第72回 ブームの予感!? 1982年生まれのDCキャラ・スワンプシングとは!?
心震える『アベンジャーズ/エンドゲーム』が記録的な大ヒットとなり、一方『シャザム!』がこれからのDCヒーロー映画の明るい未来を感じさせ、X-MEN、スパイダーマン新作の予告編にワクワクする、アメコミ映画ファンにとっては本当に素敵な10連休だったのではないでしょうか? アメコミ・ヒーロー物がエンタテインメントの1ジャンルとして日本でも市民権を得たな、と感じました。そんな中、37年前、つまり1982年に製作された、カルトなアメコミ・ヒーロー映画が、なんとブルーレイで復活します。5月10日にリリースされる『怪人スワンプシング 影のヒーロー –HDリマスター版–』です。
本作は”ホラー・マニアックスシリーズ”という名のもと80年代から90年代のカルト・ホラーをHDリマスター版のBlu-rayでリリースするプロジェクト(BY ハピネットさん)の一作品として発売されるものです。そう、これだけ聞くとホラーと思われるかもしれませんが、実はアメコミ・ヒーロー物。スワンプシングはスーパーマンやバットマン、アクアマン、ワンダーウーマン、シャザムと同じDCコミックに所属するキャラです。
スワンプとは沼地、シングは怪物みたいな意味がありますから、文字どおり”沼地の怪物”です。
沼地の実験室で植物の遺伝子組み換えを行っていた天才科学者が犯罪組織の罠にはまり、瀕死の重傷を負います。その際、研究中だった特殊な血清を全身に浴び沼地に飛び込んだため、植物と同化し植物系の怪人に変異するというもの。
元々はレン・ウェインというクリエーターが1971年に読み切りの短編ホラーコミックの形で発表。反響があったのでシリーズ化。しかし人気が下火となり打ち切りとなりますが、1983年に、後に「ウォッチメン」を手掛けるアラン・ムーアが参加しまた人気をとりもどします。
この映画は1982年制作ですから、レン・ウェイン版の設定をもとに作られました。監督は後に『エルム街の悪夢』『スクリーム』を手掛けるウェス・クレイヴンです。
こういう設定、布陣だからホラー映画として売り出すのも納得です。
ただ大作として作られたクリスファー・リーブの『スーパーマン』(78)やスティーブン・キングの原作をスタンリー・キューブリックが映画化した『シャイニング』(80)という例外を除けばコミック・ヒーロー物やホラーはB級ジャンルとみなされることの方が多いから、基本低予算映画だし、また80年代の映画なのでいまの映画のテンポではありません。
でもアメコミ・ヒーローの実写化は当時、本当に貴重な機会だったから、『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』(86)、ドルフ・ラングレン版『パニッシャー(89)』と並んでこの映画はとても印象に残っています。
とはいえ他の2作に対し、スワンプシングは日本では劇場未公開で、僕は輸入盤のレーザーディスクで観ました。
改めて見直したのですが、ちゃんと沼地でロケしているし、またCGではなくちゃんと役者さんがスーツを着て(造形いいです)アクションしているので、沼地を舞台にした怪人物としてよくできています。
ジャングルを舞台に兵士とクリチャーが戦うところは『プレデター』を先取りしているし、『シェイプ・オブ・ウォーター』を彷彿させるところもある。(実際『シェイプ・・』のギレルモ・デル・トロ監督は『スワンプシング』のファンだそうです)
愛すべき作品でした。
ある意味、アメコミ・ヒーローの映画化が本格化するのは『スーパーマン』からですが、それ以降低予算・大作を含め様々なヒーロー映画が作られ、その積み重ねの上に『シャザム!』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』があるのでしょう。
なおこのスワンプシング、『アクアマン』を大ヒットさせたジェームズ・ワンのプロデュースで配信用ドラマシリーズとしてアメリカではリリースされます。(日本でもいつか紹介されることを信じています)
ジェームズ・ワンはホラー(『死霊館』シリーズ)とアクション(『ワイルド・スピード SKY MISSION』、両方大丈夫だし、『アクアマン』でDCヒーローとの相性もいいから期待。本シリーズはアラン・ムーア版の設定でのスワンプシングになりそうです。
このドラマでスワンプシングがブームになる前に、82年版の『怪人スワンプシング 影のヒーロー –HDリマスター版–』楽しんでください。
(文/杉山すぴ豊)
『怪人スワンプシング 影のヒーロー –HDリマスター版–』
公式ページ:http://www.happinet-p.com/jp3/releases/BBXF-0290
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