カップ麺に牛乳入れまくって、一番うまい“牛乳カップ麺”を決める
かつて、カップ麺好きの間で「日清のカップヌードル シーフードヌードルに沸騰させた牛乳を入れる」という手法が流行したことがありました。
いまでこそ「チョイ足し」「コンビニかけ合わせ」など、既存の商品に何かを足してプラスアルファする手法は当たり前となりましたが、この「シーフードヌードル+牛乳」がもたらしたインパクトは大きなものでした。まさしくかけ合わせ系の先駆けと言えそうです。
そしてこの“ミルクシーフード”、好事家だけのものではなく一般の人にも浸透し、気が付けばメーカーからオフィシャルの製品としてミルク系のシーフードヌードルも登場するようになりました。
そう考えると、最初にシーフードヌードルにホットミルク入れた人はすごい。普通に暮らしていたら、まさかカップラーメンに煮えた牛乳を入れようなんて思わないはず。そこにはきっと、新たな着眼点や試行錯誤があったのではないでしょうか。
……前置きが長くなりましたが、今回は「第二のシーフードヌードル」を探すべく、“新たな着眼点”を探しにいってみようと思います。
この心の旅の同伴は、ガジェ通でもおなじみのB級フード研究家“どん二郎”野島慎一郎。体の7割はインスタントラーメンでできていると推測される頼もしい男です。
想像していた味からどのくらいハネるか
今回は、いくつかあるカップ麺の中から、互いの経験と勘を活かしてターゲットを決める方式をとりました。
最初に野島氏が選んだのは「サッポロ一番 カップスター みそ」。
「まあ、これはね。やっぱり、味噌にバターは鉄板じゃないかな、って」
対して筆者が選んだのは「明星 中華三昧タテ型 四川飯店 担々麺」。確信は無かったものの、担々麺は意外に合う予感がしたのです。果たして……。
牛乳を沸かし、それぞれのカップに注ぎます。慣れずにドボドボ机にこぼす切ない一幕もありましたが、いざ、実食へ。
サッポロ一番 カップスター みそ
「これは美味い! うまい、うまい」予想していたよりハマってます。カップスターならではの“粉末のとがった味噌”だからこそ、牛乳にマッチしている印象。塩気が強い味噌に対してミルクが、まろやかさを見事に補っています。「1+1が2以上の味噌ラーメンに仕上がっている」と高評価です。
明星 中華三昧タテ型 四川飯店 担々麺
吉と出るか凶と出るか、ちょっと賭けに出たチョイスですが、賭けは成功だったようです。中華三昧ならではの良質な担々麺のクリーミーさ、ゴマの風味がちょうどいい。牛乳のおかげか、食べた直後に辛さはあまり感じませんでしたが、後からしっかり辛味が追いかけてきました。
「これは美味い。くやしいけどあり」と野島氏。 意外性が高かった組み合わせです。
ただしノンフライ麺なので、仕上がりはやや硬めとなりました。全般に言えることですが、ホットミルクで作るラーメンは水分の吸収が遅れる傾向にあるようですので、試す場合は長めの調理時間が良さそうです。
2ndチョイスは海鮮
迷いながらも「いけるんじゃないの?」と野島氏が選んだのは「日清カレーメシ シーフード」。ミルクとカレーとシーフード、良いバランスを期待しているようです。
筆者は「日清のとんがらし麺 うま辛海鮮」を選択。辛くて海鮮なら外しようも無いでしょう。
日清カレーメシ シーフード
においはめっちゃ美味い。間違いない。果たして、試食した時の味も想像通りバッチリでした。スパイスバッチリなインドカレーの汁っぽい仕上がりです。
ミルクのおかげで辛さは中和され、カレーメシシーフードの持つ特有のコクがブーストされる印象。相性はかなりいいですね。
ただし、問題はお米。
牛乳だからなのか、芯が残ってて炊き立て白米っぽさが失われてしまっていました。リゾット寄りの食感なのでそう思って食べる分には美味しいんだけど、いささか違和感は残ります。
「カレーメシの持ってる“完成度の高さ”が無くなってしまってもったいない」と野島氏。ただ、味はすごくいいので、このスープに普通のご飯足したら絶対美味しい。惜しい。
日清のとんがらし麺 うま辛海鮮
想像通り美味い! やっぱりいシーフードとミルクの組み合わせは間違いない。野島氏も「無難に美味い。結構好き」。
