副業が推奨されているけれど、何をすればいいのかわからない【シゴト悩み相談室】

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副業が推奨されているけれど、何をすればいいのかわからない【シゴト悩み相談室】

キャリアの構築過程においては体力的にもメンタル的にもタフな場面が多く、悩みや不安を一人で抱えてしまう人も多いようです。そんな若手ビジネスパーソンのお悩みを、人事歴20年、心理学にも明るい曽和利光さんが、温かくも厳しく受け止めます!今回は、勤務先の副業解禁を受けて「何をすればいいかわからない」と悩む男性のお悩みです。

曽和利光さん

曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)など著書多数。最新刊『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)も好評。

本当は気が進まない副業…どうやって選べばいい?

 

<相談内容>

CASE37:「副業が推奨されている雰囲気があるけれど、何をすればいいかわからないし、そもそもやりたくありません…」(24歳・Webサービス会社勤務)

この春から、勤務先が副業を解禁しました。本業に何らかの形で活かせる副業であれば推奨するとのことです。

私は現在入社3年目でまだ覚えなければならないことも多く、本業だけでいっぱいいっぱい。副業をする余裕なんてないし、解禁されても「やらなきゃいいだけ」と思っていました。しかし、周りで副業をする人が少しずつ増え、「お前は何でやらないの?」という雰囲気が漂い出しています。

いよいよ「自分も副業を持ったほうがいいのかも」と思い始めているのですが、何をやればいいのか見当もつきません。本業の負担にならない範囲で体裁上「なんかやっている」感が出せればいいと思っているのですが…私は何をすればいいのでしょうか?副業の選び方の基準が知りたいです。

なお、仕事はWebサービスの営業なので、周りは知り合いのWeb系企業で業務委託でプログラミングをしたり、サイト制作やデザインに携わったりして、普段の営業に活かそうとする人が多いようです。(営業職)

 

いくら会社から推奨されたとしても、無理にやる必要はない

曽和利光さん

「どんな副業をすればいいのか」という質問ですが、相談者は副業には乗り気でない様子。ならば、無理にやる必要は全くないと思います。

政府が副業推進へと大きく方針転換を行ったことで、大手企業を中心に副業を解禁する企業が増えつつあります。

企業が副業を解禁する理由としては、社員のモチベーションを上げ人材流出を防ぐため、副業で得たスキルを本業でも活かしてもらうため、副業で収入を補ってもらうため、などさまざまありますが、私は個人的に、この副業解禁の流れが「能力開発の阻害要因」になるのではないかと危惧しています。

能力をつけるには、ある程度努力を積み重ね、一定の「閾値」(能力が変化・変動する値の境目)に達することが必要です。

例えば、苦手な数学の勉強を地道に続けていたら、ある日突然難しい問題もすんなり解けるようになったとか、部活で厳しい練習にがむしゃらに取り組んでいたら、ある日急にコツがつかめるようになったなんて経験はありませんか?

これと同じで、仕事でも一つの分野に継続的に取り組み、一定の閾値を超えると、廃れることのない確固たる能力が身につきます。しかし、閾値を超える前に努力を怠ってしまうと、それまで培ってきた能力もどんどん衰えてしまうとされています。

私が危惧するのは、副業解禁により本業以外の仕事に労働時間を分散してしまうことで、閾値を超えるまでに時間がかかり、本業での能力がなかなか身につかない…というリスクです。

ましてや相談者はまだ社会人3年目。まさに今、営業経験を積みスキルを身につけている最中でしょう。ご自身でもおっしゃっているように、無理にやりたくもない副業に時間を割くのではなく、本業に全力投球して早期に閾値を超える努力をすべきだと思います。

 

周りの先行事例を参考に「筋のいい副業」を見つけよう

曽和利光さん

それでも周りの雰囲気に押され、「やっぱり何か副業をやらなければ肩身が狭い」と思うのであれば、周りの「すでに副業に着手している人たち」を参考にしましょう。周りの様子を観察し、本業にいい影響を与えている、メリットを出せていると感じる人の副業をピックアップし、自分も似たような副業に挑戦してみれば間違いは少ないでしょう。

留年してしまった大学生の多くは、就活時に「就活中に情報交換できる友達が少ない」という悩みを抱えるそうですが、その一方で、去年まで一緒に勉強していた社会人1年目の同級生たちから、企業や仕事に関する生の情報を得られるというメリットがあるそうです。

これと同様に相談者は、副業においては留年生のように出遅れているのですから、一足早く副業に着手している同僚たちから「筋のいい副業」と「そうでもない副業」の情報を得ればいいのです。

「この人は副業をうまく本業に活かせているな」と思える事例に出会ったら、何ならその人に「私も一緒に手伝わせてください」とお願いするのも一つの方法だと思います。

 

副業はあくまで、本業の「余力」でやるべき

曽和利光さん

そもそも、いくら副業を解禁したといっても、本業がおろそかになっていては意味がありません。

本業においては100%の力を発揮するべきで、副業をするならばあくまで「余力」でやるべき。「本業には全力投球できている。でもまだもう少し行けるな」と思える人だけが取り組めばいいと思います。

ただ…他にやってみたいことがあるならば別ですが、副業をする余力があるならば、その分を本業へのパワーに回したほうが賢いと思います。

「本業で100%の力を発揮し、副業もしている人」と、「本業だけに120%の力を発揮している人」のどちらが勤務先企業に評価されるかといえば、明らかに後者でしょう。そして、後者のほうが本業で早く昇給・昇格する可能性が高いと思われます。

もちろん、本業に活かせる副業もあるでしょうが、あくまで「副業」である以上、委託される仕事はコア業務ではなくサポート的な業務が多いはず。単価がそれほど高いわけもなく、面白く刺激的な仕事ばかりでもないでしょう。今の勤務先でステップアップを目指したいならば、副業を本業に活かす努力よりも、「社内で自分の単価を上げに行く努力」をするほうが早くて確実だと思います。

そもそも副業は、政府が推進のための整備を始めたばかり。世の中的にはまだまだ実験段階にあり、数年先にどう転ぶかはわかりません。ちなみに今は多くの企業が導入しているリモートワークも、すべての企業で定着しているわけではなく、実験的に導入した結果「うちの会社には合わない」と判断して辞めた企業もあります。

相談者は「まだ覚えなければならないことも多く、本業だけでいっぱいいっぱい」なのですから、無理に実験段階から乗っかる必要はありません。周りの雰囲気に流されることなく、本業に力を注ぎ、営業としてステップアップしてほしいと願っています。

 

アドバイスまとめ

やりたくないなら無理にやる必要はナシ!

どうしてもやらねばならない雰囲気であれば

先行事例から筋のいい副業を見つけそれに乗っかろう。

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

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