊によってかなり違う可能性があるという。やはり北朝鮮に近い部隊ではもっと厳しい訓練があるそうだ。また、座学に関しても、いわゆる学校の授業のような形式ではなく、講堂でレクチャー形式で受けていたという。

次回は、李さんのレバノン派兵体験記をお送りする。

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olo

架空紙幣作家。4歳の頃、聖徳太子の一万円札の美しさに心を奪われ、紙幣デザインフェチとなる。現在では架空紙幣創作のほか、架空新聞記事、架空広告、合成写真を用いた隣接世界訪問写真などを創作している。

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