VOL.48 玉城ティナさん(女優)
蜷川実花監督の最新作『Diner ダイナー』。極上の料理目当てに天才シェフ、ボンベロが働く殺し屋専用の食堂(ダイナー)。ここに平凡な女子、カナコが迷い込んだことで殺し合いゲームがスタートする! なんとも鮮やかで美しく刺激的な本作が、いよいよ7月に公開されます。今回は、本作のヒロイン、カナコを演じた玉城ティナさんにインタビュー。撮影時のエピソードや好きな映画について伺ってきました!
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—-豪華俳優が集結していることでも話題になっている本作。現場では、緊張されましたか?
現場に入る前はプレッシャーもありましたが、いざ入ってしまえば監督もいますし、藤原さんもあたたかく迎えてくださったので有難かったです。あまり考えすぎるよりも、自分のできることをやろうという思いで臨みました。私、切り替えが早い方なんです。後ろ向きなことばかり考えていると、選んでくださったのに申し訳ないですから。
『Diner ダイナー』より—-玉城さんが演じたオオバカナコは、個性あふれる殺し屋たちの中で、唯一”普通”のキャラクターでしたが、吊るされたり、銃を向けられたり、絡まれたり…と、別の意味で大変な役柄でもありましたよね。ご自身で一番、撮影で苦労したなというシーンはありますでしょうか。
不思議なことに、現場にいるときは大変だなって思う暇がなかったんです(笑)。それよりも、やるべきことの方がたくさんあって。でも、映画が完成して、客観的に振り返ってみたときに、濃いキャラクターの方々に囲まれていたことに気づきましたね。吊るされるシーンは、ワイヤーはありましたけど、実際吊るされてましたし、壁に叩きつけられたりもしました。もともと痣ができやすい体質ではあるんですけど、衣装のハイソックスを脱ぐと痣だらけでした。
『Diner ダイナー』より—-撮影時にアザは気にならなかったですか?
撮影時は、「気にしててもなあ」みたいな(笑)。逆に隠れるような衣装で良かったなって思います。
—-そんな前向きな玉城さんと、蜷川監督は「一緒に心中してもいい」とおっしゃっていたそうですね。それを聞いた時の心境はいかがでしたか?
強い言葉だなって思いましたね。「一緒に心中してもいい」ってこれまで言われたことがないので(笑)。蜷川さんが私を抜擢してくれた覚悟というか思いがすごく伝わってきて、その覚悟に応えていかなくてはと強く思いました。撮影中も、終わってからも、忘れられない言葉になっています。
—-今回着用されていたメイド服ですが、2パターンあった中でお気に入りや、衣装に対する思い入れはありますか?
2パターンあるメイド服は、どちらもパーツごとに分かれているんです。現場に入り、着替えでひとつひとつ衣装を重ねていくときに、カナコになっていく実感がありました。最初はコルセットがキツめで苦労していたんですが、毎日着ているうちに慣れていきました。身体のラインがすごく出る衣装なので、食事の量など気をつけていました。
—-本作には、個性豊かな殺し屋たちが登場していますが、玉城さんがもし男性だったら、どの役を演じてみたいですか?
迷うな〜。やっぱりボンベロ(演:藤原竜也)はかっこいいなって思いますね。なんかワケあり感もあるし、みんな殺し屋なのでワケありなんですけど(笑)。でも、ボンベロは藤原さんにしかできないと思います。かっこいいなって憧れますね。あとは、キッド(演:本多奏多)も面白いなって思いますね。撮影は大変だけど、奇声発して転げてる感じがいいなって。ちょっとやってみたいな。弾ける感じは面白そうだなって思います。
『Diner ダイナー』より—-玉城さんが元気になれる映画や、玉城さんならではの映画の楽しみ方はありますか?
元気が出る映画…。斜めからみるホラーとか元気がでるんです。すっごいグロテスクとか、そんなことって日常にないじゃないですか。励まされる映画だと逆に落ち込んだりしちゃうなって私は思うので。
—-激しめのホラーとかですか?
激しめのホラーとか観ると「これよりはいいかな」って元気がでますね。
—-お気に入りのホラー映画はありますか?
最近『サスペリア』観ましたよ。『君の名前で僕を呼んで』の監督ですが、全然印象が違って。あれは逆に元気でるな〜って思いました。
—-(笑)。身体が折れていくシーンも印象的でしたよね。
あれはなんか逆に、私は笑っちゃいました。真剣に観るというか、途中からアートっぽい感覚で観ていて”作品対私”になっていたところがあるので、そっちの方向で近寄るしかないなって思いました。先入観を捨てて見ると、わりと元気が出るかもしれません。
—-玉城さんの人生に影響を与えた映画はありますか?
私、10代から、ラース・フォン・トリアー監督の作品が好きなんですよ。影響を受けているとかではなく、『ドッグヴィル』とか彼の作品がすごく好きで。爽やかさというより、どこか後悔が残る映画が好きなんです。なぜかっていうと、生きていてまったく後悔しないことってないと思うんです。映画もそれが描かれている方が面白いと思いますし、そういう作品を割と好んでみます。『ドッグヴィル』は今思い返してみたら、『Diner ダイナー』とちょっと重なる部分もあるかなって。閉じ込められた女の子がこの先どうなっていくのか、っていう話ではありますので。でも最近明るいのも観ましたよ。『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(マイケル・ショウォルター監督)。それは割と明るかったです。
『Diner ダイナー』より—-玉城さんは一人映画をするということで、このサイトでも一人映画をしている読者が多いのですが、その方に向けて『Diner ダイナー』のおすすめや楽しみ方を教えてください!
私も一人映画をよくするので、気持ちもわかります。感想を自分のなかでとどめておけるというのは、今の時代、逆に貴重かなって思います。SNSでつぶやけますし、人と話して何か芽生えることもあるけど、自分ひとりの中で完結することも大事なことだなって思っています。『Diner ダイナー』を見てくださった方がどのポイントで誰に共感するのか教えてもらえたら嬉しいです。ぜひ熱く燃えてもらいたいなって思います。
—-玉城さん、ありがとうございました!
(文・取材・写真/トキエス)
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『Diner ダイナー』
7月5日(金)より公開
監督:蜷川実花
原作:平山夢明『ダイナー』(ポプラ社「ポプラ文庫」)
出演:藤原竜也、窪田正孝、本郷奏多、武田真治、斎藤 工ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
2019/日本映画/117分
公式サイト:diner-movie.jp
(c)2019 「Diner ダイナー」製作委員会
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