出稼ぎと仕送り

出稼ぎと仕送り

今回は疑似科学ニュースのメカAGさんの記事からご寄稿いただきました。

出稼ぎと仕送り

以前、高齢者の年金のことを書いた時はてブに「出稼ぎ」と「仕送り」はもはや死語か?みたいなコメントがついていた。出稼ぎというのは農閑期に現金を稼ぐために都市部に出てくる労働者。仕送りというのは彼らが実家に送る生活費。

いまでは「仕送り」は都会に出てきた学生の生活費を実家が送る意味の方が、すっかり主流になってしまった気がする。俺が子供の頃は結構「出稼ぎ労働者」と言う言葉をニュースとかで聞いたように思う。

しかしいつしか耳にする機会は減っていった。仕送りも学生への仕送りという使われ方ばかりになった。俺の親の世代はこの用法にかなり違和感があったように思う。記憶をたどると「まぁ、親が子供に仕送り!?逆じゃないの!」とか言ってたような。1980年代頃だろうか。

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出稼ぎについての資料があまりないのだけれど、たとえばこのグラフだと

  労務安全情報センター[ブログ] 出稼ぎ労働者38年間の推移(55万人→1.5万人に)
  http://laborstandard.blog82.fc2.com/blog-entry-306.html

1972年(昭和47年)をピークに1980年代を通して急速に減少している。

  Vol.35 「三ちゃん農業」広まる 高度成長支えた居残り家族 昭和38年(1/2)- 昭和史再訪セレクション – 地球発 – [どらく]
  http://doraku.asahi.com/earth/showashi/110308.html

でも1963年に出稼ぎ労働者は30万人とある。どうも1960年代~1970年代にかけて急激に増え同時に急激に減っていったようだ。ちょうど高度成長期。おそらくそれまで農家の人たちは自給自足に近い状態でそれなりに安定して暮らしていたのが、高度経済成長で日本の平均とされる生活水準が上がってしまい、相対的に農家の人たちは現金収入が不足するようになったのだろう。

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1963年(東京オリンピックの前年)に仮に20歳で現役の労働者だったとすると、現在69歳だ。いわゆる「得をしている」と言われている高齢者。以前も述べたけれど年金は現在の若者ほどは納めていなかったかもしれないが、彼らの親も現在ほど年金を支給されていなかった。だから彼らの世代は直接親に自分の稼ぎの中から仕送りをしていた。

1970年代に出稼ぎ労働者が一貫して減って行ったのは、社会保障制度を充実させたからだろう(農業に従事する人口が減ったというのもあるが)。

  第3-3-4図 「1年間の受益と負担」の推移
  http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je01/wp-je01-3-3-04z.html

なんどもいうけれど、年金の部分だけ見て、どの世代が得をしてるとか損をしているってのは、馬鹿らしいと思うけどね。

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大学進学率が上がった分だけ考えても授業料とか生活費とか、今の若者はむかしよりも金をもらってるはずなんだけどね。むかしなら高校卒業後働いている年齢でも、親からの仕送りで大学生活をしているわけで。

でもそれを「俺たちの世代は得をしている」とは考えないんだよね、まあそういうものだ(苦笑)。親が子供を育てるのは当然。そして子供が親の面倒を見るのも当然。なのになぜか最近は子供が親の面倒を見るのは不公平だと考える人たちがいる。

あんまり「育ててもらった恩」とか言いたくはないが、親が子供を育て、子は親の面倒をみるって、むかしからの流れだよねぇ。それをなんで今さら否定しようっての?

執筆: この記事は今回は疑似科学ニュースのメカAGさんの記事からご寄稿いただきました。

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