コペンハーゲンに行ってきました。

この記事はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

コペンハーゲンに行ってきました。

出張でコペンハーゲンに行ってきました。デンマークの首都です。出張の用向きは脇に置いておいて、デンマークの話がいろいろ面白かったので備忘録がてらにメモっておこうと思います。特に賢いことや鋭いことを書こうというわけじゃなくて、ただデンマークの話。

まず、デンマークはヨーロッパでもかなり北、スカンジナビアに入ります。コペンハーゲンからスウェーデンのマルメまでは橋がかかってて、車で45分くらいで行けちゃうんですね。デンマーク側の方が付加価値税25%、物価も若干高いらしく、マルメに買い物に行ったり、マルメに住んじゃったりしてる人もいるそうで。

デンマークの人口は550万人くらい、在留邦人は1500人くらい。デンマークという国はクリスチャン4世という王様が建国した国で、基本的に商人の都市国家の性格が強いみたい。現在でも世界最大の海運会社・マースク(Mærsk)の本拠はコペンハーゲン。そういえばこの「Mærsk」って「MAERSK」っていうロゴの入ったコンテナの会社だよね。よく見かけるけど、あれってコペンハーゲンの会社だったのです。

コペンハーゲン、古い町並みが美しいのですが、それにはいくつか理由があるようでした。

まず、第二次世界大戦であまり焼けてない。ドイツに侵攻されたとき、数時間で降伏したそうです。勝ち目がないので無駄な戦いを避け、ドイツ占領下で戦時経済を生きることを即座に判断したそうな。いかにも商人らしい発想です。なので、古い建築の保存がよい。そして、国が古い建築の保全を行っている。新しいビルを建てるのはともかく、古い建物は潰させない。リノーベションして別の用途に使わせる。そしてそれがすごいいい感じなんですよね。元港湾倉庫の会議場とか、基本構造は木造なんだけど、現代の建築にはない贅沢な材料を使っていて、洒落てるんです。

聞けば、古い建築を維持するのに、固定資産税の減免、歴史的建造物管理費の徴収、リノーベションが必要になったときの補助金など数々の制度があるらしい。

そして、古い建築でも天井が高くて窓が大きい。日光が貴重なほど緯度が高いので、昔から窓を大きく造ってたんですと。地震もないので、そういう設計でも大丈夫です、とのこと。で、その窓から部屋の中が丸見えの家が多いんですが、窓辺に趣味良く観葉植物やランプシェードが置いてあって、白熱灯の暖かい光が外に漏れてくる。なんだか余裕を感じる。

街を歩いていると、道路よりも低い位置、半地下に部屋がある建物が多いので、なんでこんな建築なのか聞いたんですよね。で、説明によると、コペンハーゲンの街は厚い砂の層の上にあって、ほとんどの建物は基礎の柱が岩盤までは達してない。なので、建物が数百年をかけて砂地にゆっくり沈んでしまってるんだって。少し沈むごとに建物全体が平準になるように手を入れるので、特に問題はないそうです。

国民性。商人の魂が息づいているらしい。デンマーク人は就職してからリタイアするまで、平均して6回くらい転職するらしいですけど、転職は普通のことで、転職が多いのは望ましくない、という偏見もなければ、「キャリアアップだ」というガツガツしたところもない、だそうです。なんでもうまい仕組みを作るのが上手で、長時間労働しているわけでもなければ、ギリギリと根を詰めて働いている風でもないのに、なんとなく仕事が上手く回るように整えられていることが多い、と、コペンハーゲン在住の日本人が言ってました。

空港やホテルや仕事上で出会ったデンマーク人ですが、なんというか、さらっとした印象。満面の笑顔で精一杯暖かくお出迎え、という感じでもなく、といって無愛想でもなく、もちろん隙あらばカモにしてやろうというようなアグレッシブさがあるわけでもなく。個人的にはとても気持ちのいい人たちだと感じましたよ。特にアフリカくんだりから来ると、「洗練」を感じました。

先進国のご多分に漏れず、少子高齢化の波には見舞われているらしいんですけど、合計特殊出生率は1.8くらい。1.3とか言ってる日本に比べるとかなり高い。人口550万人と小回りの効くサイズで、しかも「うまい仕組み」を作ることに長けているいるので、年金制度とかもあんまり深刻なことにはなっていないそうな。付加価値税が25%と非常に高いのも、その税収がどう使われているのか国民に見えるサイズの国なので、それでも国民が納得するんでしょうね。

私が滞在した間は寒気の流入が止まっているとかで、一番寒くても気温マイナス2℃くらいだったんですけど、北極方面から寒気が流入すると4時間で15℃下がって一気に氷点下10℃以下になる、というようなことも割と普通に起こるそうで、デンマークの子どもたちは幼い頃から寒くても外で過ごして寒さへの対応を身につける、なんていう話も聞きましたよ。

東京に比べると随分小さな街で、エキサイティングさには欠けると思いますけど、それなりに楽しく暮らせそうな街だ、そんな風に思いましたとさ。

執筆: この記事はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

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