アニメーションが数分で制作できるAI動画生成プラットフォーム「Animon.ai」誕生で日本のアニメ業界はどう変わる?
株式会社アニモンドリームファクトリーは、世界初となる日本発のアニメ制作に特化したAI動画生成プラットフォーム「Animon.ai(アニモン・エーアイ)」を、4月25日に日本国内の一般ユーザーに向けサービスの提供を開始しました。
アニメーションを作ることに特化した生成AIとはどのようにして誕生したのか。
そしてこのanimon.aiで、日本のアニメ業界はどのように進化してゆくのかについて、CreateAI Holdings Inc. CEOで、アニモンドリームファクトリーの代表取締役を務めるCheng Lu(チェン・ルー)氏、同社 プロダクションディレクターの丸山裕二氏にお話を伺いました。
アニメーションに特化した生成AIプラットフォーム「Animon.ai」
「Animon.ai」は、日本国内で設計・開発されたプロフェッショナル向けの、アニメ動画生成プラットフォーム。

CreateAIのグローバルAIチームとの技術連携、日本を代表するアニメプロデューサー陣との共創により、開発初期から「日本アニメの魂」と「世界最先端のAI技術」を融合。
アニメ・マンガ(コミック)・ゲーム分野に求められる高度な映像品質・演出力を、誰でも手軽に実現することができる動画生成機能を搭載しています。

「アニモンドリームファクトリーは、熊本県熊本市に本社を置き、東京にスタジオを構えるアニメーション制作・AI映像制作のリーディングカンパニーです。アニメプロジェクトは現在複数のプロジェクトを進行しています。」
と説明してくれたチェン・ルー氏。
その同社が今年4月25日に発表したのがanimon.aiです。
「アニメに特化した生成AIである『animon.ai』を4月に発表したのですが、当然ですがまだまだ完成したとは言えません。日本のアニメの知識がさらに必要となりますので、そういったものをさらに取り込んでいき、品質を上げていきたいと思っています。」
と、さらなるクオリティアップのため、これからもAIの学習を継続して行っていくと話してくれました。
animon.aiを立ち上げるに至ったきっかけについて伺うと、
「まず、市場の規模が20兆円以上となっており、動画配信プラットフォームなどを含めると非常に大きいということ、そして世界中に1000億人以上と、とても多くのファンがいる業界だという点がきっかけですね。我々としては、テレビで放送されるようなアニメではなく、プラットフォーム配信・ゲームなどの分野を狙っております。」
と、アニメ市場の可能性や規模などをしっかり把握したうえで、サービスを立ち上げたのだと説明しました。
日本のアニメ業界やクリエイターを心からリスペクトしているというチェン・ルー氏ですが、これまでの日本のアニメ業界では、制作に非常に時間がかかっており、クリエイターへも大きな負担があると実情を話します。

「アニメ業界というのは非常に過酷な環境です。スクリプトを作ったり、ストーリーを考えたり、絵を描いたりと分業化が進んでいますが、その中でも絵を描くことが一番大変な工程。日本では絵を描く人が少なくなってきているので、そこで私たちが何か助けになれるのではないか、という想いがあったんです。」
さらに、日本で放映されているアニメ作品は、ほとんどが2〜3年前から制作が進められてきたものだと説明し、それだけ時間がかかること、そしてすぐにアニメ制作をしたくともスタジオに「手が足りない」と断られてしまうことが当たり前の状況であることも教えてくれました。
30分のアニメを制作するのにかかる時間は大体1ヶ月程度とも言われており、何クールも放送する長編アニメ作品は、その分だけ準備・制作に時間がかかり、クリエイターたちにとっても大きな負担となってしまうのだそう。

この問題を生成AIを活用することで解消し、アニメ制作の未来をより自由で開かれたものにしたいと丸山氏は語っています。

これまで数十時間かかっていたアニメーション制作。
「アニメ制作の現実を変えたい」という想いから誕生したanimon.aiは、日本のアニメ業界を大きく助ける存在となっていくのかもしれません。
「アニメに特化」して学習させた生成AI
animon.aiと他社の生成AIの違いについて聞くと、

「一般的な生成AIでは、様々な情報が入ってきてしまい、例えば実写画像なども入ってきてしまうため、それがノイズとなってしまいます。非常に時間がかかる情報の集積・学習プロセスですが、annimon.aiはアニメの情報だけを集積し、その部分だけを使うようにしている点が差別化しているポイントです。」
と、特に日本のアニメに特化した学習を行っているのだと語りました。
「弊社は2015年から生成AIの開発を行ってきましたが、そこで独自にチューニングを行ってきました。アニメには独自の法則がありまして、例えば光と影の付け方1つをとってみても、実写(現実の陰影)の理論をアニメに持ってくると、不自然さが生まれてしまうんです。」
アニメ制作において、アニメ以外の余計な情報収集や学習を省くことで、より高精度・高機能な生成AIプラットフォームを目指していると話しました。
一般からプロフェッショナルまで誰もがアニメーションを手軽に制作できる未来
アニメ制作が初めて・未経験の素人から、プロのディレクターやアニメスタジオまで、あらゆるレベルのつくり手に対応する「Animon.ai」
アニメ・マンガ(コミック)・ゲームといったACG作品に登場するキャラクター・イラストなどの関連画像をアップロードし、シチュエーションを説明文として入力するだけで、簡単に高品質なアニメーションができてしまうのだとか。

現在提供中のプランの中で、無料で利用できるものが「フリープラン」
月額料金は無料で、1件までのタスクを実行することが可能。5GBのストレージ容量があり、ダウンロードした動画にはAnimonのロゴが入った透かしが表示されます。
一方「有料プラン」は、月額9.9ドルで利用可能。
50GBまでの容量だけでなく、最大2つの動画生成タスクが行えるほか、ロゴの透かしなども表示されません。
個人クリエイター向けには、動画生成が無制限で利用できるほか、複雑なクレジット・トークンによる追加課金制などは一切なく、月額の固定料金のみで安心して利用可能となっています。

「フリープランはイメージ的にはTikTokのアニメ版のような感覚で使ってもらえるように、気軽に利用したい個人ユーザーも増やしていき、(animon.aiの)さらなる広がりを目指していきたいと考えています。」
と語る丸山氏は、一方で制作プロダクション向けのプロフェッショナルプランも近日公開予定だと教えてくれました。
一般の方は手軽にアニメを作って遊んでみたり、プロの現場では制作のアシストにも活躍することが期待されるanimon.aiは、日本のアニメ業界の救世主的な存在となってくれるかもしれません。
注意点として、原作がある作品のイラストなどを使用してアニメーションを制作する際は、著作権などに十分配慮して個人の裁量で楽しむようにしましょう。
「Animon.ai」:https://www.animon.ai/
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