なぜ日本人は交渉ベタなのか?

 私たちは、「日本人」にどのようなイメージを持っているだろうか。
 逆境にも我慢強い、他人と強調し合える、優れたモノ作りの技術を持っている・・・良い面もあれば、もちろん悪い面もある。
 例えば、交渉下手。旅行先で買い物をするときに外国人の店員相手にうまく値切れなかったという経験をしたことがあるという人も多いのではないだろうか。国と国との交渉でも、他国との諸問題がうまくいかないのは、日本政府の交渉力にも原因があるだろう。

 『日本人はなぜ足元を見られるのか?』(杉江弘/著、 アスキー・メディアワークス/刊)では、いくつかの例をあげて、なぜ日本人は交渉力が低いのかという問題を、日本人のルーツや民族の歴史などの視点から元パイロットである杉江弘氏が見つめ直す。

 沖縄、北方領土、尖閣諸島、竹島といった領土問題で、なぜアメリカ、ロシア、中国、韓国といった国々が日本に対して強気で出てくるのか。それは日本が軽く見られているからだ。
 では、どうしたら外国との交渉をうまくやれるのだろう。
 まず「こちらから譲るからそちらも譲れ」という日本流をやめるべきだという。それでは、なんとかまとめるには成功するが、要求水準はかなり低いところでの合意となる。もう1つは、獲得すべき目標を決め、その実現のための交渉を行う時は要求を高くすること。つまり、実現値プラスαをもって挑むことが重要ということだ。

 日本人は要求を「ふっかけて」いくことに躊躇する傾向がある。それは、徳育教育によってウソをついてはいけないとする「善意」が背後にあるからだ。
 しかし、多くの外国では、ウソに対する罪の意識が低く、また、要求を高くふっかけてくることもよくある。だから、外国人と交渉する際は、要求を高くつりあげてから始めることが交渉のグローバルスタンダードと言えると杉江氏は語る。

 控えめで、協調性があるというのは、日本人の良いところでもあり、場合によっては弱点にもなり得る。杉江氏が本書で言うように「したたかさ」を身に付けることができれば、足元を見られずにすむだろう。
(新刊JP編集部)



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