あなたならどうする?東京都内に津波が襲ってきたらどこに逃げるべきか(災害初心者のための「地震対策JP」 )
今回はぶんちょうさんのブログ『災害初心者のための「地震対策JP」 』からご寄稿いただきました。
あなたならどうする?東京都内に津波が襲ってきたらどこに逃げるべきか(災害初心者のための「地震対策JP」 )
東京に住んでいると「東京都内に津波が来る?東京湾だってあるし来るわけないじゃん」と思っている方も多いと思いますが、まず先に結論言ってしまいます。それは大きな間違いです。
関東大震災の再来や、超大規模な千葉県沖地震、あるいは南海トラフ地震が発生した場合には東京湾に津波が押し寄せてくる可能性は充分にあり、東京都や政府、専門家チームが警鐘を鳴らしています。
あなたならどうする?東京都内に津波が襲ってきたらどこに逃げるべきか
東京都内の地震津波の被害
東京都が平成25年5月に公表した「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定」では、島しょ部に最大30mを超える大津波が襲来し、多大な被害をもたらす想定結果となっており、島しょ部の全町村が水深地域に指定されています。
「津波対策について」『東京都防災ホームページ』
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/taisaku/1000216/1000407.html
この試算資料では、島しょ部に最大30mを超える大津波が襲来し、港区、中央区、品川区、大田区、江東区、江戸川区には最大3m近い津波が来るとしています。
そう、東京都が「東京都内に大津波が来る」とはっきり警鐘を鳴らしているのです。
東京湾に押し寄せた津波は、東京湾に面した河川を逆流して都内を襲ってきます。都内の河川は大雨を考慮したものであって逆流を想定していませんからあらゆるところが氾濫します。
大型河川の要所要所には水門が設置されていますが、全てが完全に機能するかはそのときにならなければ分かりません。そして豪雨対策に作られた調節池や分水路は河川上流から下流へ向かう水量の治水が目的であるため、津波による河川の逆流には機能しません。
また押し寄せた大量の水は地下鉄のトンネルを通って都内中心部に流れ込むのではないかとも言われています。地下鉄も集中豪雨対策はしていますが、基本的に津波までは想定されていないからです。流れ込んだ水は排水するまで標高の低い地域に滞留します。特に下町やゼロメートル地帯は被害が甚大となります。
中央防災会議のシミュレーションでは、荒川放水路の右岸で堤防が決壊した場合、11分後には、水は700m離れた南北線の赤羽岩淵駅に到達。駅入り口の1mの止水板を軽々乗り越え、水は地下鉄に駅に流れ込み、水は地下鉄トンネルを通って、次々に次の駅に流れ込んでいきます。
都営大江戸線は、すべての地下鉄とつながっているので、堤防決壊6時間後には、西日暮里等6駅、9時間後には、上野駅等23駅、12時間後には、東京、大手町等66駅が水没します。
◆参考動画『フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 H29 3 改訂版』
「フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 H29 3 改訂版」『YouTube』
https://www.youtube.com/watch?v=h3YylcsxOyU
東京都内の水没シミュレーション
大津波の直撃や河川逆流、地下鉄への水の流入により、東京湾からさほど近くない地域であっても東京都内は水没する可能性があることはご理解頂けたかと思います。
それでは3m水没したら東京都内はどうなるでしょうか。以下のURLで観ることが出来ます。
http://flood.firetree.net/?ll=35.7008,139.8491&z=7&m=3
江戸川区、江東区、葛飾区、荒川及び隅田川沿いは大部分が水没することになります。
さらに5m水没したらどうなるでしょうか。
http://flood.firetree.net/?ll=35.7008,139.8491&z=7&m=5
江戸川区、江東区、葛飾区はほぼ全滅、足立区も大部分が水没します。
内閣府が発行した「首都圏における大規模水害の被害想定結果の概要」には、東京湾高潮氾濫の被害想定として、浸水区域内人口140万人、死者7600人という恐ろしい試算もしています。
「首都圏における大規模水害の被害想定結果の概要」『内閣府防災情報のページ』
http://www.bousai.go.jp/fusuigai/pdf/higaisoutei_gaiyou.pdf
ではどこに避難したらいいのか
東京都内に巨大地震による津波水害が起こりえること、そしてその恐ろしさはお分かりいただけたかと思いますが、ではどこに避難したらいいかを考えてみます。
南海トラフ大地震を例に考えると、東京湾に津波が襲来するのは15〜30分後、そして河川や地下鉄トンネルを逆流してくることを考えるとそれほど時間はありません。
そう考えると、なんとなく家や会社から近いからという理由だけで避難場所を決めてしまっていいのでしょうか。少し考えすぎかもしれませんが津波水害を考慮すると一次避難場所には高台のところを選ぶことが重要なのではないかと思います。特に江戸川区、江東区、葛飾区、荒川及び隅田川沿いにお住まいの方は全般的に標高が低いため区外への避難も想定しておいた方がいいかもしれません。
まとめ
東京都内へ津波が襲いかかる可能性を東京都は認識して都民に注意喚起していることが確認できました。
東京に限ったことではありませんが、数年数十年に一度の豪雨を想定して治水対策を取っている地域はあれど、数百年に一度の大水害を想定して対策するには莫大なコストがかかります。
ですが数百年数千年に一度の希有な大災害であっても、私たちにとっては今の命を守らなければなりません。とりわけ民主党時代に治水事業は軒並み凍結又はコストカットされてしまったのが現状です。この恐怖は想像していただければお分かりになると思います。
特に東京都東部や荒川及び隅田川沿いにお住まいの方は特に避難場所や避難所の選び方に注意が必要となります。東京都や各自治体がハザードマップを公表していますので、早いうちにご覧になっておくことをオススメします。
「東京に大地震が来たらどうする?都内23区のハザードマップをまとめてみた」『災害初心者のための「地震対策JP」』
https://jishin-taisaku.jp/tokyo_hazard_map/
ところで、避難場所と避難所の違いはご存じでしょうか。都内のリスト一覧も掲載しています。
「知らなかった!避難場所と避難所の違いと、都内の避難場所・避難所リスト一覧」『災害初心者のための「地震対策JP」』
https://jishin-taisaku.jp/evacuation-places_and_evacuation-centers/
また、イヌやネコなどのペットを避難所に連れて行くことが法的に可能であることをご存じでしょうか。飼い主がしておくべき準備と知っておくべき知識をご紹介しています。
「みんなに知って欲しい!災害時にペットを連れて避難所生活をすることは可能であること」『災害初心者のための「地震対策JP」』
https://jishin-taisaku.jp/evacculate_with_your_pet/
以上、最後までご覧下さり誠にありがとうございました。
執筆: この記事はぶんちょうさんのブログ『災害初心者のための「地震対策JP」 』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年01月07日時点のものです。
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