ある韓国人青年の兵役 ~導入編~
お隣の国、韓国には、兵役制度が存在する。ある時期になると一定期間軍役に就いて国防の一端を担う仕事だが、日本人にはあまり馴染みのない制度である。制度の存在そのものは知っていても、具体的な内容に関してはよく知らない……。一体彼らはどんな軍隊生活を送っているのか? というわけで、先日兵役を終えたばかりの韓国人青年に「韓国の兵役とその生活」について尋ねてみた。
インタビューに応じて下さったのは、3か月前に兵役を終えたばかりの李東城(イ・ドンソン)さん。ソウル生まれの26歳男性で、高校までソウルで過ごした後、アメリカのミシガン州立大学に留学。卒業前に韓国軍に入隊し、約2年間の兵役に就いていた。現在は実家のソウルで過ごしている。
「21歳か22歳の頃、韓国軍から手紙が届きました。『あなたはもう軍隊に行ける歳だから、行きたいときに来て下さい』という内容でした。でも当時私はまだ学生だったので、入隊をしばらく見送りました。平均的な入隊の時期は、韓国の年齢(※韓国では数え年が普通)で21歳、大学2年生の頃です」
手紙が届くとすぐに入隊しなければいけないわけではなく、大体29歳くらいまでに入隊すれば良いという。因みに、李さんの弟さんも同じ時期に入隊し、兵役を終えたという。だが、やはり人間、辛いことはなるべく避けたいところ。兵役免除の制度はどうなっているのだろうか。
「身体的、精神的なことが原因で兵役免除になることがあります。例えば手に異常に汗をかく人の場合、銃や手榴弾の扱いが出来ない可能性があるので、免除になることもあります。または、すごく太っている人、すごく痩せている人なども免除の対象になります。精神的に不安定な人も免除の対象です。但し、最近ではその制度を悪用して、詐病で兵役免除を受けようとする人もいます。例えば何年も前から計画的に精神科に通い、記録を残して精神不安定を装う場合などがあります」
他にも、合法的に軍隊に入隊せずに済む方法があるという。国防に関係のある企業に入社して3年ほど働けば、兵役を終えたと見なされ、軍隊への入隊を免除されるそうだ。また、博士号取得者は国指定の研究職に就くことができ、やはり兵役満了と見なされるという。これらは厳密には「兵役免除」ではないが、一般人と同じように生活しながら兵役を終えたと見なされるので、希望者が多いそうだ。だが、全員なれるわけではないので、倍率も高いという。
次回は、李さんの実際の入隊体験をお送りする。
架空紙幣作家。4歳の頃、聖徳太子の一万円札の美しさに心を奪われ、紙幣デザインフェチとなる。現在では架空紙幣創作のほか、架空新聞記事、架空広告、合成写真を用いた隣接世界訪問写真などを創作している。
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