好きな映画を活用して英会話&リスニングが上達する3つのコツ【保存版】
本連載では、映画のセリフなどから楽しく英語が学べる英語学習のコツをお届けしています。4月は新たに英語学習を始める方が多いタイミングですので、今回は映画を活用した英会話&リスニング上達のコツを保存版としてお伝えします。
映画を英語学習に使うメリットと落とし穴
映画は、英語を学ぶ上でとても優れた題材だと言えます。英語自体に苦手意識がある人は、英語学習を楽しいとは思いづらいもの。しかし、映画自体の楽しさや魅力が、そこをカバーしてくれるのです。
また、映画(や海外ドラマ)は途中で飽きてしまわないための工夫がなされています。ですから、英語を30分勉強しようとしたら挫折してしまう人でも、映画であれば英語を2時間聞き続けることが簡単にできてしまいます。
ただし、ただ漫然と映画を観るだけでは、英語の上達にはなかなかつながりません。映画をうまく活用して、英語力を上達させるためには、一体どのようなことに気をつければよいのでしょうか?
英語力をUPさせるために「やってはいけない」こと
×1回見ただけで、次々に新しい映画に手を出してしまう
もし映画を一度しか観ないのであれば、それは単なる映画鑑賞です。英語の上達につなげるためには、その映画を「教材」として何度も味わうことが大切です。ですから、何度も見たくなるような、好きな映画を題材にしてください。まずはDVDやブルーレイ、動画配信サービスなどで、その映画を何度でも観られるように準備しましょう。
また、映画はたいてい2時間前後ありますが、最初から最後まで、通して観てしまってもいけません。学習教材として使うのですから、少なくとも場面ごとに区切ってください(10~30秒間程度でも十分なくらいです)。細切れの場面を、アナログ時代の表現を使うならば“テープが擦り切れる”ほどに、何度も何度も繰り返し活用することが大切です。
ただし、冒頭から1場面ずつ順番に学習していこう……などと思う必要はありません。それだと「勉強をさせられている」感じが出て、気が重くなり、挫折してしまいやすくなります。せっかく好きな映画を使うのですから、好きな場面を自由に行き来してください。「英語で何と言っているのかを知りたい!」という興味を大切にすべきなのです。 ×いきなり字幕を表示させながら見てしまう
ぜひ最初は、字幕を表示させずに観て(聞いて)みてください。もちろん、初めて観る映画であれば、日本語字幕などがないと全く内容も理解できないかもしれませんが、今回題材にしているのは、あなたが好きな映画です。
日本語であれ英語であれ、字幕を見ながら英語を聞いてしまうと、耳への集中が弱くなりますから、リスニングのトレーニングにならなくなってしまいます。言語学習において、一番最初に来るべきものは、耳から聞くことです。
もちろん、リスニング力に自信がない方が多いでしょうし、字幕がないと全く分からない……と思うかもしれません。しかし逆に、日本語字幕を見ながらだと、全く英語学習になりません。英語字幕だと、結局字幕を読んでしまいますので、速読的なリーディングの練習にはなるかもしれませんが、リスニングのトレーニングにはならないのです。
まずは、耳を鍛えるつもりで、字幕を非表示にした上で、音だけに集中してリスニングをしてください。映像も、耳のトレーニングの邪魔になることがありますから、目を閉じて耳だけに集中できるのがベストです。
なお、先ほどもお伝えしましたように、映画全体を通して観ようとはしないでください。長くても一場面、できれば10~30秒程度で十分ですので、意味を考えないようにして、音だけに集中して聞き取ることに挑戦しましょう。
そう、現段階で意味は分からなくてよいのです。ここは非常に大切なのに、誰も教えてくれないポイントなのですが、意味や内容を理解することはリーディング力であり、リスニング力とは切り離して考えた方が学習効果が高まります。リスニングで一番大切なスキルは、英語の音を聞き取り、識別できる力なのです。
ですので、リスニング中は意味を考えないようにしてください。「おそらくこう言っていたはず」などと、知識を総動員して想像するのも厳禁です。やるべきことは、耳だけに集中し、何も考えないようにして、ただ聞こえてくる英語の音を頭の中でなぞることだけ――。
