差別はネットの娯楽なのか(4)――桜井誠「在日による差別を振りかざしての特権要求を在特会は断じて許しません」

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差別はネットの娯楽なのか(4)――桜井誠「在日による差別を振りかざしての特権要求を在特会は断じて許しません」

ネットでよく耳にする「在日特権」。これは本当に存在するものなのだろうか。桜井誠こと高田誠氏が会長を務める「在日特権を許さない市民の会(在特会)」と云う団体まであるわけだが、そもそもその特権は存在するのか。

また、私に「在日特権」の存在について問う人も多い。「そんなものはない」というたびに、反発を受けるし面倒だ。はっきり言って、この「在日特権」は多くがデマで、残りは事実誤認だ。にもかかわらず、この「在日特権」と云う言葉が市民権を得てしまったのは何故か。

在特会のトップページにはこう書いてある。

「在日特権とは何か?と問われれば、何より『特別永住資格』が挙げられます。これは1991年に施行された『入管特例法』を根拠に、旧日本国民であった韓国人や朝鮮人などを対象に与えられた特権です」

そもそも、特別在留(永住)資格は、1965年の日韓法的地位協定で25年をめどに協議するという話があり、1991年に現行法となった。
植民地支配をした日本政府は、朝鮮人を日本人にした。そして戦後、日本国籍を奪い、ただの外国人にしてしまった。日本政府は在日コリアンに対し、二度も国籍を奪ったということになる。それらの人々に与えられたのが特別永住資格であり、それを「特権」だとして批判するのは間違っている。

特別永住者は在日外国人のうち、1991年から20年を経て減少し昨年の時点で2割を切った。帰化の増加や少子高齢化が要因だ。そもそも、誰もがうらやむほどの「特権」があるとすれば、帰化をする人が増えているのは何故だろう。「在日特権」と云う言葉に踊らされる人は、まずこういった矛盾に気づいて欲しい。

在日であることの悩み

私はこれまで在日と云うことに関して、進学、就職、結婚、出産、恋愛、旅行、旅券、住居、教育、そのほかいろいろなことで悩み、また、相談を受けた。

本当に多数の「在日特権」があるなら、そんな悩みを持ったり、相談をしてくる在日なんかいなくなるはずだ。

また、通称名も特権だという人もいるが、帰化の話と同様、民族名で生きていける社会がまず先にあるべきだと思う。ちなみに、件の在特会の会長は在日コリアンの通称名を否定しながら、偽名を使っている。

「在日は韓国籍でありながら凶悪犯罪をしても祖国に強制送還されません。当然、他の外国人は祖国へ強制送還です。これを在日特権と言わずして何というのですか?」と云う質問を受けたことがある。
私は、居住地の法で裁かれるのだから問題はないと答えた。先日も沖縄で在日米軍による事件が立て続けに起こっていたが、在日米軍は日本国内で罪を犯しても裁かれにくい。これこそが在日特権だと思うのだが、皆さんはどう思いますか。

在日コリアンと友達になると、もれなくその在日コリアン各自が思う日本一の焼き肉&ホルモンが味わえるだろう。知り合いの在日の店でマッコリがいっぱいサービスされたりすることもある。もしも在日に特権があるとすれば、それぐらいの他愛もないものだ。

「在日特権」があるかないかは「悪魔の証明」のように「ある」ことは証明できても、「ない」ことを証明するのはひどく難しい。
あると思っている人は「在日特権」という四文字が持つ言葉の強さに惑わされてしまっているのではないか、とも思う。

差別をしたい人間は、悲しいことに存在する。
もちろん、多くの人は「差別は、卑怯で愚かなこと」だということを知っている。
しかし、それを知りながら差別をしたいという気持ちに勝てない人がいる。

差別することは快感に近いとも聞いた。
それをするための言い訳としてありもしない物――「在日特権」が作り出されているのだろうか。

だとすれば「在日特権」もまた、ネットの中の差別が作り出した「娯楽」の一部なのだと思う。

(李信恵)

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