現行型メルセデス・ベンツ E200の低走行中古車が新車の約半値だけど、それって本当にお買い得なのか?
「総額300万円ちょい」の現行型Eクラスってぶっちゃけどうなんだ?
現行型メルセデス・ベンツ Eクラスの中古車相場が今、どエライお手頃水準になっている。具体的には、走行1万kmから2万km台までのE200アバンギャルドが「新車の半値以下」で、つまり総額310万円ぐらいから狙えてしまうのだ。
しかし世の中というのは必ず光あるところに影があり、安い中古車にも、ほぼ必ず「理由」がある。
新車の約半値となった現行型メルセデス・ベンツ E200の高年式中古車は注目すべき存在なのか? それとも「やめといた方がいい選択肢」なのか? 以下、様々な角度から冷静に検討してみたい。
まずは現行型メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドという車自体について、ごく簡単な紹介をしておこう。
「Eクラス」は、メルセデス・ベンツの中心的存在といえるアッパーミドルサイズのプレミアムサルーン。その第5世代である現行W213型が発売されたのは2016年7月のことだった。
デビュー当初のパワーユニットは、馬力違いとなる2種類の2L直4ガソリンターボと3.5L のV6ガソリンターボ、そして2L直4ディーゼルターボ。今回ピックアップするE200系は、馬力が低い方の2L直4ガソリンターボを搭載するグレードだが、「馬力が低い方」といっても最高出力は184ps。それゆえ、普通にパワフルなエンジンではある。ちなみに、同じ2Lガソリンターボでも「馬力が高い方(211ps)」はE250という車名になる。
そういったエンジンに組み合わされるトランスミッションは全グレードとも9速ATで、E200系およびE250系の足回りには可変ダンピングシステム付きの「アジリティコントロールサスペンション」を採用。そして新しい運転支援システム「ドライブパイロット」が採用された点も、現行型Eクラスのトピックのひとつといえるだろう。
今回の「主役」であるE200系に話を絞ると、そのなかでも最もベーシックな(とはいえ普通に考えれば十分ゴージャスな)グレードが、新車時価格675万円の「E200アバンギャルド」。これは17インチホイール+ノーマルタイヤという組み合わせである。そのひとつ上のグレードに相当するのが新車時価格750万円の「E200アバンギャルド スポーツ」で、こちらは19インチホイール+ランフラットタイヤだ。
で、そのE200アバンギャルドとE200アバンギャルド スポーツの低走行物件が「新車の半値ぐらい」で探せるのだが、それって実際どうなんでしょうか? というのが今回の議題である。
新車の半値だけあって、やっぱりぶっ壊れるのか?
まずは「安い分だけボロいんじゃないか?」という疑問あるいは不安があるはず。これについては、結論としては「そんなこともないのでは?」というのが答えになる。
新車の半値ぐらい、つまり総額300万円台で狙えるE200系は2016年式が中心で、走行距離は1万kmから2万km台、せいぜい3万km台といったところだ。
もちろん、中古車のコンディションというのは使い方によって大きく変わるため、年式や走行距離だけで何かを断じることはできない。しかし普通に考えて、このぐらいの年式および走行距離であれば「そんなにボロくはない場合の方が多い」と推測するのが常識というものである。
それゆえ、「ボロさ」に関してはさほど心配する必要はないはずなのだ。まぁモノにもよるが、たいていは「年式相応」から「意外といい!」の間のどこかに収まると見ていい。
お次に湧いてくる疑問というか不安は「でも、ぶっ壊れるんじゃない?」というものかもしれない。
これもまた中古の機械ゆえ断言はできないのだが、「まぁさほど心配はいらないでしょう」というのが結論になる。
2Lの直4ガソリンターボエンジンは特に壊れやすいということもなく、9速ATのトラブル事例も多くはない模様。そして凝った足回りに関しても、「しょっちゅう壊れる」みたいな話は聞いたことがない。まぁコンピュータ系のエラーが出てしまうケースは時おりあるようだが、そんなのは「大問題」とは言えまい。
