年末年始に頻発注意!肝性脳症の人に起きた10のこと
どうもどうも、ライターの丸野裕行です。
大好評(?)の誰も知らない病の数々! 今回は、記憶もなく引き起ってしまう“肝性脳症”の恐ろしさについて記してみたいと思います。お酒を飲んだり暴食しがちなこのシーズンに頻発するらしいので注意が必要ですね。
無事な一年にするためにも、肝性脳症の怖さについて、確認していきましょう。
原因は様々だが、アンモニアが脳に混乱をきたす
肝性脳症の原因はいろいろとありますが、全身の有害物質のひとつであるアンモニアと、体内にあるアミノ酸のバランス異常が原因とまでいわれています。
多くの原因は、アンモニアなどの物質が脳にたまることです。
これはお酒の飲み過ぎで、肝硬変が急に進行したり、劇症肝炎を起こしたときに現れる、意識障害などの精神神経症状をいいます。
当の本人からすると、発症時のことを振り返っても何も覚えてはおらず記憶がない状態。
肝臓の機能が著しく低下すると、体の毒素であるアンモニアが肝臓で解毒されずに、血中に流れ出して、血液のアンモニア濃度が急上昇します。その毒素が、脳にまで達してしまって、脳症を発症してしまうんですね。
さらにアミノ酸のバランスまで崩れるのも危険
アミノ酸というものも私たちの体にとって、必要不可欠なもの。皮膚や血管、内臓、筋肉などを作るたんぱく質を構成する物質のことです。
密接な関係にあるアミノ酸と肝臓も、肝臓の機能低下で、血中のアミノ酸バランスが崩れます。こちらも崩れたアミノ酸バランスが、脳に悪影響を及ぼして、肝性脳症を発症することがあるんです。
肝性脳症で起こること~第Iフェーズ~ 頭がボ~ッとしている
《症状》
・睡眠リズムの昼夜が逆転
……深夜に眠れずに、朝起きてから眠くなるようなバランス感覚になる
・状況を理解できない幸福感
……自分が現実世界にいないような感覚になって、幸せを感じてしまう
・どんどんと生活がだらしなくなってくる
……「誰に見られてもいい」と、羞恥心や自戒する感情がなくなってくる、だらしない生活になってくる
肝性脳症で起こること~第IIフェーズ~ 自分のいる場所がわかっていない
《症状》
・時間や自分がいる場所がわからなくなる
……記憶が吹き飛んで、自分が待ち合わせている場所や時間、相手などもわからなくなってくる
・物を取り違える
……自分はパンツだと思っているのだが、シャツを無理やり着ようとしたりする
・異常行動
……お金をゴミ箱に捨てたり、大切な物をすべて捨てるなどのおかしな行動をしてしまう
・常に眠りがちでうとうとする
……目がうつろで、気を抜くと眠ってしまう
肝性脳症で起こること~第IIIフェーズ~ 意識が混濁して救急搬送される
《症状》
・興奮した状態で意識が混濁している
……反抗的態度や反社会的な態度だが、意識の混濁で自分自身がよくわかっていない
・ほとんど昏睡状態
……半分眠っているような状態で目が半開きになっているような昏睡
・外的刺激で反応はあるが、自分がどのような状態なのかわからない
……医師からの声掛けや点滴などの刺激に反応できるが、意識がもうろうとしている状態で眠っている
肝性脳症で起こること~第IVフェーズ~ 意識がまったくなくなる
《症状》
・昏睡(意識消失)
……意識がまったくなくなる
・刺激には一応は反応する
……医師の声掛けなどには反応するが、眠ったままの状態になる
肝性脳症で起こること~第Vフェーズ~ どんなことにも反応しなくなる
《症状》
・深めの昏睡
……数日間眠ったまま意識がなくなるようになる
・刺激にも反応しない
……どんなに声掛けしようとも何の反応もなく、眠り続けたままの状態になる
早めに治療しないと目が覚めることがなくなる
昏睡度合いに沿って、即刻治療をスタートしないと手遅れになってしまうのが、肝性脳症という病です。
肝性脳症肝性脳症の治療には、進行具合により、いろいろな治療法があります。
・栄養療法
過剰摂取したたんぱく質は、肝性脳症発症のリスクが高いので、制限が求められます。さらに、便秘は肝性脳症を引き起こしやすくなるので、下剤などの投与も開始します。
・合成二糖類製剤などの薬品
腸内で発生するアンモニアの吸収を抑えなければいけないので、血中のアンモニアを低下させる薬になります。さらに、アミノ酸のバランスを整えるために、特殊組成アミノ酸製剤なども使用します。さらに、アンモニア発生の原因を除去する難吸収性抗菌薬も有効です。
肝性脳症の早期発見ポイント
肝性脳症の早期発見には、患者の訴えと一緒に住む家族の「あれ、なんかこの人おかしいな……」という情報が重要になります。
肝性脳症の症状が一切なく、一見正常に見える人でも、検査を行ったときに肝性脳症が見つかることがあります。
なんか、最近おかしいな……と思ったあなた、直ちに専門医への受診をオススメします。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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