痛車施工業者に潜入取材! 痛車オーナーと猫が集まるハルヒ自動車

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最近は街中でもチラホラとアニメキャラクターなどのステッカーがボディに貼られた、“痛車”と呼ばれる車を見かけるようになった。アニメ関連のイベントになれば多くの痛車が集まり、痛車の専門雑誌も出版されて、以前に比べ痛車の認知度は上がってきているように思われる。だが疑問に思ったのは、施工をしているのは、いったいどんな業者なのだろうか? ということだ。「痛車できます!」なんて看板や広告は、見たことがない。

そこで、インターネットで筆者が住む大阪周辺の痛車を制作できる業者を検索をしてみることから始めた。いくつかキーワード検索をしていると、なんと筆者の自宅から車で20分もかからない場所に痛車制作をしている業者を発見することができた。“ハルヒ自動車”――これは間違いなくアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を意識したに違いない! しかし住所から地図を確認してみるが“ハルヒ”の文字が見当たらない。おかしい、住所はこのあたりなのに……、もう一度、同じ番地内にある工場地区の社名を確認していく「○○工業、□□株式会社、春日自動車……っ!?」これは春日(カスガ)じゃない! ハルヒだ! 早速メールでアポイントをとり、潜入取材(と自分の見積もり)を行うことにした。

※すべての画像をごらんいただけない方はガジェット通信(https://getnews.jp/archives/233595)からごらんください。

事前に地図で確認はしたが“ハルヒ自動車”の所在地は中小の町工場が集まる工場地区。萌えもサブカルチャーのかけらも全くないこの地区で、いきなりボンネットに可愛い女の子のキャラが描かれたRX-7と猫たちが出迎えてくれた。ほかにも常連さんの車と思える痛車が何台か駐車されている。ハルヒ自動車は、店舗というより町工場の作業場といった感じである。

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ハルヒ自動車を経営しているのは、春日(カスガ)さん(※ハルヒではない)。意外にも(?)さわやかで、とても感じの良い人だと思った。早速、いろいろとお話を伺うことにした。

元々は普通の自動車整備工場だったそうで、最初は趣味のパソコンゲームのグッズなどを作業場に置いていた程度だったそうだが、2~3年ほど前から痛車施工を全面に出すようになったそうだ。作業場内には、大量のキャラクターグッズが並び、奥には抱き枕がたくさんつるされている状態だ。

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ファンにとってはたまらない環境かもしれないが、今まで普通の自動車整備をしていたのに、いきなり痛車やキャラクターグッズだらけになってしまったら、今までのお客さんは戸惑うのではないだろうか? という点が気になる。
春日さんにその疑問をぶつけると意外な返答が返ってきた。現在も自動車整備の仕事は行なっており、痛車施工だけをやっているわけではないので、以前から長い付き合いのあるの大事なお客さんが離れたことはないそうだ。むしろ、自動車整備のお客さん以外に、痛車オーナーという新たな客層が加わり良い状態になったとのこと。もちろん春日さんの人間性もあって、お客さんが離れないということもあるかもしれない。

もう一つ意外だったのは、痛車を施工できる自動車整備工場は“少ない”ということ。痛車を作るための大きなステッカーを印刷する業務用プリンターは、通常であれば看板屋が持っていることが多く、痛車施工業者といえば看板屋が多いそうだ。
確かに、痛車に近い物といえばラッピングカーなどがあるが、ラッピングカーは企業広告なので看板屋さんが施工をする。筆者としては、カスタムカー(改造車)の派生として痛車があるとイメージしていたので、正直言ってかなり意外な事実だった。また、痛車施工した新しいお客さんがそのまま、オイル交換などの通常の自動車整備をハルヒ自動車で行うことが増え、痛車施工だけでなく自動車整備の仕事も増えている状況なのだそうだ。

取材当日に来店していた痛車オーナーのお客さんに話を聞いてみたのだが、驚いたことに遠方から来店している人が多い。ハルヒ自動車の所在地は大阪の南部だが、兵庫県神戸市からの方と三重県からの方がいた。たま週末に(遊びに)来るそうなのだが、どちらもふらっと来られる距離ではない。地元に施工できる業者がいないということもあると思うが、数時間かけてでないと来られない距離だ。多くのお客さんが口コミでハルヒ自動車の事を知り、遠くから来店するのだとか。
やはり痛車オーナー同士のネットワークがあるようで、痛車の施工ができる業者の紹介や、ここに来れば痛車の話ができるというコミュニティが活用されているのだろう。

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春日さんの今後の目標としては、痛車や萌え文化の普及や認知度やイメージの向上を目指したいそうだ。アニメやゲームといったサブカルチャーは、今でこそある程度の認知度があるものの、人によってはやはり良いイメージで見てもらえないこともあるだろう。そんなイメージを少しでも変えていきたいと話していた。実際、三重県から来店していた方は地元の観光協会と強力し、痛車のイベントを行なうなどの活動をされいるそうだ。
筆者としてもこれは共感できる部分が多い。アニメやゲームは個人の好き嫌いがある。もちろんすべての人に好きになれとは言えない。ただ、こういったサブカルチャーのイベントがあれば多くの人が集まり、人が集まれば経済効果も産まれてくるのは事実だ。“萌え”が流行っているからといって、あまり知識や興味がない人がとってつけたようなイベントや企画をするのではなくサブカルチャーが好きな人が、率先してイベントを行い、共感できる仲間を増やすことができれば良いのではないだろうか。
取材当日にも、痛車の前で春日さんと話をしていた際に、たまたま通りがかった近所の年配のご夫婦が痛車を見て春日さんに「可愛い車やねぇ」と話かけていた。もちろん、このキャラが何かということは、理解はしていないと思う(エロゲのキャラ)。それでも批判されることなく「可愛い」と言ってもらえれば、それで良いのではないかと思う。

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また、写真に写っている猫たちは、元はノラ猫だったそうだが春日さんがエサをあげて、今ではハルヒ自動車のペットになっているようだ。痛車のまわりに集まり、くつろいでいる猫がさらに和みを生んでいるようにも思えた。

今回、春日さんや痛車オーナーさんと話をしてみて、こういった方々であれば、企画をされている痛車のイベントなども見にいってみたいと思ったので、痛車はもちろん、アニメやゲームといったサブカルチャー全般のイメージは、最終的には、関わる人たちの人間性で左右されることが多いのではないだろうかと感じた。
今後、痛車のイメージアップやイベントにも期待をしていきたいと思った取材であった。

ハルヒ自動車
住所:大阪府富田林市中野町東1-1-1
http://haruhi-jidousha.sakura.ne.jp/

※この記事はガジェ通ウェブライターの「さきえる」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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