つまり「新車時から正規ディーラーできちんと定期点検を受けてきた優良履歴個体」にこだわって探すよう心がければ、「絶対大丈夫!」とは言えずとも「まぁたぶん大丈夫でしょう」とは言えるのが、現行型メルセデス・ベンツ E200系の低走行中古車なのだ。
だが、次にこんな疑念も湧いてくるかもしれない。「初期年式だから安いわけであって、その後のマイナーチェンジでいろいろ大きく変わっちゃったんじゃないの?」と。
これについてはある意味そのとおりで、現行型Eクラスはこれまで2回ほど「変更」されている。
1回目の一部改良は2018年8月で、このときはステアリングホイールのデザインがちょっとカッコよくなり、それまでE200系ではオプション扱いだった本革シートが「標準装備」に変わっている。
上記はある意味「どっちでもいい」とも言えそうな内容だが、2019年3月に行われた二度目の変更はけっこう大きい。2Lの直4ターボだったエンジンが、最高出力はそのままで排気量が1.5Lになり、そこに「BSG」というマイルドハイブリッドシステムがプラスされたのだ。
この1.5Lエンジン+マイルドハイブリッドはなかなかごきげんなパワーユニットなのだが、しかし前期型E200の2L直4ガソリンターボも十分「ごきげん」ではある。それゆえ、中古車相場の大きな違い(BSG搭載モデルは、いちばん安い部類でも総額500万円近くである)から考えれば、前期型の2Lターボも「ぜんぜんオッケー、納得です」と判断するのが妥当であろう。
イチ推しは「素のアバンギャルド」
以上の検討の結果、総額300万円台で狙える現行型メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドおよび同アバンギャルド スポーツには、「特にネガティブなポイントは見当たらない」ということがおおむね判明した。
であるならば、残る疑問は「ならばなぜ、そんなに安いのか?」というものであろう。
これは簡単で、「年数が経過した分だけ普通に値落ちしました」というのがその答えである。
特殊なモデルや希少な車というのは中古車になってもなかなか値落ちしなかったり、なかには「逆に値上がりしました」なんて車種もたまにある。だが、特に希少ではない一般的なモデルは、たとえメルセデス・ベンツであろうとも普通に1年あたり10から15%ずつぐらい値落ちしていくものだ。
そう考えると、現在の現行型E200系の相場すなわち「総額300万円台」というのは、下記の簡単な算数で普通に説明できてしまうのである。
【E200アバンギャルドの場合】
2016年式新車総額約700万円 x 0.85 x 0.85 x 0.85 x 0.85=365.4万円
【E200アバンギャルド スポーツの場合】
2016年式新車総額約780万円 x 0.85 x 0.85 x 0.85 x 0.85=407.2万円
つまり「ほぼモデルケースどおりに値落ちした」というだけの話なので、「新車時の半値ということは、ボロくてヤバい中古車なのでは?」的に過剰にビビる必要はない――ということである。
E200アバンギャルド スポーツの実勢価格は上記の計算よりいくぶん安いわけだが、これは「売れ筋グレードだったゆえに流通量がやたらと多いから」というのが、理論値より安価になっている理由であろう。
それゆえ特に心配はご無用なのだが、個人的には、19インチホイール+ランフラットタイヤであるアバンギャルド スポーツより、17インチホイール+ノーマルタイヤである素のアバンギャルドの方が乗り心地は断然いいため、「素のアバンギャルド」を推したいとは思っている。
とはいえアバンギャルドスポーツの乗り心地が極度に悪いわけでは決してなく、また「大径ホイールならではのビジュアルの良さ」という部分も無視はできないため、まぁ最終的には人それぞれの好みに応じてお決めになれば良いとは思う。
いずれにせよ、総額300万円台で狙える低走行な現行型メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドおよびアバンギャルド スポーツは、輸入車ならではの「部品代の高さ」と「たまに起こる(かもしれない)マイナートラブル」さえ許容できるのであれば、素晴らしくナイスな選択肢である――というのが、今回の最終的な結論だ。
文/伊達軍曹、写真/メルセデス・ベンツ
「総額300万円ちょい」の現行型Eクラスってぶっちゃけどうなんだ?
