職場や家庭のわだかまり それは“ねぎらい”不足ではありませんか?

 仕事を辞めてしまう大きな原因の一つが「職場の人間関係の悩み」です。「あの人が自分を認めてくれない」「上司に嫌われているんじゃないか」。そういった悩みが、仕事に対するモチベーションを落としてしまうことにつながっていきます。また、これは家庭や学校といった他の場所でも通じる話でもあります。
 しかし、そう簡単に解決できないと思いがちな「人間関係の悩み」ですが、そうした状況を改善する方法は本当にないのでしょうか?

 『職場も家庭もうまくいく「ねぎらい」の魔法』(兼重日奈子/著、角川学芸出版/刊)は、“ねぎらい伝道師”の兼重さんが、仕事や家庭などの場で展開する7つの実話をもとにしたエピソードを通して、「ねぎらい」の重要性を解説する一冊。
 ここでは本書の中から、職場や家庭などが劇的に好転した「ねぎらい」の方法を3つ、ご紹介します。

■行動をねぎらう
  「人をねぎらうのはなかなか難しい」と思ってはいないでしょうか。そんなとき、兼重さんは「まずは、やってくれたことに対し、感謝の気持ちを向けてみませんか?」とアドバイスしているといいます。
 「やって当たり前」「一見無駄」のような行動は、なかなか感謝が向けられないもの。しかし、本人が考えた上で起こしてくれた行動であるならば、「いつもありがとう」「がんばっているの、知ってるよ。ちゃんと見てるよ」とねぎらうことで、その人は報われるはずです。
 ちなみに本書では、板挟みになりがちなマネージャーのエピソードがつづられていますが、普段褒められにくく、そして責任ばかりを押し付けられる中堅クラスほど、「ねぎらい」の言葉が必要なのかも知れません。

■感情をねぎらう
 「この気持ちを誰かにわかってほしい」「誰も自分の気持ちなんかわかってくれない」、そんなことを誰しも一度は思ったことがあるでしょう。
 こうしたネガティブな感情に効果があるのも「ねぎらい」です。感情をねぎらう上で最も大切なことは「共感力」だと兼重さんはいいます。「共感力」とは、相手の気持ちや感情に寄り添い、「もし相手が自分の立場だったら?」ということを想像する力のこと。「自分が相手の立場だったら、どんな言葉をかけて欲しいか?」を想像するのです。
 落ち込んでいる相手やすっかりやる気を失っている相手に対して、事情も分からないまま「何、甘えているんだ!」となど言っても、相手は「自分の気持ちを否定された」としか受け取らないでしょう。まずは相手を理解する姿勢を見せること。「それはしんどかったな…」「苦しいだろうな」と寄り添うことが大切です。

■ありのままをねぎらう
 誰もが「自分らしくありたい」と願います。しかし、なかなかそうはいかないのが社会。自分らしく、やりたいことばかりできている人は一握りで、多くの人は、どこかで自分を殺して、そこで求められる「役割」を全うしようとしているはずです。
 自分らしくふるまえない環境の中では、自分らしい夢も語ることはできません。
 そういった状況に陥らないために、仲間たちの「ありのまま」を否定してはいけません。「出会ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝え、今、目の前の相手がその人らしく輝くことを心から応援するのです。そうすれば、あなたの周囲は、みんなで成長していける素晴らしい仲間たちに溢れるはずです。

 いかがでしょうか。注意して欲しいことは、「褒め」と「ねぎらい」は違うものだということ。
 兼重さんは「褒めは条件付きの行為、ねぎらいは無条件の行為」と言います。だから、もし条件がクリアできなくても、ねぎらいの言葉はかけてあげられるはずです。
 ちょっとの一言や、他人を思いやる気持ちが、相手の心にひびく。それは、年齢や立場、場所などを越えて万人に共通することであるはず。もし、周囲に「最近元気ないな」と思う人がいたら、ねぎらいの言葉をかけてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)



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