【話題】現役高校生が香川県ゲーム条例訴訟で数百万円集める / 議員の立法不作為責任を求める国家賠償請求訴訟「憲法違反確認も」
香川県在住の現役高校生が、香川県ゲーム条例が憲法違反であることを確認しつつ、議員の立法不作為責任を求め、国家賠償請求訴訟を2020年9月に起こすことが判明した。そのために資金調達をクラウドファンディングで開始し、すでに現時点で約360万円を集め、支援者は1000人以上に達している。
そして彼は「香川県で施行された香川県ネット・ゲーム依存症対策条例に対して訴訟を起こす香川県の現役高校生です! 自由を取り戻すために頑張ります」と語っている。
・議員の立法不作為責任を求める国家賠償請求訴訟
彼の目的は「香川県ゲーム条例が憲法違反であることの確認」と「議員の立法不作為責任を求める国家賠償請求訴訟」で、クラウドファンディングで集まったお金は弁護士報酬や調査費用や実費用などに使用するという。
・ゲーム依存症対策として可決成立した条例
彼だけでなく多くの人たちが懸念している「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」。ゲーム依存症対策として可決成立した条例だが、その内容が「容認できるものではない」と感じている人が多く、例えば以下の点だけでも同意できない人が多くいる。
<香川県ネット ゲーム依存症対策条例の一部要約>
1. 18歳未満を対象
2. 平日のゲーム利用時間は1日60分まで
3. 休日のゲーム利用時間は1日90分まで
4. スマホ利用時間は中学生以下は21時まで
5. スマホ利用時間は中学生以上は22時まで
・公権力が「ゲーム利用」に介入してよいのか
確かにゲーム依存症は世界的規模で問題視されている事かもしれない。しかし、だからといって公権力が「ゲーム利用」に介入してよいのか。その点に強い疑問を感じている人は多く、現役高校生である彼が訴訟に踏み切ったわけだ。以下は、彼が訴訟に際して公開したコメントである。今回の論点も公開されているので、それも掲載する。
・今回の訴訟に関する公式コメント(一部引用)
「こんにちは、こんばんは僕は香川県の条例の、ネット・ゲーム依存性対策に反対の立場で活動し、595通の反対署名を提出した地元の現役高校生の渉です。2020年3月に香川県での「ネット・ゲーム依存症対策条例」が成立しました。条例制定の動きを知って僕は、時間の策定に使われた、資料は不適切という部分と公権力が家庭内に踏み込むべきではないという、理由で反対し署名活動を行いましたが、その声は香川県議会に届きませんでした。しかし、本条例およびその制定過程についてはいくつかの問題点が指摘されています。今回僕は香川県を相手取り今年の9月をめどに、香川県ゲーム条例が憲法違反であることの確認をし、議員の立法不作為責任を求める国家賠償請求訴訟を行う事になりました」
・今回の論点(引用)
1. パブリックコメントが不透明
同一の誤字脱字があり、それが同じ時間帯に送られている。同一人物が県庁のご意見BOXを使い送ったと見られる。それを指摘したが、個人情報が記載されているにも関わらず、その人が実際に実在するのか確認を取らない事が問題である。パブリックの送信先に案内されていない香川県のホームページに掲載されているご意見BOXの意見を取り入れていて問題である。
2. 制定過程が不適切
時間の策定には香川県の学習状況調査と国立久里浜病院の資料が使われたが、県の学習状況調査は高校生が調査対象に含まれておらず、その資料を使う事は問題である。条例を作るに当たっては、検討委員会の中でどのような議論が行われたのかを明確にする必要があるが、香川県議会は慣例といい検討委員会の議事録を取っていないことが問題である。
3. 違憲の可能性がある
憲法13条の自己決定権を侵害している可能性が大いにある事が問題である。※香川県弁護士連盟が違憲の可能性ありと指摘済み。上記3点の事が結び付き訴訟に至った次第であります。ゲーム条例を制定することに、科学的根拠は存在するか。
例えば、世界保健機関による「ゲーム障害オンラインQ&A」には,「ゲームに参加するすべての人々は,ゲーム障害を発症することに心配する必要がありますか?」との質問に対して,「研究によれば,ゲーム障害は,デジタルゲームやビデオゲームの活動に携わる人のほんの一部にしか影響しません。」と記載されている。
その意味で,仮に本件条例の立法目的に正当性が認められたとしても本件条例は目的と手段との実質的関連性が認められないことは明白である。またそれは,仮に,本件条例の立法目的に正当性が認められたとしても,本件条例が,原告らの基本的人権を必要以上に制限していることは明白である。
また,政府は本件条例が問題とされた令和2年の国会の審議の答弁において,「「コンピュータゲームの利用」の「時間的な制限」に関する有効性及び科学的根拠は承知していない。」と答えている。それからも明らかなように,本件条例の規制内容に基づけば(本件条例の規制内容を実施すれば),子どもにネット・ゲーム依存症が発症しない,逆に本件条例の規制内容に基づかなければ(本件条例の規制内容を実施しなければ,子どもにネット・ゲーム依存症が発症する,という科学的根拠は存在しないのである。
その意味で,本件条例は,仮に,本件条例の立法目的に何らかの意味で正当性が認められたとしても,目的と手段との間に合理的関連性が認められないことは明白である。またそれは,仮に,本件条例の立法目的に正当性が認められたとしても,本件条例が,原告らの基本的人権を必要以上に制限している。それらの点において、ゲーム条例は親や子の基本的人権を侵害するものであり、憲法に違反していることを主張する訴訟である(引用ここまで)
・多くの人たちが納得できない公権力の介入
可決成立後も物議を醸し続けている「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」。その背後にあるさまざまな謎。そしてなにより、多くの人たちが納得できない公権力の介入。人々の営みは理屈やデータだけでなく、さまざまな視点から考えるべきであり、一辺倒にくくることはできない。
・支援者の数が条例のおかしさを物語っている
今回の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が多くの人たちに受け入れられていない点を考え、改めて正しいものだったのか半版してほしいものだ。今回の現役高校生に対する支援者の数が、条例のおかしさを物語っているともいえるだろう。
あなたは「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」に関してどのように感じているだろうか。
もっと詳しく読む: 現役高校生が香川県ゲーム条例訴訟で数百万円集める / 議員の立法不作為責任を求める国家賠償請求訴訟「憲法違反確認も」(バズプラス Buzz Plus) https://buzz-plus.com/article/2020/06/23/kagawa-net-game-addiction-measures-ordinance/
冒頭画像: GoodMorning
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