現行型メルセデス・ベンツ Eクラスの中古車相場が今、どエライお手頃水準になっている。具体的には、走行1万kmから2万km台までのE200アバンギャルドが「新車の半値以下」で、つまり総額310万円ぐらいから狙えてしまうのだ。
しかし世の中というのは必ず光あるところに影があり、安い中古車にも、ほぼ必ず「理由」がある。
新車の約半値となった現行型メルセデス・ベンツ E200の高年式中古車は注目すべき存在なのか? それとも「やめといた方がいい選択肢」なのか? 以下、様々な角度から冷静に検討してみたい。
まずは現行型メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドという車自体について、ごく簡単な紹介をしておこう。
「Eクラス」は、メルセデス・ベンツの中心的存在といえるアッパーミドルサイズのプレミアムサルーン。その第5世代である現行W213型が発売されたのは2016年7月のことだった。
デビュー当初のパワーユニットは、馬力違いとなる2種類の2L直4ガソリンターボと3.5L のV6ガソリンターボ、そして2L直4ディーゼルターボ。今回ピックアップするE200系は、馬力が低い方の2L直4ガソリンターボを搭載するグレードだが、「馬力が低い方」といっても最高出力は184ps。それゆえ、普通にパワフルなエンジンではある。ちなみに、同じ2Lガソリンターボでも「馬力が高い方(211ps)」はE250という車名になる。
そういったエンジンに組み合わされるトランスミッションは全グレードとも9速ATで、E200系およびE250系の足回りには可変ダンピングシステム付きの「アジリティコントロールサスペンション」を採用。そして新しい運転支援システム「ドライブパイロット」が採用された点も、現行型Eクラスのトピックのひとつといえるだろう。
今回の「主役」であるE200系に話を絞ると、そのなかでも最もベーシックな(とはいえ普通に考えれば十分ゴージャスな)グレードが、新車時価格675万円の「E200アバンギャルド」。これは17インチホイール+ノーマルタイヤという組み合わせである。そのひとつ上のグレードに相当するのが新車時価格750万円の「E200アバンギャルド スポーツ」で、こちらは19インチホイール+ランフラットタイヤだ。
で、そのE200アバンギャルドとE200アバンギャルド スポーツの低走行物件が「新車の半値ぐらい」で探せるのだが、それって実際どうなんでしょうか? というのが今回の議題である。
新車の半値だけあって、やっぱりぶっ壊れるのか?
まずは「安い分だけボロいんじゃないか?」という疑問あるいは不安があるはず。これについては、結論としては「そんなこともないのでは?」というのが答えになる。
新車の半値ぐらい、つまり総額300万円台で狙えるE200系は2016年式が中心で、走行距離は1万kmから2万km台、せいぜい3万km台といったところだ。
もちろん、中古車のコンディションというのは使い方によって大きく変わるため、年式や走行距離だけで何かを断じることはできない。しかし普通に考えて、このぐらいの年式および走行距離であれば「そんなにボロくはない場合の方が多い」と推測するのが常識というものである。
それゆえ、「ボロさ」に関してはさほど心配する必要はないはずなのだ。まぁモノにもよるが、たいていは「年式相応」から「意外といい!」の間のどこかに収まると見ていい。
お次に湧いてくる疑問というか不安は「でも、ぶっ壊れるんじゃない?」というものかもしれない。
これもまた中古の機械ゆえ断言はできないのだが、「まぁさほど心配はいらないでしょう」というのが結論になる。
2Lの直4ガソリンターボエンジンは特に壊れやすいということもなく、9速ATのトラブル事例も多くはない模様。そして凝った足回りに関しても、「しょっちゅう壊れる」みたいな話は聞いたことがない。まぁコンピュータ系のエラーが出てしまうケースは時おりあるようだが、そんなのは「大問題」とは言えまい。
つまり「新車時から正規ディーラーできちんと定期点検を受けてきた優良履歴個体」にこだわって探すよう心がければ、「絶対大丈夫!」とは言えずとも「まぁたぶん大丈夫でしょう」とは言えるのが、現行型メルセデス・ベンツ E200系の低走行中古車なのだ。