そういう聴き方が正しくできると、「意味は分からないが、英語の音が耳に飛び込んでくる」という体験ができるかもしれません。意味を考えたり、推測することがクセになってしまっているために、音だけに集中するということがどうしてもできない、という人もいることでしょう。
どちらにせよ、まずは音に集中して真剣に何度かリスニングをした上で、スクリプトを確認しましょう。英語字幕を表示させ、実際になんと言っていたのかをしっかりと確認してください。意味などもきちんと調べて理解しましょう。そしてその上で、また何度も繰り返し聴く――。そのような聴き方をすることで、耳を鍛えることができるのです。 ×映画を観ただけで満足してしまう
映画を観ることは、英語を聞く(リスニング)というインプット(入力)に当たります。また、英語字幕を表示させたならば、それは読む(リーディング)というインプットです。
言語を上達させる上で大切なのは、反対のアウトプット(出力)。つまり、真似をして口に出して実際に言うこと(スピーキング)や、書いてみること(ライティング)が効果的です。
映画の中で、新しく学んだ(覚えたい)単語やフレーズ、自分でも使ってみたい表現などがあれば、ぜひ英語学習用のノートにメモしましょう。「書く」ことがアウトプットの第一歩です。
ちなみに、単語やフレーズなどを覚えるときに大事なのは「文脈」です。文脈のない英単語は、辞書に載っているのと同じ。人間に例えるならば、名簿にただ名前が書かれているようなものです。実際に、人のことをよく知り、どんな人なのかを覚えるためには、直接会う必要があります。そうすると「いつどんな時に会い、一緒に何をした人なのか」という経験が記憶を助けてくれますよね。
英単語を覚えるのも同じことです。どの登場人物がどのような場面で、どんな気持ちで使っている単語なのか――?
そのような文脈を味わうことで、ボキャブラリーを効果的に増やすことができます。
そして次に、その単語やフレーズなどを真似して言ってみてください。何度も口に出して言うことが次のステップです。また、さらに効果的なのは、セリフを使ってのなりきり練習です。登場人物になりきったつもりで、気持ちを込めてセリフを言う練習をぜひしてみてください。
まとめ:映画は良質の英語教材
映画を使って効果的な英語学習する上での注意点から、以下の英語力をUPさせる3つのコツをお伝えしてきました。
●英語力をUPさせる3つのコツ
1. 好きな場面を10~30秒間程度に区切り、繰り返しリスニングする
2. 最初は字幕を表示させない
3. 覚えたいセリフをメモし、何度も口に出して言ってみる
リスニングのところが、独学で学ぶには少しハードルが高いところかもしれません。特に、意味を考えながらリスニングすることが癖になってしまっている場合には、しっかりと解消する必要があります。正しいリスニング方法を身につけるための「リアル・リスニング」というトレーニング教材がありますので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
今回お伝えした学習法は、映画だけでなく海外ドラマにも使えます。映画や海外ドラマは、生の英語に触れられる良質の教材であり、使わないのは非常にもったいないと言えます。ただし、手加減もありませんから、うまく使わないと上達もなかなか得られません。ぜひ今回お伝えしたポイントに気をつけて学習することで、楽しみながら上達を手に入れていただけたらと思います。
著者プロフィール
西澤ロイ(にしざわ・ろい) イングリッシュ・ドクター
英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)や『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)他、著書多数(⇒)。さらに、ラジオで4本のレギュラーがオンエア中。特に「木8」(木曜20時)には英語バラエティラジオ番組「スキ度UPイングリッシュ⇒」が好評を博している。★「イングリッシュ・ドクター」公式HP(⇒)
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