そう、無難なのです。美味いし贅沢なことを言ってるのは承知ですが、先の表現を借りれば「1+1が2のままで意外性には乏しい」んですね。
ちなみに「とんがらし麺」だけあって、辛さはかなりのもの。ミルクでこれだけ辛いってことは、お湯で作ったら相当辛いはずです。
ミルクシーフードとしてのスープはかなりイケてますので、辛めミルクシーフードとしてはこの組み合わせでしょう。
いよいよ盛り上がってきたところですが、用意したネタと牛乳の量的に次のチョイスでラストです。我々の胃袋がタプタプだというのもありますが。
中華三昧 酸辣湯麺(スーラータンメン)
筆者が選んだのはこちら。「いやいや、これは……酸味とは難しいんじゃないかなあ」という野島氏の不安は言わずともわかる。ただ、そういった先入観が、発見を妨げて来たのではないか。踏み込んでこそ、見える景色があるはずじゃないか。
そんな誇らしさにも似た感情で、熱々のフタをはがし、新境地へと踏み出す筆者。まず、香りを確かめてみます。酸味、強いな。
不安を抱えながら、試食してみると、明らかにミルクと酸味ベースのスープがケンカしている。仲良くしろよ……。
ノンフライ麺に絡むスープは、分離した味わいで互いが背を向け合ったまま。もともと持っていたスーラータンメンの良さすら破壊している。
それでもその先に新たな和解が待っているのではないかな? と食べ進めてみるものの、酸味とミルキーな風味は相いれることがなく、平行線のまま試食は終了。「ずっとバラバラでしたね……」野島氏の推測は正しく、僕のあの自信は一体どこから出てきたんだと問い詰めたくなる、酸味にも似た感情だけが残りました。
蒙古タンメン中本 北極ブラック 黒い激辛味噌
初回の「サッポロ一番 みそ」の成功体験、味噌との相性を期待して野島氏が選んだのはこちら。それでも「焦がしにんにく」「黒い激辛味噌」の文字が躍るパッケージを見る限り、そこそこリスクある賭けと言えそうです。
封を切ると意外にニンニク臭は少なめ。牛乳との調和はいかに。
熱い牛乳を注ぎ、仕上がった北極ブラックからはそこそこのニンニク臭が漂っています。
食べ始めていきなりむせる野島氏。「か、辛い」
最初は口当たりまろやかにスタートするも、油断していると一気にとうがらしの辛味がおそってくるのです。
筆者もおそるおそる食べるとクリーミーな口当たりの良さに加えて濃厚な味噌、中本の持つ濃い目のダシをミルクがサポート。めちゃめちゃ美味しい。調子に乗ってすすりまくると、先ほどの野島氏と同じようにむせました。学習しろ。「そうだ、これは中本だった」と辛さで気づかされます。
麺は、牛乳のせいもあってやはり硬い。もどりにくいので、もっと時間をおいてもいいかもしれません。ただこの仕上がり、食べ応え的にも二郎の加水率低めの麺を連想します。
それにしてもスープは本当にうまい。「うまいうまいうまい」と喜ぶ野島氏。たまにむせる野島氏。
このスープの素晴らしいところは味がバラバラになっていないところ。調和してスープとしてのまとまりが出来ている。ただ何度も言うようだが辛いです。
総評
「サッポロ一番 カップスター みそ」しかり「蒙古タンメン中本 北極ブラック」しかり、今回は味噌が素晴らしい働きでした。レシピ的にも裏付けのある相性ですが、今回の検証で相乗効果を再確認する形となりました。担々麺に関しても、肉みそに使われているテンメンジャンや練りゴマが先の味噌と同様の良き働きとなっていたことがうかがえます。
シーフードとの相性はもう言うまでもないかもしれません。そして今回の検証で別途明らかになったのは、牛乳ゆえの麺の戻らなさ。手軽さを無視できるなら、麺を別ゆでにするという手も無くはないのですがインスタントラーメンの利便性は割り引かれてしまいますね。
あと、酸味は基本、アウトかもしれません。ええ。
さて、今回試せたのはわずかな種類でした。世にあるインスタントラーメンの中に「第二のミルクシーフード」となる逸材は、まだまだ眠っている可能性がありそうです。
あなたも今度カップラーメンを食べる時は、お湯ではなく牛乳を沸かしてみてはいかがでしょうか。新たな発見があるかもしれません。
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