だが、次にこんな疑念も湧いてくるかもしれない。「初期年式だから安いわけであって、その後のマイナーチェンジでいろいろ大きく変わっちゃったんじゃないの?」と。
これについてはある意味そのとおりで、現行型Eクラスはこれまで2回ほど「変更」されている。
1回目の一部改良は2018年8月で、このときはステアリングホイールのデザインがちょっとカッコよくなり、それまでE200系ではオプション扱いだった本革シートが「標準装備」に変わっている。
上記はある意味「どっちでもいい」とも言えそうな内容だが、2019年3月に行われた二度目の変更はけっこう大きい。2Lの直4ターボだったエンジンが、最高出力はそのままで排気量が1.5Lになり、そこに「BSG」というマイルドハイブリッドシステムがプラスされたのだ。
この1.5Lエンジン+マイルドハイブリッドはなかなかごきげんなパワーユニットなのだが、しかし前期型E200の2L直4ガソリンターボも十分「ごきげん」ではある。それゆえ、中古車相場の大きな違い(BSG搭載モデルは、いちばん安い部類でも総額500万円近くである)から考えれば、前期型の2Lターボも「ぜんぜんオッケー、納得です」と判断するのが妥当であろう。
イチ推しは「素のアバンギャルド」
以上の検討の結果、総額300万円台で狙える現行型メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドおよび同アバンギャルド スポーツには、「特にネガティブなポイントは見当たらない」ということがおおむね判明した。
であるならば、残る疑問は「ならばなぜ、そんなに安いのか?」というものであろう。
これは簡単で、「年数が経過した分だけ普通に値落ちしました」というのがその答えである。
特殊なモデルや希少な車というのは中古車になってもなかなか値落ちしなかったり、なかには「逆に値上がりしました」なんて車種もたまにある。だが、特に希少ではない一般的なモデルは、たとえメルセデス・ベンツであろうとも普通に1年あたり10から15%ずつぐらい値落ちしていくものだ。
そう考えると、現在の現行型E200系の相場すなわち「総額300万円台」というのは、下記の簡単な算数で普通に説明できてしまうのである。
【E200アバンギャルドの場合】
2016年式新車総額約700万円 x 0.85 x 0.85 x 0.85 x 0.85=365.4万円
【E200アバンギャルド スポーツの場合】
2016年式新車総額約780万円 x 0.85 x 0.85 x 0.85 x 0.85=407.2万円
つまり「ほぼモデルケースどおりに値落ちした」というだけの話なので、「新車時の半値ということは、ボロくてヤバい中古車なのでは?」的に過剰にビビる必要はない――ということである。
E200アバンギャルド スポーツの実勢価格は上記の計算よりいくぶん安いわけだが、これは「売れ筋グレードだったゆえに流通量がやたらと多いから」というのが、理論値より安価になっている理由であろう。
それゆえ特に心配はご無用なのだが、個人的には、19インチホイール+ランフラットタイヤであるアバンギャルド スポーツより、17インチホイール+ノーマルタイヤである素のアバンギャルドの方が乗り心地は断然いいため、「素のアバンギャルド」を推したいとは思っている。
とはいえアバンギャルドスポーツの乗り心地が極度に悪いわけでは決してなく、また「大径ホイールならではのビジュアルの良さ」という部分も無視はできないため、まぁ最終的には人それぞれの好みに応じてお決めになれば良いとは思う。
いずれにせよ、総額300万円台で狙える低走行な現行型メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドおよびアバンギャルド スポーツは、輸入車ならではの「部品代の高さ」と「たまに起こる(かもしれない)マイナートラブル」さえ許容できるのであれば、素晴らしくナイスな選択肢である――というのが、今回の最終的な結論だ。
文/伊達軍曹、写真/メルセデス・ベンツ
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